第1490回 欧州カップ、グループリーグ終盤戦(4) グループリーグ最下位に終わったモンペリエとリール
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■中盤戦で決勝トーナメントの望みが消えたモンペリエとリール
前回までの本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグの終盤戦でパリサンジェルマンが白星を重ね、第5節で決勝トーナメント進出を決め、最終節でグループリーグ首位突破を決めたことを紹介した。 好調なパリサンジェルマンと対照的な結果となったのが、昨季リーグチャンピオンのモンペリエと一昨季のリーグチャンピオンのリールである。第4節を終わった段階でモンペリエは3位以下が確定、リールは最下位が確定してしまった。
■昨季リーグ優勝の立役者のオリビエ・ジルーの2アシストにより最下位確定
モンペリエの第5節の相手はイングランドのアーセナルである。アーセナルは連勝でスタートしたものの、第3節と第4節でドイツのシャルケ04と対戦しているが、1分1敗で勝ち点を1しか上積みすることができず、首位の座をシャルケ04に奪われ、3位のオリンピアコス(ギリシャ)に勝ち点1差に迫られた。これら3チームの争いとなったグループB、11月21日に行われた第5節は上位2チームが下位2チームを迎えるという構図になった。13季連続のベスト16進出を狙うアーセナルは本拠地ハイベリーにモンペリエを迎え、前半はなかなかゴールを奪うことができなかったが、後半になって本領発揮、49分にジャック・ウィルシャー、63分にルーカス・ポドルスキーが得点をあげたが、いずれのゴールもアシストはオリビエ・ジルー、昨年までモンペリエに所属していた選手が、モンペリエをノックアウトするお膳立てをした。シャルケ04がオリンピアコスを1-0と下したことにより、グループBはシャルケ04とアーセナルが決勝トーナメント進出を決定、3位はオリンピアコス、そしてモンペリエは最下位が確定してしまった。
■最終戦もシャルケ04と引き分け、勝ち星なしに終わったモンペリエ
欧州への道が閉ざされたモンペリエ、最終節はシャルケ04をホームに迎える。ここまで1分4敗と勝ちのないモンペリエは最終戦では勝利がほしいところである。ところが相手のシャルケ04は決勝トーナメント進出を決めたといってもこの最終戦に首位通過がかかっている。そんなわけで気の抜けない相手との戦いとなった。モンペリエのラモッソン競技場でモンペリエのイレブンは健闘した。ほぼ互角の戦いをしただけではなく積極的にゴールを狙い、しばしばシャルケ04のゴールを襲う。前半は両チーム無得点であったが、後半にこの試合最初のゴールをあげたのはシャルケ04であった。ベネディクト・ヘーベネスがゴールを決める。しかし、この先制点で気落ちすることなく、モンペリエはその3分後にエマニュエル・エレーラのゴールで追いつく。シュート数でシャルケ04を上回ったモンペリエであったが、勝ち越し点を奪うことができず、初のチャンピオンズリーグ挑戦は2分4敗と勝利なしに終わった。
モンペリエは健闘した感はあるが、力不足ではあった。特に前半3試合はいずれも先制しながらリードを守りきれず、欧州の舞台の厳しさを痛感した。国内リーグでも中位、国内タイトルに専念できる後半戦ではリーグあるいはカップ戦で成果を残し、来季に欧州の舞台に戻ってくることを期待したい。
■ベラルーシで勝ち星をあげたが、ホームの新スタジアムで3連敗のリール
モンペリエよりもさらに厳しい戦いとなったのがリールである。5万人収容の新スタジアムが完成し、ようやく本拠地で欧州カップを戦う態勢が整ったが、4連敗でファンの期待を裏切り、2試合残した段階でグループFの最下位が決定する。第5節はベラルーシのBATEボリソフとアウエーで対戦する。第2節でドイツのバイエルン・ミュンヘンを破ったBATEボリソフ相手にリールは劣勢の試合の中で勝利した。14分にジブリル・シティベが先制点、31分にジャンニ・ブルーノが追加点、アウエーで2-0とミラクルの勝利をあげた。
この勢いで最終節のホームでの試合に勝利したいリールであったが、最終節の相手は勝ち点でバイエルン・ミュンヘンと並ぶスペインのバレンシアである。グループ首位突破を狙うバレンシアに対し、リールは36分にペナルティエリア内で痛恨のファウル、PKをジョナスが決める。リールは再三シュートを放つがノーゴールで0-1と敗れる。リールは1勝5敗で全日程を終了するが、ホームで全敗したのは他にはグループHのブラガ(ポルトガル)だけであり、新スタジアムのファンを喜ばせることができなかったのである。(続く)