第1218回 決勝トーナメントが始まった欧州カップ (1) 厳寒のミンスクで追いついたパリサンジェルマン
■国内タイトルの1月、国際試合が始まる2月
2011年になり、1月は国内リーグの後半戦の開始、フランスカップへの1部勢の参戦、そしてリーグカップの決勝進出チームの決定と国内のタイトルに選手は専念した。そして2月に入り、前回まで紹介した通り、ブラジルとの親善試合が9日に行われ、中旬以降はいよいよ欧州カップの決勝トーナメントが行われ、クラブレベルの国際試合が始まる。
本連載の第1192回から第1195回で紹介した通り、フランスからはチャンピオンズリーグにマルセイユとリヨン、ヨーロッパリーグにリールとパリサンジェルマンがこの決勝トーナメントに駒を進めた。欧州カップの決勝トーナメントはチャンピオンズリーグ1回戦(ベスト8決定戦)は2月15日(16日)あるいはその翌週の22日(23日)に第1戦が行われ、第2戦はその2週間後の3月8日(9日)あるいは15日(16日)に行われる。一方、ヨーロッパリーグの1回戦(ベスト16決定戦)は2月17日(15 日)に第1戦が行われ、翌週の24日(22日、23日)に2回戦が行われる。このように日程に違いがあるのはチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの決勝トーナメント出場チーム数に違いがあるからである。
■フランス勢はヨーロッパリーグに先に登場
注目のフランス勢であるが、チャンピオンズリーグにはリヨンもマルセイユも1週遅れての登場となり、リヨンは22日にレアル・マドリッド(スペイン)と対戦、マルセイユは23日にマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)との対戦となる。したがってフランス勢で一番早く欧州カップの決勝トーナメントを戦うのはヨーロッパリーグ勢であり、17日にリールとパリサンジェルマンが欧州の門をたたく。
■ベラルーシの盟主BATEボリソフ
パリサンジェルマンはベラルーシのBATEボリソフとアウエーで対戦する。現地時間20時、フランス時間では19時にキックオフされるのでフランス勢で一番早く登場することになる。相手のBATEボリソフは20世紀になってからベラルーシの国内リーグを支配し、昨季は5年連続7回目の優勝を果たす。チャンピオンズリーグにも予備戦からのチャレンジを続け、2008年には予備戦を勝ち抜き、本戦に出場している。本戦ではユベントス(イタリア)、レアル・マドリッド、ゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)といういずれも欧州カップで優勝したことにあるチームと同じグループHに入った。ユベントスとは2戦とも引き分け、1勝もすることはできなかったが、3分3敗と手ごたえのある敗退であった。
今季もベラルーシチャンピオンとして予備戦2回戦から出場、アイスランドチャンピオンのハフナーフョドールを下したが、3回戦でデンマークチャンピオンのFCコペンハーゲンに敗れてヨーロッパリーグへ転戦する。ヨーロッパリーグのグループEではディナモ・キエフに次ぐ2位となった。現行の大会形式になってから、ベラルーシのクラブとして初めて欧州カップの決勝トーナメントに進出したのである。
■オフ期間中のBATEボリソフに対し、終了間際に追いつく
ベラルーシでは現在はオフの期間であり、久しぶりの試合が零下15度という厳寒の中で行われた。BATEボリソフは5000人しか収容できない本来の本拠地ではなくミンスクのディナモ・スタジアムでパリサンジェルマンを迎える。代表チームには多くのファンが集まるが、地元のファンにとっては季節外れということもあり、1万人に満たない観客しか集まらなかった。
BATEボリソフは久しぶりの試合であり、本拠地でないスタジアムということで調子が出ない。しかしながらも先制点を16分に奪う。パリサンジェルマンは30分にペギー・リュインデュラからの氷上のパスをトルコ代表のメフルト・エルディンが決める。実はエルディンにとって3年前に代表にデビューしたのがこのミンスクでのベラルーシ戦であった。
後半の81分にパリサンジェルマンは勝ち越し点を許すが、89分、リュインデュラが同点ゴールを決める。1-3で敗れてもおかしくない試合をパリサンジェルマンは2-2のドロー、春の日差しが感じられるパリでの第2戦に期待は膨らんだのである。(続く)