第2114回 欧州カップグループリーグ終盤戦 (11) 中盤戦でガバラに連勝したサンテチエンヌ
読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を開始して16回目の新年を迎えました。
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、すべての日本の皆様に激励の意を表します。
本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。
■三強一弱のグループC
前々回と前回の本連載では国内リーグで首位を走りながら、ヨーロッパリーグでは第5節で敗退が決定したニースを紹介したが、今回からはもう1つのフランス勢であるサンテチエンヌを紹介しよう。
本連載の第2111回で紹介したとおりサンテチエンヌは第1節、第2節とも終盤に追いついて黒星は免れたが、中盤戦を無あける段階で勝ち点2の3位である。サンテチエンヌの所属するグループCはサンテチエンヌと引き分けたマインツ(ドイツ)とアンデルレヒト(ベルギー)がアゼルバイジャンのガバラに勝利して勝ち点4で並んでいる。つまり、サンテチエンヌは上位2チームと引き分けており、このグループCは三強一弱ととらえることも可能である。サンテチエンヌはここまで連敗中のガバラと中盤戦で対戦し、マインツとアンデルレヒトの試合の結果によっては一気に上位に進出することも可能である。
■リールに予備戦で勝利したアゼルバイジャンのガバラ
ガバラについては本連載第2059回と第2061回で紹介したとおりヨーロッパリーグの予備戦3回戦で昨季フランスリーグ5位のリールと対戦し、2試合とも引き分けであったが、アウエーゴールの差でリールを下している。ガバラはプレーオフでスロベニアのマリボルを下し、2年連続でヨーロッパリーグの本戦に出場した。昨季はグループリーグで2分4敗で最下位で敗退、そして今季も連敗といまだにヨーロッパリーグの本戦で勝ち星がない。
■サンテチエンヌが初勝利、3チームが勝ち点5で並ぶ
サンテチエンヌとガバラの未勝利同士の戦いはまず10月20日、サンテチエンヌの本拠地ジェフロワ・ギシャールで行われた。サンテチエンヌは今季まだ本拠地では負けたことがない。負傷していた点取り屋のロベール・ベリックも戦列復帰、ベンチスタートではあるが心強い存在である。一方のガバラは2部のクレテイユ・ルジタノから移籍したバガリー・ダボが欠場している。立ち上がりからサンテチエンヌはリズムをつかみ、試合を支配する。しかし、ガバラは組織的な守備でサンテチエンヌの攻撃をシュートまで持っていかせない。サンテチエンヌはゴールから遠い位置からミドルシュートを放たざるを得なかった。前半は両チーム無得点に終わるが、サンテチエンヌは後半の得点が多く、余裕の折り返しとなった。そして63分にはベリックが交代出場、実に3週間ぶりのゲームである。68分にはアンリ・サイブのシュートがゴールポストをわずかにかすめる。そして70分にはゴールから35メートルの位置からのFKのチャンス、ゴール前に上がったボールをガバラの守備陣がヘディングでクリアミス、ボールは自らのゴールに入ってしまい、サンテチエンヌはオウンゴールで先制する。この1点をサンテチエンヌは守りきり、1-0と勝利し、今季のヨーロッパリーグで初勝利をあげた。
そしてマインツとアンデルレヒトの試合は1-1のドロー、すなわち3チームが1勝2分の勝ち点3で並んで折り返すことになったのである。
■ガバラに連勝、アンデルレヒトと並んで首位に立つ
11月3日の第4節、ガバラは予備戦のリール戦と同様にバクーでホームゲームを行う。この段階で2位のサンテチエンヌは立ち上がりからガバラのゴールに襲いかかる。しかしゴールは生まれず、ここまで3連敗のガバラもチームの欧州カップでの初勝利を目指し、反撃に出る。そして39分にガバラはFKをステファン・ルフィエがクリアしたボールを拾ってシュート、ついに先制点をあげる。ガバラに攻められていたサンテチエンヌであったが前半のアディショナルタイムにウスマン・タナンが同点ゴールを決め、タイスコアで後半を迎える。
前半の前半はサンテチエンヌ、前半の後半はガバラの試合であったが、後半早々の52分に、サンテチエンヌはベリックがガバラの守備陣のクリアミスから勝ち越しゴールを決めた。試合はこのままサンテチエンヌが2-1で勝利し、勝ち点を8に伸ばす。
もう1試合はアンデルレヒトが6-1とマインツを圧倒し、グループCはサンテチエンヌとアンデルレヒトが勝ち点8で並び、マインツが勝ち点5で追う展開となり、終盤戦を迎えたのである。(続く)