第1891回 国内よりも先に始まった欧州の戦い(1) モナコ、フランス勢最初の公式戦で勝利
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■チャンピオンズリーグ本戦の出場権をつかんだ22チーム
第1883回の本連載ではシーズン開幕に向けての各チームの準備について紹介したが、フランスリーグの開幕の前週にパリサンジェルマンとリヨンがチャンピオンズトロフィーを争う。
しかし、欧州の舞台ではこれより早く、戦いの火ぶたが切られている。それがチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの予備戦である。
欧州のクラブナンバーワンを決めるチャンピオンズリーグは9月から4チームずつ8つのグループリーグが始まる。32チームが本戦に出場するわけであるが、昨年のシーズンが終了した段階で本戦出場権を獲得しているのは22チームである。スペイン4チーム、イングランド3チーム、ドイツ3チーム、イタリア2チーム、ポルトガル2チーム、フランス2チーム、そしてロシア、ウクライナ、ベルギー、オランダ、トルコ、ギリシャから1チームという内訳であり、有力国のリーグの上位の複数チーム(スペインのセビリアだけは例外で、昨季のヨーロッパリーグの優勝チームとして出場)とそれに続く中堅国のリーグ優勝チームが出場権を得ている。
■10枚のチケットを争う予備戦
これ以外の10チームは予備戦を経て本戦へのチケットをつかむことになるが、この10チームの決定方法について紹介しておこう。チャンピオンズリーグの前身のチャンピオンズカップは各国のリーグの優勝チームだけの出場できる大会であったが、チャンピオンズリーグとなってからは各国リーグのレベルに応じて出場国を配分している。先述のとおり、有力国からは複数チームが出場できる。予備戦も同じ考え方である。予備戦は大きく2つのグループに分けられ、中堅以上のリーグとそれ以外のリーグのチームに分けられている。
まず、中堅以下のリーグに関してはリーグ優勝した20チームが予備戦、プレーオフを戦い、5チームが本戦出場権を得ることができる。
一方、中堅以上のリーグに関して予備戦で3回戦まで行い、5チームにしぼり、この5チームと欧州の上位5リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア、ポルトガル)のチームを交えてプレーオフで戦う。このプレーオフで勝利した5チームには本戦出場権が与えられ、プレーオフで敗れたチームはヨーロッパリーグの本戦に出場することになる。
■予備戦3回戦から参戦する昨季リーグ3位のモナコ
フランスは本連載で紹介している通り、6番目のリーグとなったことから、リーグ3位のモナコは予備戦3回戦からの出場となる。モナコは予備戦3回戦でスイスのヤングボーイズと対戦する。ヤングボーイズは昨季のスイスリーグでバーゼルに次いで2位、モナコ同様に予備戦の3回戦からの参戦となる。
力量的にはモナコが上であるという大方の予想であるが、これまでにフランス勢は予備戦やプレーオフで何度も苦汁を飲まされてきた。これはシーズン開幕前でチームが完成された状態ではないことも大きな理由であろう。1999年にはリヨンがスロベニアのマリボーに0-1、0-2と連敗している。そういう点ではすでにスイスリーグが開幕しておりモナコ戦までに2試合(いずれも引き分け)を消化しているヤングボーイズはモナコにとっては侮りがたい相手である。
■フランスサッカー界にとって今季初の公式戦はモナコが完勝
昨季のチャンピオンズリーグで準々決勝に進出したモナコもここで足元をすくわれるわけにはいかない。大型補強を繰り返してきたモナコであるが、今季の補強は若手選手中心である。
フランスサッカー今季初の公式戦は7月28日、スイスの首都ベルンのスイス競技場でキックオフされた。モナコの先発は所属しているメンバーが中心、試合開始から相手のボールを支配されてもあわてることなく試合を運ぶ。前半は両チーム得点はなかったが、後半に入って試合は動く。
64分にレイバン・クルザワが先制点、72分には新加入で途中出場のギド・カリーニョが追加点、ヤングボーイズも74分に1点を返すが、モナコは今季から加入したクロアチア代表のマリオ・パサリッチがゴールをあげ、3-1とアウエーでの第1戦で勝利したのである。(続く)