第1929回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(5) パリの首位攻防戦はスコアレスドロー

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チャンピオンズリーグでは初対戦となるパリサンジェルマンとレアル・マドリッド

 前回の本連載ではリヨンがチャンピオンズリーグの中盤戦でロシアのゼニト・サンクトペテルブルクに連敗したことを紹介したが、もう1つのフランス勢であるパリサンジェルマンは中盤戦でスペインのレアル・マドリッドと対戦する。
 前々回の本連載で紹介した通り、すべてのグループの中で唯一の全勝対決である。パリサンジェルマンとレアル・マドリッドは過去の対戦は2回、1992-93 シーズンのUEFAカップ準々決勝、そしてその翌年の1993-94シーズンのカップウィナーズカップの準々決勝、いずれもパリサンジェルマンが勝ち抜いている。それ以来21年ぶりの対戦となり、前身のチャンピオンズカップを含めてチャンピオンズリーグでは初対決となる。

■接点の多いビッグクラブの選手たち

 欧州を代表するビッグクラブというだけで見どころは尽きないが、両チームの選手の経歴だけで話題は尽きない。まず今季パリサンジェルマンに加わったアンヘル・ディマリアはレアル・マドリッドからの移籍選手である。2013-14シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、アトレチコ・マドリッドを破って優勝を決めた試合のマンオブザマッチに選ばれている。またマドリッドはカリム・ベンゼマとラファエル・バランの2人のフランス代表選手を擁している。そしてパリサンジェルマン、エースのズラタン・イブラヒモビッチはかつて同じスペインのバルセロナに所属し、レアル・マドリッドの行く手を何度となくさえぎってきた。
 両チームのエースはスウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチとポルトガル代表のクリスチャーノ・ロナウド、2人は2年前にワールドカップ予選のプレーオフで対戦し、クリスチャーノ・ロナウドの3得点でポルトガルがブラジル行きのチケットを手に入れた。 そして両チームに共通するのがブラジル代表選手を多く抱えるという点である。パリサンジェルマンにはダビド・ルイス、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、ルーカスと4人のブラジル代表、レアル・マドリッドにもマルセロ、ダニーロ、カゼミロの3人がカナリア軍団である。

■ビッグゲームの経験のないパリサンジェルマンのケビン・トラップ

 ビッグネームが目白押しの両チームであるが、パリサンジェルマンのGKのケビン・トラップはドイツのフランクフルトから移籍してきたが、フランクフルトはチャンピオンズリーグには無縁のチームであり、チャンピオンズリーグにはパリサンジェルマンに移籍してきて初めて出場することになる。ドイツの国内タイトルでバイエルン・ミュンヘンと対戦した経験はあってもレアル・マドリッドのようなビッグクラブと試合をするのは初めてである。

■パリサンジェルマンが優勢に試合を進めるもスコアレスドロー

 両雄の対戦は10月21日にまずパルク・デ・プランスで行われた。いずれもフランスとスペインのリーグ首位であるが、レアル・マドリッドは8試合消化して18得点でわずか2失点、パリサンジェルマンは10試合終えたところで8勝2分と負け知らず、試合はパリサンジェルマンが優勢にボールを支配し、一方のレアル・マドリッドは少ないチャンスをシュートに結びつける。レアル・マドリッドはトニ・クロースからのパスでヘセが決定的なチャンスをつかむが、パリサンジェルマンのGKのトラップが勇敢に飛び出し、レアル・マドリッドは先制点を奪うことができなかった。その後もレアル・マドリッドは劣勢ながらも得点のチャンスを迎えるが、得点することができない。
 パルク・デ・プランスの満員のファンを前にゴールを奪いたいパリサンジェルマンであるが、肝心の攻撃陣が不調であり、得点のにおいがしてこない。この試合で最も注目を集めたディマリアも古巣の守備陣に完封され、全く仕事をすることができず、67分にはベンチに下げられてしまう。
 結局、両雄の対戦はスコアレスドローとなり、次の首位攻防戦はマドリッドに舞台を移し、2週間後の11月3日に行われるのである。(続く)

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