第1334回 ヨーロッパリーグ、決勝トーナメントへの道(2) ロスタイムの失点で窮地に立ったパリサンジェルマン
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■18年ぶりのリーグ優勝を狙うパリサンジェルマン
国内リーグでは好調を保ち、1993-94シーズン以来13年ぶりのリーグ優勝に向けて突き進むパリサンジェルマンであるが、近年はカップ戦のスペシャリストとしての色彩が強い。ところが、今季はリーグカップでも10月26日に行われたベスト8決定戦のディジョン戦では2点を先行しながら逆転負けを喫し、初戦で敗退する。欧州カップでも国内リーグ以上の成績を残していたが、前回の本連載で紹介した通り、グループリーグを折り返す時点で2位に甘んじている。
■スロバン・ブラチスラバに勝利し、2勝目
一方的に攻めながら、ゴールを奪うことができず、逆に2人の退場者を出してしまった10月20日のアウエーでのスロバン・ブラチスラバ(スロバキア)戦から2週間、11月3日に今度はパルク・デ・プランスにスロバン・ブラチスラバを迎える。ヨーロッパリーグのグループリーグの中盤戦としては異例の3万2000人の大観衆の中で試合はキックオフ。パリサンジェルマンは本連載第646回から第648回にかけて紹介した2006年11月23日のハポエル・テルアビブ(イスラエル)戦の2-4の敗戦を最後に、それ以来UEFAカップ、ヨーロッパリーグではパルク・デ・プランスでは10勝7分と負け知らずである。この地元の声援に押され、この試合もパリサンジェルマンは試合を圧倒する。前半は両チーム無得点であったが、後半に入って63分、パリサンジェルマンは南米コンビの活躍で得点をあげる。ブラジル代表のネネのセンタリングをアルゼンチン代表のハビエル・パストーレが右足のボレーでゴールネットを揺らす。第1節以来勝ち星から離れていたパリサンジェルマンは、ようやく第4節にして2勝目をあげた。
■リーグ戦で1分2敗と未勝利に終わった11月のパリサンジェルマン
ヨーロッパリーグで2勝目をあげたパリサンジェルマンは、今度は国内リーグで調子を落とし、11月はリーグ戦でボルドーと引き分け、ナンシーとマルセイユに連敗と、勝ち星がなく、宿敵マルセイユ戦での敗戦で2位に陥落してしまった。12月に入り、最初の試合が1日のヨーロッパリーグのアウエーのザルツブルク(オーストリア)戦である。この第5節を迎える段階でのグループFの順位は首位がスペインのビルバオで勝ち点10、2位がパリサンジェルマンで勝ち点7、3位がザルツブルクで勝ち点4、4位がスロバン・ブラチスラバで勝ち点1とそれぞれが1勝分にあたる勝ち点3の差で並んでいる。パリサンジェルマンはザルツブルク戦で勝利すれば決勝トーナメント進出を決めることができる。
■ザルツブルクで敗戦、重くのしかかるロスタイムの追加点
アウエーの1戦、パリサンジェルマンは直前のマルセイユ戦の0-3と言う完敗のショックを引きずったままの試合展開となった。前半20分に先制点を奪われ、チャンスは作りながらも攻撃陣が振るわず、同点に追いつくことができない。さらに後半のロスタイムの94分、追加点を奪われてしまう。実はこの2点目が非常に重いものとなった。パリサンジェルマンは0-2と敗れ、国内リーグと通算して3連敗、さらにこの3試合ではノーゴールと極度の不振に陥ったのである。
そしてグループFの順位であるが、首位のビルバオはスロバン・ブラチスラバに勝利して、首位を確定し決勝トーナメント進出となる。2位争いはパリサンジェルマンにザルツブルクが勝ち点7で追いつく。両チームが最終節で同じ結果になり、同勝ち点で並んだ場合、順位の決定はまず直接対決の結果で決められる。パリサンジェルマンはパルク・デ・プランスで3-1と称しているがザルツブルクで0-2で敗れ、得失点差はゼロであるが、アウエーゴールの差でザルツブルクが上位となる。ザルツブルクでのロスタイムの失点が重くのしかかったのである。
最終節は12月14日、パリサンジェルマンはホームにビルバオを迎え、ザルツブルクはアウエーでスロバン・ブラチスラバと対戦し、決勝トーナメントへのチケット争いが行われるのである。(続く)