第1955回 ヨーロッパリーググループリーグ (3) 中盤戦で明暗が分かれたサンテチエンヌとボルドー
5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州での経験が豊富なライバルに囲まれたサンテチエンヌ
前々回は後半戦で失速してグループリーグ敗退が決まったモナコ、前回は後半戦3連勝して決勝トーナメント進出を決めたマルセイユを紹介したが、今回紹介するサンテチエンヌとボルドーは中盤戦で明暗が分かれた。
まずサンテチエンヌは第3シードとしてグループGに入った。このグループの第1シードはウクライナのドニエプル・ドニエプロペトロフスク、第2シードはイタリアのラツィオ、第4シードはノルウェーのローゼンボリ、欧州での経験が豊富なチームがそろい、厳しいグループである。
■序盤でもたつくが、中盤戦でドニエプル・ドニエプロペトロフスクに連勝
サンテチエンヌの初戦はホームでローゼンボリ戦、ここは勝ち点3を獲得しておきたいところである。サンテチエンヌは4分に先制したが、逆転を許し、終了3分前に追いつき、勝ち点1を獲得するにとどまった。第2戦はローマでラツィオと対戦するが、この試合もサンテチエンヌは序盤に先制するものの逆転を許し、2-3と敗れる。序盤戦が終わった段階でドニエプル・ドニエプロペトロフスクとラツィオが勝ち点4、サンテチエンヌとローゼンボリが勝ち点1となり、二強二弱の様相を示したが、この構図を崩したのはほかならぬサンテチエンヌであった。
中盤戦はドニエプル・ドニエプロペトロフスクと連戦、まずアウエーで対戦したが、サンテチエンヌは39分にロマン・アムマのあげた得点を守りきり、1-0と先勝する。続く第4戦はジェフロワ・ギシャールに戻り、今度はケビン・モネ・パケ、ロバート・ベリッチ、アムマが得点を決めて3-0と連勝し、勝ち点を7に伸ばす。もう1つのカードはラツィオがローゼンボリに連勝し、勝ち点を10として首位となる。
サンテチエンヌの第5節はアウエーのローゼンボリ戦、この試合で勝てば決勝トーナメント進出が決まり、引き分けの場合でも首位のラツィオが負けなければよい。ホームでも苦戦したローゼンボリ相手にアウエーでもサンテチエンヌは苦戦する。前半終盤に先制され、1点が重くのしかかる。ようやく80分にPKを得てノーラン・ルーが決めて引き分けに持ち込んだ。そしてローマでの試合はラツィオがいったんは追いつかれながらも終盤に突き放し、3-1と勝利する。グループGは首位ラツィオ、2位サンテチエンヌが確定、最終戦はこの2チームがジェフロワ・ギシャールで対戦、サンテチエンヌはこの試合も粘りを見せて引き分けに持ち込んだのである。
■上位シード陣と2試合連続の引き分けに持ち込んだボルドー
サンテチエンヌは中盤戦の連勝で決勝トーナメント進出を決めたが、中盤戦で勝ち点を上積みすることができなかったのが同じく第3シードでグループBのボルドーである。グループBの第1シードはリバプール(イングランド)、第2シードはルビン(ロシア)であり、このシード上位チームとの連戦でボルドーの戦いは始まった。第1戦でリバプールとホームで先制されながらジュシエのゴールで追いついて引き分け、第2戦のアウエーのルビン戦もスコアレスドローと、上位2チーム相手に2試合連続で引き分けて悪くないスタートとなった。
■中盤戦で第4シードのシオン相手に勝ち点1しか奪えなかったボルドー
中盤戦は第4シードのシオン(スイス)が相手であり、ここで連勝して上位に進出したいところである。ところがシオンはここまで1勝1分で首位に立っており、シード順とは異なるチームに変身、ボルドーで行われた第3節は1-0で勝利する。シオンでの第4節、ボルドーは67分にトマ・トゥーレのゴールで先制し、お返しかと思ったがシオンはロスタイムに同点に追いついた。
第5節はリバプールのアンフィールドでの試合、ボルドーは敗れスカスコアレスドローの場合、敗退が決まる。ボルドーはアンリ・セブのゴールで先制したが、逆転され、1-2で敗れ、第5節で欧州の夢が散ったのである。
結局、フランス勢はマルセイユとサンテチエンヌだけが決勝トーナメントに進出したのである。(この項、終わり)