第1193回 フランス勢4チームが決勝トーナメントに進出 (3) 死のグループで最下位だったオセール

■死のグループに入ったオセール

 前々回のリヨン、前回のマルセイユと第5節で決勝トーナメントを決めたが、プレーオフを勝ち抜いてチャンピオンズリーグに進出した第3のフランス勢であるオセールは苦戦が予想された。もともとシード順位が低いのはやむを得ないとしても、同じグループGに入った顔ぶれは千両役者がそろった。ACミラン(イタリア)、レアル・マドリッド(スペイン)、アヤックス(オランダ)とどのチームが第1シードなのかわからないチームが3つひしめいた。
 このような3強1弱のグループでの3強の戦い方は他の3強相手の試合はロースコアの僅差で勝つか引き分けを狙い、1弱相手の戦いで勝ち点と得失点差を稼ぐ、というのが鉄則であろう。したがって、ビッグクラブはオセールが相手だからと言って手加減することはなく、ホーム、アウエー問わず大量得点を狙ってくる。

■射程距離にあるACミランとアヤックス

 本連載の第1175回で紹介した通り、オセールは前半戦は3連敗で折り返す。ほとんどのサッカーファンの予想通りの結果となった。第4節のホームのアヤックス戦での勝利も焼け石に水かと思われた。しかし、ビッグクラブ3チームすべてが順調に勝ち点を積み上げていたわけではなかった。
 第4節を終了した時点でこの死のグループから一歩抜け出したのが第2シードのレアル・マドリッド(3勝1分、勝ち点10)だった。第1シードのACミランは第1節にオセールに勝利して以来勝ち星から見放され、1勝2分1敗で勝ち点5、第3シードのアヤックスも唯一の勝利はホームのオセール戦だけであり、1勝1分2敗で勝ち点4という具合であり、勝ち点3のオセールも十分2位以内が狙える位置にある。

■ホームのACミラン戦で痛恨の敗戦、3位以下が決定

 オセールの第5節はホームのACミラン戦である。この試合で勝てば2位浮上も可能である。一方ACミランはこの試合で勝てば3位以内が確定する。ACミランはアウエーゲームとはいえ、勝ち点1でも積み上げたいのであろう、慎重な試合運びを進める。これもここまでの戦いで計算が狂ったからであろう。前半は両チームとも守備的な試合展開でノーゴール。
 そして後半に入って64分、ズラタン・イブラヒモビッチがこぼれ球を蹴りこみ、先制点をあげる。何とか追いつきたいオセールは攻撃的な試合運びをするが赤と黒の牙城を崩すことができない。そしてロスタイムにはロナウジーニョに追加点を奪われてしまう。結局0-2とこの試合を落としてしまう。
 さらに、同時刻にアムステルダムで行われていたアヤックス-レアル・マドリッド戦はレアル・マドリッドは終盤にレッドカードで2人を失いながらも4-0と大勝する。この結果最終節を待たずしてレアル・マドリッド(勝ち点13)とACミラン(勝ち点8)の決勝トーナメント進出が決まり、勝ち点3のオセールは勝ち点4のアヤックスとヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出にターゲットを変更したのである。

■カリム・ベンゼマのハットトリックを許し、最下位脱出ならず

 グループGの最終節は12月8日にレアル・マドリッド-オセール戦とACミラン-アヤックス戦が行われた。すでに決勝トーナメント進出を決めているチームが下位チームをホームに迎えるわけだが、アヤックスを勝ち点で1下回るオセールが引き分け、アヤックスが勝利した場合は、勝ち点で並ぶが、直接対決では互角であるため得失点差の争いになり、オセールが有利である。
 しかし、オセールにとって勝ち点1は遠かった。主力を数人欠くレアル・マドリッドを勝利に導いたのはフランス代表カリム・ベンゼマであった。代表チームでは活躍するがクラブでは不振だったベンゼマはほぼ3年ぶりのハットトリックを決める。またクリスチアーノ・ロナウドも得点し、レアル・マドリッドが4-0と地元で勝利する。
 オセールにとってかすかな望みは消え、欧州の舞台から去ったのである。(続く)

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