第2072回 欧州カップ開幕(2) フランス勢最初の試合はパリサンジェルマン-アーセナル戦
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■フランス勢で最初に登場するパリサンジェルマン
欧州カップのグループリーグは火曜日と水曜日にチャンピオンズリーグが行われ、木曜日にヨーロッパリーグが行われる。出場チーム、すなわち試合数の少ないチャンピオンズリーグが2日間にわたって行われるのは、2つのタイトルに対するファンの注目度の違いを物語っているといえよう。
フランスからチャンピオンズリーグの本戦に出場するパリサンジェルマン、リヨン、モナコの3チームはいずれも厳しい「死のグループ」に入った。同じ国から複数のチームが出場する場合、一方の曜日に偏らないように配慮されている。フランス勢3チームはパリサンジェルマンが試合をする日はリヨンとモナコの試合が行われない。フランス勢の中で最も注目を集めるのがパリサンジェルマンということに異論はないであろう。そのパリサンジェルマンは第1節は火曜日に試合を行う。フランス勢で最初に本戦を戦うのである。
■チャンピオンズリーグの申し子、アーセナル
パリサンジェルマンの初戦の相手はイングランドのアーセナルである。昨季の国内リーグ戦はレスターの優勝が注目を集めたが、アーセナルは2位に入っている。プレミアリーグでの優勝は2003-04から遠ざかっているが、常に上位に入っており、1998-99シーズン以来19シーズン連続でチャンピオンズリーグに出場している。この間、リーグ優勝は2回だけであり、リーグチャンピオン以外のチームが出場できるようになったチャンピオンズリーグの申し子というべきチームであろう。さらに2003-04シーズンから14シーズン連続して決勝トーナメントに進出している。
このようなチャンピオンズリーグでの安定した好成績によってUEFAインデックスはイングランドのチームとしてはチェルシーに次ぐ2番目の数値であり欧州のトップ10の常連である。このような強敵がパリサンジェルマンの初戦の相手である。
■公式戦では2回目の対戦となる、首都の両雄
そして、この両チームのメインスポンサーは同じエミレーツ航空であることから、シーズン前にはエミレーツカップで対戦することも多く、フランスと英国(イングランド)の首都を代表するチームの対戦ということでも注目を集める。
しかし、これまで欧州カップで対戦したことは1度しかない。それは今から17年前のカップウィナーズカップの準決勝である。1993年にフランスカップで優勝したパリサンジェルマンは、前年のUEFAカップに続き、準決勝に進出する。一方のアーセナルは初年度となったプレミアリーグでは10位に終わったが、FAカップでは14年ぶり6回目の優勝を果たし、カップウィナーズカップに出場する。当時は欧州三大カップと言われており、ロンドンには多くのプロチームがあったが、フーリガンに対する制裁からイングランドからの出場が制限されていたことに加え、リバプール、マンチェスター勢が優勢であり、ロンドンからはほとんど欧州の舞台で戦うチームがなかった。また、アーセナルも1990-91シーズンのリーグ優勝を果たし、その翌年のチャンピオンズカップに出場したが、2回戦でポルトガルのベンフィカに敗れている。アーセナルはロンドンっ子の望みを託して、チームとして2回目のカップウィナーズカップに出場し、準決勝に進出した。
■パリサンジェルマンに勝利したアーセナル、カップウィナーズカップ初制覇
当時のアーセナルはボーリング・アーセナル(退屈なアーセナル)と呼ばれ、頑強な最終ラインがロングボールを蹴りこみ、トップのイアン・ライト、アラン・スミスが走りこむというキックアンドラッシュ戦法であった。パリで第1戦が行われ、アーセナルはイアン・ライトが先制点をあげる。パリサンジェルマンは後半にダビッド・ジノラのゴールで追いつくが、ホームの第1戦は1-1のドローに終わる。
ハイベリーに舞台を移した第2戦では前半の7分にケビン・キャンベルのゴールが決勝点となる。
勢いに乗ったアーセナルは決勝でもイタリアのパルマを破り、1970年のUEFAカップに次ぐ2度目の欧州三大カップ優勝を果たしたのである。(続く)