第1792回 チャンピオンズリーグ終盤戦(4) モナコ、首位でグループリーグを突破
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■第5節で順位の変動はなかったが、首位に勝ち点1差に迫ったモナコ
中盤戦を終えた段階で決勝トーナメント進出チームも予選敗退チームもないのは8つのグループのうち、グループAとモナコの所属するグループCだけである。グループCは前回の本連載で紹介した通り、11月26日に第5節が行われ、首位レバークーゼン(ドイツ)、2位モナコ、3位ゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)、4位ベンフィカ(ポルトガル)という順位には変更がなかったが、モナコにとっては大きな前進となった。
それは第5節でモナコは1強であったレバークーゼンとアウエーで対戦したが、レバークーゼンは試合前に決勝トーナメント進出が決まったこともあったのか、試合を圧倒したもののゴールを奪えず、モナコが勝利し、勝ち点差を1に縮めた。これは最終節の結果によってはモナコが首位で決勝トーナメントに進出することを意味している。
■ポルトガルのベンフィカ、最下位が決定し敗退
そしてもう1つは3位のゼニト・サンクトペテルブルクと最下位のベンフィカの勝ち点差は3であるが、最終節でベンフィカがゼニト・サンクトペテルブルクに勝ち点で追いついても、順位決定の第一優先は直接対戦の結果であり、直接対決で2勝しているゼニト・サンクトペテルブルクが3位となり、ベンフィカが最下位となる。ベンフィカはヨーロッパリーグにも出場できず、ポルトガル勢でチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出するのはポルト1チームだけとなった。これはUEFAインデックスでポルトガルを追うフランスにとってはよいニュースである。
■モナコの決勝トーナメント進出と首位突破の条件
グループCの最終節は12月9日に行われ、モナコ-ゼニト・サンクトペテルブルク戦と、ベンフィカ-レバークーゼン戦が20時45分に同時にキックオフされる。2位モナコと3位ゼニト・サンクトペテルブルクの直接対決で、モナコは引き分け以上で決勝トーナメント進出、そしてゼニト・サンクトペテルブルクが勝利すれば決勝トーナメント進出となる。
そして、すでに決勝トーナメント進出を決めたレバークーゼンと最下位で敗退が決まったベンフィカの対戦結果でどのチームが首位になるかが決まる。最終節を迎える段階で3チームに首位突破の可能性が残されている。モナコが首位になる条件は大きく言って2つあり、まず1つはモナコがゼニト・サンクトペテルブルクに勝利し、レバークーゼンがベンフィカ相手に引き分け以下となった場合、モナコの勝ち点がレバークーゼンのそれを上回る。もう1つはモナコとレバークーゼンの勝ち点が並んだ場合、すなわちモナコが引き分け、レバークーゼンが敗れた場合である。勝ち点9で両チームが並ぶが、モナコとレバークーゼンの直接対決の結果はモナコの2勝であるため、モナコが優先される。
ここまでモナコはわずか1失点と堅守が光るが、一方得点もわずか2である。過去にグループリーグを突破したチームの最少得点記録は2005-06シーズンのビジャレアル(スペイン)と、2002-03シーズンのASローマの3得点であり、もしモナコがスコアレスドローで決勝トーナメント進出を決めた場合、新記録の達成となる。
■堅守モナコ、通算4得点でグループリーグを首位突破
前半のモナコはこれまでの戦いのリプレイを見るようであり、これといったチャンスもピンチもない試合展開であった。ボール支配率でも劣ったモナコであるが数少ないチャンスを活かすという点ではこの試合も同様であった。63分、モナコはヤニック・フェレイラ・カラスコからのパスをDFのアイメン・アブデヌールがヘディングで決め、均衡を破る。逆転勝利を狙うゼニト・サンクトペテルブルクは前がかりになる。これがまさにモナコの術中にはまり、モナコは試合終了直前にジョアン・モウチーニョからのパスをフリーのファビアーノが追加点、2-0とゼニト・サンクトペテルブルクを下し、歴代3番目の得点の少なさで決勝トーナメント進出を決める。
一方、リスボンでの試合はスコアレスドローとなり、モナコは首位でグループリーグを突破したのである。(この項、終わり)