第1625回 チャンピオンズリーグ グループリーグ中盤戦(5) パリサンジェルマンあと一歩、マルセイユ敗退
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■前半戦で明暗の分かれたパリサンジェルマンとマルセイユ
フランスのサッカー界を代表するパリサンジェルマンとマルセイユ、昨季は19年ぶりにパリサンジェルマンがリーグ優勝を果たしただけではなく、この両チームが19年ぶりにリーグ優勝と2位を占めたシーズンでもあった。
そのような両雄がそろい踏みした今季のチャンピオンズリーグであったが、パリサンジェルマンは3連勝、一方のマルセイユは3連敗で前半戦を折り返す。これほど明暗が分かれるとはパリサンジェルマンのファンですら予想はせず、マルセイユのファンは信じたくないという気持ちでいっぱいであろう。
■初めてリードを許したパリサンジェルマン
後半戦最初の試合となる第4節は11月5日と6日に行われた。11月5日にはグループCのパリサンジェルマンがアンデルレヒト(ベルギー)をパルク・デ・プランスに迎える。そして翌日の6日にはマルセイユがナポリ(イタリア)に遠征する。両チームが対戦するクラブのあるベルギーもイタリアもすでに来年のワールドカップ出場を決定しており、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグにファンは関心を集中できる。一方のフランス、このチャンピオンズリーグの第4節を過ぎればもうウクライナとのプレーオフが待っている。
パリサンジェルマンは3連勝であり、アンデルレヒトにホームで勝利すれば、早々と決勝トーナメント進出を決める。さらに、オリンピアコス-ベンフィカ戦が引き分けに終わった場合は首位突破も確定させることができる。パルク・デ・プランスに集まった観衆は4万3000人と超満員。パリサンジェルマンは2週間前のブリュッセルで5-0と大勝していることからこの日も楽勝かと思われた。試合はその予想通りパリサンジェルマンが、ボールを支配する展開となった。しかし、アンデルレヒトは粘り強い守備を見せ、パリサンジェルマンはなかなか得点をあげることができない。パリサンジェルマンはボールを支配し、シュートはするものの、ゴールネットを揺らすことなく、逆にアンデルレヒトの守備の目立つ試合となった。そして驚きは68分、アンデルレヒトのオランダ代表のデミー・デゼーウが先制点をあげる。大勝続きのパリサンジェルマンであったが、今季4試合目にしてこれが2失点目、そして初めてリードを奪われた。
■ズラタン・イブラヒモビッチのゴールでドローに持ち込む
満員のパルク・デ・プランスはどよめくが、間もなく歓声に代わった。2分後の70分、ズラタン・イブラヒモビッチがシュート、このシュートはアンデルレヒトのGKトーマス・カミンスキにはじかれたが、こぼれ球を押し込んで同点に追いつく。終盤にアンデルレヒトは退場者を出し、パリサンジェルマンは逆転のチャンスがあったが、1-1の引き分けに終わり、3位以上は確定したものの、決勝トーナメント進出は11月27日以降の試合で勝ち点1が必要である。
■先制むなしく4連敗で敗退したマルセイユ
その翌日、マルセイユがナポリに乗り込む。黄金期のマルセイユを知るファンにとってナポリは因縁のクラブである。当時ナポリに所属していたディエゴ・マラドーナの獲得に失敗する。もし、マラドーナがマルセイユに来たならば、欧州の頂点に立っていたであろう。そしてマルセイユのナポリ遠征はまさに剣ヶ峰。グループFは前半戦を終えて他の3チームは2勝1敗で勝ち点6、マルセイユだけが勝ち点0である。この日負ければ、決勝トーナメントが早くも消える。マルセイユは10分にアンドレ・アユーが先制点をあげる。今季初の先制点である。しかし22分に追いつかれ、さらに24分に逆転される。
後半に入ってマルセイユは64分、昨季のリーグ新人王のフローリアン・トーバンが同点ゴールをあげて望みを託す。しかし、75分にナポリはゴンサロ・イグアインがこの日2点目をあげ、逆転する。点の取り合いとなったこの試合、ナポリが3-2と制し、4連敗のマルセイユは3位以下が決定したのである。(この項、終わり)