第2106回 欧州カップグループリーグ終盤戦(3) リヨン、主力の復調で最終節に望みをつなぐ

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■3位で残り2試合を戦うリヨン

 前回と前々回の本連載ではチャンピオンズリーグの第5節でモナコがイングランドのトットナム・ホットスパーを破り、首位で2年ぶりの決勝トーナメント進出を決めたことを紹介した。
 モナコと同じ11月22日にグループリーグの第5節を戦ったのがリヨンである。リヨンはグループHで現在3位である。グループHは首位がセビリア(スペイン)が勝ち点10で首位、2位は勝ち点8のユベントス、そして3位のリヨンは勝ち点4である。また最下位のディナモ・ザグレブ(クロアチア)は4戦全敗で勝ち点がない。5節を迎える段階でディナモ・ザグレブの敗退が決まっている以外は決勝トーナメント進出を決めているチームはまだない。リヨンは第4節でディナモ・ザグレブとアウエーで対戦するが、この試合で引き分け以下だと3位以下が決定してしまい、リヨンの敗退とともにセビリアとユベントスの決勝トーナメント進出が決まる。また、リヨンは引き分けの場合は2位以内に入ることができないが、3位が確定し、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントに転戦することになる。
 リヨンはリーグ戦では4位、2位はモナコ、3位はパリサンジェルマンと、首位ニース以外はチャンピオンズリーグに出場している。リヨンにも決勝トーナメントへのかすかな期待は残っている。

■コンビネーションの悪いアレクサンドル・ラカゼットとナビル・フェキル

 必勝を期すリヨンにはアレクサンドル・ラカゼット、ナビル・フェキルというフランス代表のFWがいるが、この2人のコンビネーションが悪く、2トップとして起用した際にはお互いにパスを出さず、いずれかがアシストしてゴールを決めるというシーンはこれまでの42試合のうち6ゴールしかない。したがって、この試合も1トップにラカゼットを起用し、フェキルはベンチスタートである。リヨンの攻撃陣は中央にラカゼット、右にマチュー・バルブエナ、左にマクスウェル・コルネという布陣である。

■マチュー・バルブエナ復活、決勝点はアレクサンドル・ラカゼット

 試合はすでにグループリーグ敗退が決まっているディナモ・ザグレブに対し、リヨンが一方的に攻めたてる。この攻撃の起点となったのがマキシム・ゴナロンである。守備的MFとしてパスを前線に供給し続けるとともに、相手選手との1対1にも強いところを見せ、リヨン黄金期を知る選手にふさわしい動きを見せた。このゴナロンからのパスを受けてゴール前に供給する役割を果たしたのがバルブエナである。昨年秋にフランス代表チームの中でカリム・ベンゼマとのトラブルによって代表チームから外れてしまい、所属クラブでも精彩を欠いていたが、この試合では見事に復帰をアピールできるような動きを見せた。相手の厳しいマークにあったラカゼットは思うようにシュートを放てず、28分にはジョルダン・フェリのシュートがクロスバーに嫌われ、38分にはコルネのシュートがディナモ・ザグレブのDFに当たり、リヨンは前半を無得点で終える。
 引き分ければ3位が確定するリヨンであるが、後半も勝利を目指して、選手は精力的に走り回った。後半立ち上がりにはフェリのシュートがディナモ・ザグレブのGKの好守に阻まれる。そしてようやくリヨンが先制点を奪ったのは72分のことであった。右サイドDFとして前半からしばしば攻め上がっていたラファエルからのパスをラカゼットが決める。このラカゼットのゴールでリヨンは1-0と勝利したのである。

■ユベントスに敗れたセビリアと最終節で直接対決

 そして、グループHのもう1試合、セビリアでの試合は首位セビリアが8分に先制する。しかし、ユベントスは前半のアディショナルタイムに同点に追いつく。さらに、84分にレオナルド・ボヌッチが逆転ゴールを決め、さらに後半のアディショナルタイムにもマリオ・マンジュキッチが追加点をあげる。勝ち点を11に伸ばしたユベントスはセビリアを抜いて首位になり、決勝トーナメント進出を決める。
 そしてセビリアは勝ち点10のままでリヨンとは勝ち点3差となる。最終節でリヨンはセビリアを迎えて直接対戦し、リヨンが勝利すれば勝ち点で並び、2点差以上の勝利でリヨンが決勝トーナメント進出となるのである。(続く)

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