第1379回 マルセイユ、4強ならず(2) マルセイユ、スーパーマリオの前に沈黙

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3月に入って1分6敗と不調のマルセイユ

 ドイツというより欧州を代表するビッグクラブであるバイエルン・ミュンヘンと対戦するマルセイユ、チーム状態は極めて悪い。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦のインテル・ミラノ(イタリア)との戦いの際にも紹介したが、国内リーグでは1月29日の第21節でレンヌに勝利したのを最後に3月24日に行われた第29節のニース戦まで9試合連続で勝っておらず、順位を5位から9位まで落とした。また、それ以外のタイトルであるが、2月1日のリーグカップ準決勝ではニースに勝利し、決勝戦を待つ状態であるが、フランスカップは2月15日のベスト8決定戦で4部に相当するCFAのブール・ペロナに3-1と勝利したが、3月20日に行われた準々決勝では3部に相当するナショナルリーグのクビリーに延長戦で敗れている。辛うじてチャンピオンズリーグでは2月22日のホームゲームで勝利をあげ、アウエーゲームでは敗れたものの、アウエーゴール2倍ルールで準々決勝に進出した次第である。
 降雪のために3月に延期されたリーグ戦第23節のエビアン戦も含めると3月の成績は1分6敗、得点5、失点12という成績は、19年前にミュンヘンのオリンピックスタジアムでビッグイヤーを掲げた面影は感じられない。

■不動のGKのスティーブ・マンダンダが出場停止

 さらに不安は不動のGKでありフランス代表にも入っているスティーブ・マンダンダが、インテル・ミラノとの対戦でレッドカードを受け、このバイエルン・ミュンヘン戦は出場停止となることである。マンダンダの代役はブラジル人のエリントン・アンドラーデである。背番号16のアンドラーデはリーグ戦での出場は今季はまだない。リーグ戦に関しては、アンドラーデは2009年にマルセイユに加盟して以来、移籍初年に3試合出場しただけである。今季、最後に試合に出場したのは昨年1月9日のフランスカップのベスト32決定戦、2部のエビアン戦に出場し、3点を奪われ、マルセイユは早々と姿を消すことになった。それ以来、1年3か月ぶりの試合出場、その相手がバイエルン・ミュンヘンというのは非常に重いものを感じる。

■驚異的な得点を誇るスーパーマリオことマリオ・ゴメス

 対するバイエルン・ミュンヘンの攻撃の中心はマリオ・ゴメスである。ドイツ代表としても活躍しており、シュツットガルトから移籍してきた昨季は振るわなかったが、今季はここまでリーグ戦とチャンピオンズリーグの33試合に出場し、実に33得点をきめている。全盛期のジャン・ピエール・パパンをしのぐ数字である。このゴメスは左足でも右足でもお募金等にゴールを決めている。そしてこのスーパーマリオことゴメスに最も多くのパスを供給しているのがフランス代表のフランク・リベリーである。リベリー-ゴメスのホットラインをどのように防ぐのかが試合の見所であろう。

■代役GKには重すぎる大役、0-2で初戦を落とす

 第1戦はマルセイユの本拠地ベロドロームで3月28日に行われた。ゴメスは今季のチャンピオンズリーグのアウエーゲームで得点をあげていない。しかし、スーパーマリオの勢いは止まらなかった。試合は終始赤いユニフォームのバイエルン・ミュンヘンのペースで進む。それに対し、マルセイユはロッド・ファンニとニコラ・ヌクルのストッパー陣が健闘し、得点を許さず、マチュー・バルブエナを中心に反撃する。前半は無得点かと思われた44分、バイエルン・ミュンヘンはカウンターアタックからアリエン・ロッベンからのセンタリングをゴメスがシュート、代役GKのアンドラーデのミスもあり、ゴメスは今季初めてチャンピオンズリーグのアウエーゲームで得点をあげる。
 後半に入ってもバイエルン・ミュンヘンの勢いは止まらない。69分にはトップ下のトーマス・ミューラーとロッベンがワンツーパスを交換、最後はロッベンが左足のサイドキックでGKの動きを見ながらシュートを決める。
 あまりにもアンドラーデには重すぎる大役であった。マルセイユは0-2とホームでの第1戦を落としたのである。(続く)

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