第1693回 欧州6位が確定したフランスリーグ

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今年も準決勝に進出できなかったフランス勢

 これまでの連載では、チャンピオンズリーグ準々決勝でパリサンジェルマンがチェルシー(イングランド)に敗れ、ヨーロッパリーグ準々決勝でリヨンがユベントス(イタリア)に敗れたことを紹介してきた。すなわち今シーズンはフランス勢が準決勝に残ることができなかったことを表している。

■フランス勢全体の成績は6季ぶりの悪成績

 昨季はチャンピオンズリーグでパリサンジェルマンが準々決勝敗退、ヨーロッパリーグではボルドーがベスト8決定戦で敗退と、それぞれ最後まで残ったクラブの戦績を見ると今季の方がいい成績を残しているように見えるが、フランスのクラブ全体を見てみるとそうではない。今季はチャンピオンズリーグではパリサンジェルマンが準々決勝進出、マルセイユがグループリーグ敗退、ヨーロッパリーグではリヨンが準々決勝進出、ボルドーがグループリーグ敗退、サンテチエンヌとニースはプレーオフで敗れ、4チームしかグループリーグを戦っていない。
 昨季はチャンピオンズリーグでパリサンジェルマンが準々決勝に進出した以外にリールとモンペリエがグループリーグ敗退、ボルドーがベスト8決定戦進出、リヨンがベスト16決定戦進出、マルセイユがグループリーグ敗退ということで、6チームがグループリーグを戦っている。
 このようにフランスのクラブ全体の成績を見ると今季の戦績は久しぶりに悪い成績であり、2007-08シーズン以来の成績となってしまった。6季前は7チームがチャンピオンズリーグ、UEFAカップ(現在のヨーロッパリーグ)に出場しながら、早期敗退が続出し決勝トーナメントを戦ったのがリヨン(チャンピオンズリーグベスト8決定戦進出)、マルセイユ(UEFAカップベスト8決定戦進出)とボルドー(UEFAカップベスト16決定戦進出)だけで、レンヌとトゥールーズがUEFAカップのグループリーグで敗退、RCランスとソショーがUEFAカップの1回戦(当時の大会方式は1回戦を勝利したチームがグループリーグに出場)敗退となっている。

■出場チーム数等を決定するUEFAインデックス

 注意深い読者の皆様は6季前は7チームが欧州の舞台で戦ったのに、昨季、今季と6チームしか戦っていないことにお気づきかと思う。これはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグというUEFAの主催する大会での各クラブの過去5年間の成績をリーグごとに指標化したUEFAインデックスによって、各国のリーグごとの出場チーム数、参戦段階が決まるからである。
 本連載でもしばしば紹介している通り、現在のフランスの順位は6位である。欧州5大リーグといいながら5位から転落してしまっている。2013年時点のランキングは1位スペイン、2位イングランド、3位ドイツ、4位イタリア、5位ポルトガル、6位フランスとなっている。フランスは1990年代からトップ5に入り、1990年代半ばはイタリアに次いで2位をキープしていたこともあったが、2000年代に入りトップスリーはイタリア、イングランド、スペインが競り合い、フランスは4位の座をドイツと争うという構図であった。ところが、2010年代になってからはドイツがイタリアと入れ替わり、フランスは5位に定着、そして6位のポルトガルに抜かれたのが2012年のことである。

■5位ポルトガルとの差が広がった6位フランス

 2013年におけるポルトガルのポイントは59,168ポイント、追うフランスは59,000ポイントと僅差である。フランスとしてはポルトガルを抜き5位に入れば、チャンピオンズリーグに出場する第3のチームが予備戦3回戦ではなくプレーオフから出場できる。
 しかし、今季のポルトガル勢は好成績を残し、ヨーロッパリーグではポルトとベンフィカが準々決勝進出、ベンフィカは準々決勝でオランダのAZ、準決勝でイタリアのユベントスを下し、決勝でスペインのセビリアと対戦する。ポルトガルはポイントを積み上げ、フランスは逆転できず、6位が確定するとともに、両者の差は広がり、次年度の逆転も難しくなった。
 フランスリーグが欧州の5大リーグとして復活する日はいつ来るのであろうか。(この項、終わり)

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