第1846回 フランス勢、準々決勝で沈む(3) パリサンジェルマン、8季ぶりにホームで黒星

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■相手国勢との対戦を得意とするパリサンジェルマンとバルセロナ

 チャンピオンズリーグ準々決勝の第1戦、初日の4月14日のフランス勢はモナコがアウエーでユベントス(イタリア)に0-1と惜敗した。2日目はパリサンジェルマンがホームにバルセロナ(スペイン)を迎える。
 前日に登場したモナコがイタリア勢を苦手とし、ユベントスがフランス勢を得意としているのとは異なり、パリサンジェルマンはスペイン勢と22戦して10勝6分6敗、バルセロナはフランス勢と21戦して10勝7分4敗とそれぞれ得意にしている。そして前々回の本連載で紹介した通り、この両チームは今季のグループリーグでも対戦しており、第2節の9月30日のパリでの対戦はパリサンジェルマンが3-2、最終節の12月10日のバルセロナでの対戦はバルセロナが3-1とそれぞれホームチームが勝利している。

■ズラタン・イブラヒモビッチを累積警告で欠くパリサンジェルマン

 バルセロナにはリオネル・メッシに加え、昨季からネイマール、今季からルイス・スアレスと世界的なスターがそろうが、パリサンジェルマンもズラタン・イブラヒモビッチ、チアゴ・シウバ、エディンソン・カバーニ、ダビド・ルイスとスターを補強してきた。バルセロナの攻撃陣をパリサンジェルマンの守備陣がどれだけ押さえることができるかが試合の焦点であり、パリサンジェルマンはイブラヒモビッチを累積警告で欠くとは言え、今季のチャンピオンズリーグで6得点をあげているカバーニの得点力に期待したいところである。

■試合を支配したバルセロナが次々にゴール

 ビッグクラブ同士の対戦を楽しみに、パルク・デ・プランスには45,893人の観衆が集まった。しかし、試合は一方的な展開となる。バルセロナは6割以上のボール支配率で試合の主導権を握る。18分にはバルセロナに先制点を奪われる。左サイドを主将のイニエスタが攻め上がり、メッシにパスをつなぐ。メッシはペナルティエリア内のネイマールにパル、ネイマールは低い弾道のシュートを放ち、パリサンジェルマンのGKのサルバトーレ・シリグのセーブも及ばず、この試合初めてネットが揺れる。そしてその直後の21分のことであった。パリサンジェルマンの守備の要である主将のチアゴ・シウバが負傷する。パリサンジェルマンのベンチは負傷を抱えているためベンチスタートとなったダビド・ルイスをあわててピッチに送り出すが、準備不足の感は否めず、バルセロナの攻撃を防ぎきることはできなかった。28分にパリサンジェルマンは同点のチャンスを迎えるが、これをいかせず、1点のリードを許して後半に入る。
 後半に入ってもバルセロナが優勢という展開は変わらず、67分にスアレスが追加点を奪う。さらに79分にハビエル・マスチェラーノとスアレスのワンツーが決まり、スアレスが右足で強烈なシュート、3-0と点差は広がる。

■2006年秋以来の欧州カップのホームゲームでの敗戦となったパリサンジェルマン

 ようやくパリサンジェルマンが一矢報いたのが82分のことであった、ブレーズ・マツイディのクロスのクリアボールを右サイドDFのグレゴリー・ファンデルビールがボレーで一撃、バルセロナのジェレミー・マチューに当たってゴールインしたが、2点差に詰め寄るが、時すでに遅く、パリサンジェルマンは1-3とホームの第1戦で黒星を喫した。
 パリサンジェルマンは2006年11月23日の当時のUEFAカップでイスラエルのハポエル・テルアビブに2-4と負けて以来、欧州カップのホームゲームでは一度も負けておらず、これまで33戦無敗(22勝11分)を継続していたが、9年ぶりの本拠地での敗戦により記録も途絶えた。
 そしてパリサンジェルマン側としては予想もしていなかった1-3というスコアでの敗戦であるが、過去のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントでホームの第1戦を1-3と落としたチームがアウエーの第2戦で2点差以上の勝利で逆転して勝ち抜いたことはこれまで一度もないのである。(続く)

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