第1219回 決勝トーナメントが始まった欧州カップ (2) 魔の82秒間、リールは痛恨のドロー

■欧州王者経験のある3チームと対戦するフランス勢

 気温マイナス15度というベラルーシのミンスクでのパリサンジェルマンの戦いで始まったフランス勢の欧州カップ決勝トーナメントであるが、パリサンジェルマン以外の3チームは欧州経験の豊富なチームと対戦する。パリサンジェルマンがドローに持ち込んで試合終了となったころ、リールはPSVアイントホーヘン(オランダ)を迎えてホームゲームを戦った。PSVアイントホーヘンは本連載にもしばしば登場するように、近年の欧州カップではフランス勢との対戦が多く、また1977-78シーズンのUEFAカップ決勝ではバスティアに連勝して初めての欧州のタイトルを手にしている。
 そしてその翌週にはリヨンとマルセイユが登場するが、リヨンはレアル・マドリッド(スペイン)、マルセイユはマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)と欧州での経験も豊富なチームと対戦する。PSVアイントホーヘン、レアル・マドリッド、マンチェスター・ユナイテッドの3チームは欧州カップの出場経験が豊富なだけではなく、チャンピオンズリーグあるいはその前身のチャンピオンズカップで優勝し、訪日経験もあることである。

■リーグでも好調、首位堅持するリールがリード

 このように強豪相手とフランス勢は戦うことになるが、リールは仮の本拠地であるビルヌーブ・ダスクでのホームゲームとなる。リールは欧州カップでのオランダ勢との対戦は初めてである。リールはフランスリーグを首位で折り返し、年が明けても負け知らずで、現在12戦連続負けなし、首位を堅持している。
 前評判としてはリール優勢という中、その通りの試合展開となった。6分のルドビック・オブラニアクのCKからクリアをイドリッサ・ゲイエがシュート、プロ初得点はリールにとって欧州カップで100ゴール目という記念すべきゴールとなった。そして31分にもクロスボールをトゥーリオ・デ・メロがヘディングで追加点を奪う。2点のリードであるならば、今のリールであるならば安全圏であろうと思われたが、次第にPSVアイントホーヘンのチャンスが増えていく。後半に入り、試合時間も残り15分となった75分、リールは好位置からヨアン・カバイエがFKを蹴るが、PSVアイントホーヘンのGKに阻まれ、追加点を奪うことができなかった。

■82秒間に2点を奪われ、追いつかれたリール

 そして魔の82秒間が終盤に待っていた。83分、PSVアイントホーヘンはCKからオラ・トイボネンがループシュート、クロスバーに当たって跳ね返ったボールをビルフレット・バウマがゴールに押し込み、1点差に詰め寄る。そしてその82秒後、今度はトイボネンのシュートがゴールネットを揺らし、2-2と追いつく。ヨーロッパリーグのフランス勢は2-2というスコアであったが、負けを逃れたパリサンジェルマン、勝ちを逃したリールと好対照な結果となった。

■過去の対戦成績ではレアル・マドリッドを圧倒するリヨン

 その翌週にはチャンピオンズリーグにフランス勢が登場する。 チャンピオンズリーグの決勝トーナメントは2月22日にリヨンがレアル・マドリッドを、23日にマルセイユがマンチェスター・ユナイテッドをそれぞれホームに迎える。リヨンはレアル・マドリッドと2005-06シーズン以来、3回顔を合わせ、6回対戦している。本連載でもその都度紹介してきたが、通算成績はリヨンの3勝3分と負けなしである。最初の2回はグループリーグでの対戦であったが、昨季は決勝トーナメント1回戦で対戦し、1勝1分でリヨンが勝ち上がり、クラブ史上最高の準決勝進出への足掛かりとなっている。
 レアル・マドリッド戦の直前のリーグ戦では、リヨンはホームのジェルラン競技場でナンシーに4-0と大勝し、リーグ優勝に望みをつなぐ。調子の波に乗ったリヨンは、ゴールラッシュの余韻の残るジェルラン競技場に白い巨人を迎えるのである。(続く)

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