第1489回 欧州カップ、グループリーグ終盤戦(3) 南米勢がゲームを演出、パリサンジェルマンが首位通過
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■国内では失速気味のパリサンジェルマン
グループAの首位をかけたパリサンジェルマンとポルト(ポルトガル)の戦いは12月4日の火曜日にパルク・デ・プランスで行われた。グループ首位となり、2月に再開する決勝トーナメントでアドバンテージを得たいと思うのはパリサンジェルマンもポルトも同様である。
国内リーグで19年ぶりの優勝を目指すパリサンジェルマンであるが、このところリーグ戦では足踏み状態が続く。11月のパリサンジェルマンの戦績であるが、チャンピオンズリーグは本連載で紹介してきたとおりディナモ・ザグレブとディナモ・キエフに連勝した。しかし、国内リーグに関してはホームでサンテチエンヌに敗れて11月がスタート、アウエーでモンペリエと引き分け、そしてホームに戻ってきてレンヌに敗れる。ようやく11月最後のリーグ戦でトロワに勝利し、11月のリーグ戦の戦績は1勝1分2敗と負け越し、さらに11月最後の試合はリーグカップのサンテチエンヌ戦、この試合はPK戦で敗れ、12月1日のリーグ戦のニース戦も1-2と敗れており、11月以降の国内での戦績は1勝1分4敗(うち1PK負け)と失速し、第15節が終わった段階でのリーグ戦での順位は4位、首位のリヨンとは勝ち点で5の差がついてしまった。
■チアゴ・シウバの好守にわたる活躍
この調子でポルト戦で引き分け以下になった場合、チャンピオンズリーグでのここまでの3連勝もかなわず、2位通過になってしまう試合は4万5512人と今季のパルク・デ・プランスでは最高の観客の前でキックオフ、そしてファンの関心にこたえるようなスペクタクルな試合となった。
この試合で先に得点機を演出したのはポルトであった。10分、11分と波状攻撃でパリサンジェルマンのゴールを脅かす。このピンチを救ったのは主将のチアゴ・シウバである。ブラジル代表でも主将を務めるストッパーのチアゴ・シウバがゴールラインを越えようとするボールをクリア、ポルトの先制点を阻止した。そして今度はチアゴ・シウバは自ら先制点をあげる。29分、パリサンジェルマンは敵陣深い左サイドでFKのチャンスをつかむ。キッカーはブラジル人のマクスウェル。ブラジル勢のホットラインでチアゴ・シウバは先制点を決める。
主将の先制点で歓声をあげるパルク・デ・プランス、このゴールがクラブにとって欧州カップで通算250ゴール目という記念すべきゴールとなった。
■すかさずポルトが同点に追いつく
しかし、首位をキープしたいポルトもすかさず反撃する。33分にはブラジル代表のダニーロからのパスをコロンビア代表のジャクソン・マルティネスがファーサイドでヘッドで合わせてたちまち同点ゴール。通常であれば沈黙が訪れるパルク・デ・プランスであるがこの日は多くのポルトガル人のファンが訪れており、歓声が沸く。 試合はパリサンジェルマンが優勢に進めながらもスコアは1-1、このまま引き分ければポルトが首位、パリサンジェルマンという状況でハーフタイムを迎える。
■ポルトのブラジル人GKエウトン、痛恨のミス
パリサンジェルマンはハビエル・パストーレを起点とするパスでゲームを組み立てる。33分にダニーロのパスを許したのはこのパストーレの守備のミスであり、これを挽回しようと積極的に試合を作る。そして61分、ジェレミー・メネスからのグラウンダーのパスを前節のディナモ・キエフ戦勝利の立役者のアルゼンチン代表のエセキエル・ラベッシがグラウンダーのシュート、このシュートはGKにたやすくセーブされるかと思われたが、ブラジル人のGKのエウトンがまさかのキャッチミスで、ボールはゴールラインを越えてしまう。
この1点が決勝点となる。上記のレポートを見てお分かりの通り、この試合のキープレーヤーとなったのは南米出身の選手ばかり、冬のパリでの戦いを制したパリサンジェルマンはポルトをかわして首位を奪回、決勝トーナメントに第1シードとして挑むのである。(続く)