第1454回 欧州カップ開幕(4) 大型移籍組が活躍したパリサンジェルマン、新スタジアムで敗れたリール
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■チャンピオンズリーグの常連、ズラタン・イブラヒモビッチ
欧州の強豪チームを渡り歩いてきたスウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチ、これまでにチャンピオンズリーグには86試合に出場し、28得点を記録している。これまでにイブラヒモビッチが所属した5チームはいずれもチャンピオンズリーグを制覇した経験のあるチームばかりであるが、イブラヒモビッチ自身はこのタイトルとは無縁である。このたび移籍してきたパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグ優勝のないチームであり、パリサンジェルマンをチャンピオンズリーグの優勝に導くことは自身が初めて欧州の頂点に立つことを意味している。
■欧州選手権でウクライナに敗れたスウェーデン
パリサンジェルマンの初戦の相手はウクライナのディナモ・キエフである。イブラヒモビッチは6月から7月にかけて行われた欧州選手権で、スウェーデン代表としてグループリーグでフランスともウクライナとも対戦している。スウェーデンは初戦でウクライナと対戦し、52分にイブラヒモビッチは先制点をあげているが、逆転され、1-2と敗れている。スウェーデンは第2戦でもイングランドに逆転負け、勝ち点を全くあげることなく、グループリーグの最終戦でフランスと対戦する。この試合両チーム無得点で迎えた54分、イブラヒモビッチは大会ベストゴールとも評される先制ゴールを決め、その後もスウェーデンは追加点、2-0とフランスの勝利したもののグループリーグで敗退となった。
■大型移籍組の活躍でディナモ・キエフを粉砕
その因縁のウクライナを代表するチームとフランスを代表するチームの一員として対戦する。イブラヒモビッチはこのディナモ・キエフ戦には並々ならぬ闘志を持って挑んだ。
パリサンジェルマンは4万3000人の大観衆の前で、ディナモ・キエフを圧倒する。19分にはジェレミー・メネスがペナルティエリア内で倒されて得たPKをイブラヒモビッチが決めて先制する。29分にはチアゴ・シルバ、32分にはアレックスとブラジル勢が追加点を入れて前半で3-0と大量のリードを奪う。試合終了間際にディナモ・キエフは1点を返すが、パリサンジェルマンはロスタイムにハビエル・パストーレがゴールを決めて4-1と大勝して幸先の良いスタートを切った。この試合は今季大型補強したイブラヒモビッチだけではなく、昨年イブラヒモビッチのほぼ2倍の移籍金で獲得したパストーレが加入以来最も良い動きをしたことは今季のパリサンジェルマンにとって大きな収穫であろう。さらに今季、ACミラン史上最高の移籍金でパリサンジェルマンに移籍してきたブラジル代表DFのチアゴ・シウバの活躍も見逃せない。空中線ではことごとく競り勝ち、得点も上げている。このように大型移籍で獲得した選手たちが活躍した。
■新スタジアムで試合巧者に敗れたリール
チャンピオンズリーグ2日目にはプレーオフを勝ち抜いたリールが登場した。リールの相手は第4シードのベラルーシのBATE、これまで3回チャンピオンズリーグに出場した経験があるが1度も勝ったことがない。しかもリールは新スタジアムを使用するホームゲームである。
試合前の予想ではリール優勢という声が強く、リールは積極的に攻め、チャンスをつかむがBATEの攻撃力、決定力の前に屈した。開始6分に失点し、前半のうちに2点を追加され、0-3と3点のリードを許してハーフタイムを迎える。圧倒的に攻めていたリールであるが、得点は60分のオーレリアン・シェジュのみ、第4シード相手のホームゲームでリールはまさかの敗戦、しかも1-3というスコアで敗れてしまったのである。
初日に登場したモンペリエとパリサンジェルマンの出来は良かっただけに欧州規格のスタジアムで初戦を迎えるリールには期待が高かったが、その期待に応えることができず、苦い新スタジアムでの本戦スタートとなったのである。(続く)