第1175回 決勝トーナメントを目指すフランス勢 (4) 強豪ぞろいのグループGで可能性を残すオセール

■強豪ぞろいのグループG、フランス勢相手に失点の多いレアル・マドリッド

 チャンピオンズリーグのグループリーグの中盤戦までのフランス勢の戦いを紹介してきたが、リヨン、マルセイユと並んで出場しているオセールの戦いはどうだろうか。昨季のリーグ3位でチャンピオンズリーグに滑り込んだオセールは第4シードとなり、厳しい戦いは免れないが、本連載の第1157回で紹介した通り非常に厳しいグループに入ってしまった。グループGは第1シードのACミラン(イタリア)、第2シードからレアル・マドリッド(スペイン)、第3シードのアヤックス(オランダ)というチャンピオンズリーグで優勝経験が豊富なチームばかりである。
 第1節はミラノでのアウエーゲームを0-2と落とし、第2戦はホームにレアル・マドリッドを迎え、9月29日に試合が行われた。レアル・マドリッドは第1節でアヤックスを2-0と下しており、ACミランと首位争いをする勢いである。チャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの黎明期に黄金期を迎え、フランス勢を下したレアル・マドリッドであるが、不思議なことにフランスでの成績は悪くはないものの失点が多い。振り返ってみれば最初のチャンピオンズカップの決勝はスタッド・ランス(Reims)に勝利したものであるがスコアは5-4、そして1992-93シーズンのUEFAカップ準々決勝ではパリサンジェルマンと対戦し、ホームの第1戦で3-1と勝利しながら、パルク・デ・プランスでは1-4と敗れている。その結果、これまでフランスで11戦して無失点で切り抜けた試合はない。

■終盤に決勝点を奪ったレアル・マドリッド

 オセールのアベ・デシャン競技場は2万人の観衆で満員になった。オセールの主将はブノワ・ペドレッティ、若き日にレアル・マドリッドが獲得に動いたが結局フランス国内にとどまったという歴史がある。そしてレアル・マドリッドの先発メンバーにはラッサナ・ディアラ、カリム・ベンゼマという2人のフランス代表選手と、フランス代表の可能性もありながらアルゼンチン代表の道を選んだゴンサロ・イグアインが名を連ねる。オセールはリーグ戦でも振るわず17位にとどまっている。試合は一方的なものになり、レアル・マドリッドが7割方ボールを支配し、次々とオセールのゴールを襲う。しかしながらクリスチャン・ロナウド、ベンゼマ、イグアインの攻撃陣が得点できず、両チーム無得点のまま終盤を迎える。81分に均衡を破ったのは紫のユニフォームを着たスペインのチームであった。アンヘル・ディ・マリアが先制点をあげる。そして長いロスタイムにオセールも得点機はあったが同点に追いつくことはできず、連敗を喫したのである。

■荒れ気味の試合で追いつくことができなかったオセール

 そしてオセールは第3節、第4節でアヤックスと戦うことになったのである。アヤックスは第2節でACミランと引き分け、勝ち点はまだ1である。前回紹介したマルセイユのようにこの中盤戦で連勝すれば、チャンピオンズリーグあるいはヨーロッパリーグの決勝トーナメントに手が届く。両チーム合わせた勝ち点1というサバイバルの対戦はまずアムステルダムで行われた。この試合はイエローカード、レッドカードが連発される激しい試合となった。アヤックスがまず7分にデミー・デセーウのゴールで先制、さらに41分には主将のルイス・スアレスが追加点、アヤックスは2点リードで折り返す。後半に入って56分にアンドレ・オーイエルがオセールのデニス・オリシュを倒してレッドカード、このFKをオセールのバルテル・ビルサが決めて1点差に詰め寄り、10人の相手を追うが、追いつくことができず、オセールは1-2で敗れ、3連敗で前半戦を終えた。

■ホームでアヤックスに快勝、残り2試合に望みをつなぐ

 その2週間後、オセールはついに初勝利をあげる。9分にフレデリック・サマリタノが先制点をあげ、この大会初めてリードを奪う。その後もオセールは手堅い試合運びをするが、79分に追いつかれてしまう。しかし、舞台はオセールの本拠地アベ・デシャン競技場である。同点に気落ちすることなく、途中出場のスティーブン・ランジルが大活躍、84分に決勝点をあげて2週間前の試合同様、ホームチームが2-1で勝利したのである。
 この結果、死のグループGはレアル・マドリッドが勝ち点10で独走しているが、2位以下は勝ち点5のミラン、勝ち点4のアヤックス、勝ち点3のオセールと、接戦となったのである。(この項、終わり)

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