第1988回 パリサンジェルマン、4年連続8強入り(2) ロンドンでも2-1で勝利

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1500人のファンが駆け付けたパリサンジェルマン

 3年連続の対戦となったパリサンジェルマンとチェルシー(イングランド)の第2戦。過去の戦績も互角であり、注目の1戦となる。
 チェルシーの本拠地、ロンドンのスタンフォードブリッジには1500人のパリサンジェルマンのファンが海を渡って駆け付けた。そしてドーバー海峡を渡ったのはファンだけではない。パリからはフランス代表のスタッフであるギ・ステファンもロンドンに赴き、マツィディとチェルシーのベンチメンバーであるロイック・レミーの状況を視察する。このような大一番でハイパフォーマンスを発揮できるかどうかは夏の欧州選手権の大きな参考になるのであろう。

■ショートパスで試合を支配したパリサンジェルマン

 37,591人の観衆が集まり、選手がピッチに姿を現す。パリでの第1戦とは逆にパリサンジェルマンが白、チェルシーが青のユニフォームを着用する。試合は白いユニフォームのパリサンジェルマンが躍動した。中盤の戦いでチェルシーに対し圧倒的に優位に立つ。ボール支配率もアウエーのパリサンジェルマンが6割近い数字をマークする。そしてこのボール支配率の源泉となったのがショートパスである。チアゴ・モッタ、ブレーズ・マツィディの精度の高いショートパスがスタンフォードブリッジのピッチを行きかう。
 対するチェルシーはパスの本数ではパリサンジェルマンに及ばないが、ロングパスで一気に形勢を変えることを狙う。そしてチェルシーの武器の1つがウィリアンのFKである。ウィリアンはドリブルの名手であるが、今季のチャンピオンズリーグでFKから直接ゴールを4回も決めている。ウィリアンのドリブルを止めるために危険な位置でファウルを犯したならば、失点を覚悟しなくてはならない。

■驚きの先発、アドリアン・ラビオが先制点

 先制点は意外なメンバーが決めた。マルコ・ベラッティやハビエル・パストーレが先発メンバーに名を連ねると大方の予想であったが、ローラン・ブラン監督は若いアドリアン・ラビオを起用する。ズラタン・イブラヒモビッチからのパスを受けたラビオが16分に先制ゴールをあげる。この1点でパリサンジェルマンは圧倒的に有利な立場となる。第1戦を1-2で落としているチェルシーは最低でもあと2点取らなくてはならなくなった。
 チェルシーはエースのジエゴ・コスタが26分に同点ゴールを決める。野性的なプレースタイルが特徴のスペイン人のストライカーは、今季のチャンピオンズリーグではここまで7試合に出場しわずかに1ゴールである。本人にとっても不満な成績であったが、ようやく大一番でゴールを決めることができた。立ち上がりからパリサンジェルマンのペースが続いたが、ようやくこのゴールでチェルシーもリズムをつかんだ。

■ケビン・トラップが好セーブを連発、ズラタン・イブラヒモビッチが勝ち越し点

 1-1のタイスコアのまま、後半を迎え、チェルシーの時間帯が続く。チェルシーの攻撃陣のシュートは精度が高く、パリサンジェルマンのゴールを何度か脅かす。チェルシーは勝ち越しのチャンスを何度かつかむが、ここに立ちはだかったのがパリサンジェルマンのGKのケビン・トラップである。後半が始まって5分から15分ほどの10分間、パリサンジェルマンにとっては試練の時間帯であったが、ウィリアン、エデン・アザールのシュートをスーパーセーブする。
 パリサンジェルマンにとってはこのまま1-1の引き分けであっても通算得点で上回ることから、このままで良かったが、常勝チームはゴールを追求する。トラップがピンチを救ったその直後、右ウィングのアンヘル・ディマリアが左サイドに回り込んでクロスをあげる。これをファーサイドのイブラヒモビッチがゴール前の至近距離から右足でシュートを決める。
 パリサンジェルマンはホーム、アウエーとも2-1というスコアでチェルシーを連破、3年連続の戦いはこれでパリサンジェルマンの勝ち越しとなり、4年連続の準々決勝進出を決めたのである。(この項、終わり)

 
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