第2004回 パリサンジェルマン、4年連続で準々決勝敗退(1) マンチェスター・シティと対戦

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■チャンピオンズリーグに専念できる環境となったパリサンジェルマン

 前々回と前回ではパリサンジェルマンが記録的な強さでリーグ4連覇を達成したことを紹介した。3月中旬に8試合を残して優勝を決め、パリサンジェルマンに今季残された試合はリーグ戦8試合に加え、フランスカップの準決勝以降、リーグカップの決勝、そしてチャンピオンズリーグの準々決勝以降である。
 リーグ優勝後にパリサンジェルマンが最初に迎えるリーグ戦以外の試合は4月6日と12日に行われるチャンピオンズリーグの準々決勝である。
 パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグは過去3シーズンチャンピオンズリーグでは準々決勝に進出しながら、いずれも敗退している。チャンピオンズリーグは準々決勝までは週の半ばに行われる。週末に行われるリーグ戦が終盤を迎え、ターンオーバー制を敷いて選手のやりくりをしなくてはならないが、すでにリーグ優勝を決めたパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグに専念できる。

■早期リーグ優勝からチャンピオンズリーグで優勝したバイエルン・ミュンヘン

 前回の本連載で早期にリーグ優勝を決めた例として2012-13シーズンのバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)をあげた。そのシーズンのバイエルン・ミュンヘンはシーズン終盤にチャンピオンズリーグに集中することができ、優勝を遂げている。バイエルン・ミュンヘンはドイツカップでも優勝しており、三冠(ドイツにはプロのチームだけで争うリーグカップは存在しない)を達成している。多くのパリサンジェルマンのファンも3年前のバイエルン・ミュンヘン同様にリーグ戦の早期優勝から国内外の他のタイトルを独占することを夢ではなく、すぐそこにある現実としてとらえているであろう。

■くじに恵まれ、準々決勝の相手はマンチェスター・シティ

 時間軸が前後するが、準々決勝の組み合わせは3月18日に行われた。1回戦はグループリーグを首位で勝ち抜いたチームと2位で勝ち抜いたチームが対戦するように組み合わせ抽選が行われたが、準々決勝以降は制約がなく、すべてはくじに委ねられる。パリサンジェルマン以外に準々決勝に進出したチームはバイエルン・ミュンヘン、ウォルフスブルク(以上ドイツ)、レアル・マドリッド、アトレチコ・マドリッド、バルセロナ(以上スペイン)、ベンフィカ(ポルトガル)、マンチェスター・シティ(イングランド)である。バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリッド、バルセロナというところはできれば避けたいところである。
 パリサンジェルマンのファンの願望通りとなり、これら近年に優勝経験のあるチームではなく、マンチェスター・シティと対戦することになった。

■日本のファンを驚かせた1976年の日本遠征

 日本のファンの皆様にとってはリーグカップ優勝というタイトルをぶら下げて訪日した1976年のマンチェスター・シティについては忘れられない強烈な記憶となっているであろう。モスクワオリンピック出場を目指し、本格的に始動した二宮寛監督率いる日本代表は釜本邦茂、吉村大志郎、阿部洋夫というヤンマー勢を欠く陣容であった。一方、マンチェスター・シティは米国の建国200年を記念して米国遠征したチームに主力メンバー5人を提供し、主力抜きでの日本遠征となった。日本代表は4戦全敗、さらにすべての試合がシャットアウト負け、得点0、失点7という惨敗に終わった。この敗戦が長く尾を引き、モスクワだけではなく次のロスアンジェルスもオリンピック出場を逃すことになったことは日本のファンの皆様にとっては苦い思い出となっているであろう。
 そのマンチェスター・シティは2008年にアラブ資本となり、巨額の資金が投入され、2011-12、2013-14シーズンにはリーグ優勝を遂げている。しかしながら、チャンピオンズリーグは今季が5シーズン連続の出場となるが、過去4季はグループリーグ敗退が2回、決勝トーナメント1回戦負けが2回とプレミアリーグ優勝にはふさわしくない戦績であった。ようやく今季、クラブ史上初めてチャンピオンズリーグで決勝トーナメント1回戦を勝ち抜き、準々決勝に駒を進めたのである。(続く)

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