第1833回 イングランド勢を下したパリサンジェルマンとモナコ(4) 5年ぶりに8強にフランスから2チーム
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アウエーゴールの差で勝ち抜いたパリサンジェルマンとモナコ
チャンピオンズリーグ決勝トーナメント、最初の関門である1回戦、フランスから出場したパリサンジェルマンもモナコもアウエーゴール2倍ルールで勝ち上がった。チャンピオンズリーグの1回戦は8試合、ヨーロッパリーグの1回戦は16試合あったが、アウエーゴールの差で勝敗が決まったのはこの2試合だけである。ちなみにアウエーゴールの差でも決着がつかず、PK戦になったのはチャンピオンズリーグのアトレチコ・マドリッド(スペイン)-バイエル・レバークーゼン(ドイツ)戦とヨーロッパリーグのベジクタシュ(トルコ)-リバプール(イングランド)戦だけである。
■極めて珍しい1回戦での2つのアウエーゴールの差での勝利
1992年に大会形式を変更し、ホームアンドアウエー方式のノックアウトシステムが大会の後半だけになってから、これまでにアウエーゴール2倍ルールで決着がついたのは昨季まで24回、すなわち1シーズンに1回程度しかない計算になるが、今年は決勝トーナメント1回戦8試合のうち2試合がこのルールが適用となり、しかもそれがいずれもフランス勢の勝利、イングランド勢の敗退となった。モナコは準優勝した2003-04シーズンのチャンピオンズリーグでは決勝トーナメントの1回戦のロコモティフ・モスクワ(ロシア)戦、準々決勝のレアル・マドリッド(スペイン)戦でアウエーゴールの差で勝ち抜いており、欧州カップで今回のアーセナル(イングランド)戦が4回目のアウエーゴール2倍ルールでの勝ち抜きとなった。
■フランス勢の8強2チームは5年ぶり3回目の快挙
パリサンジェルマンとモナコの劇的なアウエーゴールの差での8強入りに歓喜するフランスのサッカーファンであるが、ベスト8にフランス勢が2チーム入ったのはこれまで2回しかない。モナコが準優勝した2003-04シーズンはモナコとリヨンが準々決勝に進出しており、リヨンは準々決勝でポルト(ポルトガル)に敗れている。また2009-10シーズンはボルドーとリヨンが8強入りしているが、この時は準々決勝でボルドーとリヨンが対戦、リヨンが準決勝に進出し、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れている。 このように見てみると、フランス勢が2チーム8強入りしたことも快挙であれば、その8強入りがアウエーゴールの差で決まるということも劇的であり、フランスのファンはこれまでにない春の訪れを感じているであろう。
■8強にスペイン勢3チーム、イングランド勢は全滅
さて、これ以外の準々決勝進出チームを紹介しよう。
レアル・マドリッドはドイツのシャルケ04相手にアウエーの第1戦で2-0の勝利、ホームの第2戦はゴールの応酬となり、3-4と逆転負けを喫したが2試合合計のスコアは5-4で8強入りを決める。同じく第1戦をアウエーで戦ったバイエルン・ミュンヘンはシャフタール・ドネツク(ウクライナ)相手にスコアレスドロー、ホームに戻ってきた第2戦は7-0と大勝して1回戦を突破する。ポルトガルのポルトも同じパターンでスイスのFCバーゼル相手に第1戦はアウエーで1-1のドロー、ホームの第2戦で4-0と大勝する。
グループリーグを首位で突破し、第1戦をアウエーで戦った中でモナコ同様に勝利をあげたのがスペインのバルセロナである。イングランドのマンチェスター・シティ相手に2-1と勝利し、ホームの第2戦でも1-0と勝利する。逆にグループリーグ2位突破でありながらグループリーグ首位突破のチームをねじ伏せたのがユベントス(イタリア)であり、ホームの第1戦でボルシア・ドルトムントを2-1、アウエーの第2戦でも3-0と連勝する。1回戦で連勝したのはバルセロナとユベントスだけである。
先に紹介したアトレチコ・マドリッドとバイエル・レバークーゼンの試合は、第1戦をレバークーゼン、第2戦をマドリッドで行い、いずれも1-0、マドリッドの試合では延長戦になっても得点が生まれず、PK戦でアトレチコ・マドリッドが勝ち抜く。
スペイン勢は3年連続で3チームが8強に入った。一方、イングランドのチームは8強に残れなかったのである。(この項、終わり)