第1904回 本戦出場をかけたプレーオフ(2) モナコ、本拠地の勝利も及ばずプレーオフで敗退
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■選手の移籍に関わるチャンピオンズリーグ本戦出場
チャンピオンズリーグの本戦出場をかけてスペインのバレンシアとプレーオフを戦うモナコ、8月22日にバレンシアで行われた第1戦をモナコは1-3と落としてしまう。第2戦は8月25日、モナコのルイ二世競技場で行われる。
第1戦と第2戦の間にモナコはリーグ戦でトゥールーズとアウエーで対戦し1-1のドロー、3節終えたところで1勝2分、8位という成績である。
ホームでは2-0以上の成績で勝利しなくてはならないモナコであるが、この1戦は落とせない理由が2つある。
まず、当然ではあるが、チャンピオンズリーグの本戦に出場すれば、最低でも3試合ホームゲームを戦うことができ、入場料収入、テレビ放映権料、スポンサー料が入ってくる。敗れれば国内タイトルだけとなり、収入には大きな差が出る。そしてこの時点では欧州の夏の移籍市場はオープンであるため、チャンピオンリーグ出場を逃すと多くの選手を移籍させ、放出することにもなってくる。
■UEFAリーグランキングで5位争いをするポルトガル、フランス、ロシア
第2の理由としてはバレンシアを下すと、欧州内でリーグ別の力の指標であるUEFAインデックスで暫定的とはいえ、ポルトガルを抜いて5位に浮上することになる。6位の場合は国内リーグで3位のチームは今回のモナコがそうであるようにチャンピオンズリーグの予備戦の3回戦から出場しなくてはならない。5位に浮上すればプレーオフからの参戦となり、負担は大きく減る。現在の5位争いはポルトガル、フランス、ロシアの3か国であり、4位のイタリアとはかなり差が開いており、5位を確保することがフランスサッカー界の現実的な目標であろう。
■先制を許し、逆転をするも1点及ばず
ルイ二世競技場には1万3000人を超える観衆が集まる。2点以上を奪いたいモナコであったが、試合開始早々のミスによってファンの希望はしぼんでしまう。4分、モナコの右サイドDFのファビアーノがパスミス、これをバレンシアのCFのネグレドがインターセプトし、そのままシュート、モナコのGKダニエル・スバシッチも及ばず、1点をリードされる。すなわち、モナコは最低でも3点を奪わない限りチャンピオンズリーグへの道は閉ざされる。モナコは17分、アントニー・マルティアルからのクロスをストッパーのアンドレア・ラジが右足で決めて同点に追いつき、あと2点である。しかし、守備を固めたバレンシアは前半は完璧な試合運び、結局モナコの逆転ゴールを許さず、ハーフタイムを迎える。
後半もモナコは攻めながらも得点を奪うことができず、75分に直接ゴールを狙ったトマ・ルマールのFKをバレンシアのGKマチュー・ライアンがはじいたところをウワ・エチエジルが押し込んでようやくリードする。モナコは追加点をあげれば延長戦へ突入することができたが、結局3点目のゴールをあげることはできず、2-1のままで試合終了のホイッスルが吹かれる。昨季はベスト8に進出したモナコは2試合通算スコア3-4でプレーオフでの敗退となってしまい、ヨーロッパリーグに転戦することになった。
■昨季8強で唯一出場を逃したモナコ、5チームが出場するスペイン
昨年のベスト8から一転して本戦に出場できなかったモナコであるが、昨季のベスト8に残ったチームを見ると、バルセロナ、レアル・マドリッド、アトレチコ・マドリッド(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、ユベントス(イタリア)、ポルト(ポルトガル)、パリサンジェルマンとモナコ以外の7チームはすべて本戦の出場権をリーグ戦の成績ですでに確保している。フランスリーグのUEFAランキングの低迷とモナコ自身の戦力ダウンがもたらした結果と言えるであろう。
一方、モナコを下したバレンシアの所属するスペインリーグはUEFAのリーグランキングでトップであるが、チャンピオンズリーグぼグループリーグにバルセロナ、レアル・マドリッド、アトレチコ・マドリッド、セビリア、バレンシアと5チームが出場する。これは史上初めての快挙である。(続く)