第2165回 リヨンも準決勝に進出 (1) リヨンも準決勝に進出。試合前にベシクタシュのサポーターと衝突。

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■トルコのベシクタシュと対戦するリヨン

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグの準々決勝でモナコがボルシア・ドルトムント(ドイツ)に連勝し、13年ぶり5回目の準決勝進出を決めたことを紹介した。一方、ヨーロッパリーグではフランス勢はリヨンがヨーロッパリーグの準々決勝を戦った。ヨーロッパリーグの準々決勝は第1戦、第2戦ともチャンピオンズリーグの直後に行われ、第1戦は4月13日、第2戦は20日に行われた。
 リヨンはトルコのベシクタシュと対戦する。リヨンはチャンピオンズリーグのグループリーグで3位になってヨーロッパリーグの本戦に連戦してきたが、ベシクタシュも同様である。昨季はトルコリーグで14回目の優勝を果たし、チャンピオンズリーグのグループリーグから参戦する。グループBでディナモ・キエフ(ウクライナ)、ポルト(ポルトガル)、ナポリ(イタリア)と対戦する。ナポリが頭一つ抜け出し、ベシクタシュはベンフィカと2位を争う展開となり、第5節ではホームで直接対決し、3-3のドロー、そして最終戦では両チームとも敗れて、ベシクタシュはベンフィカに勝ち点で1及ばず、3位にとどまった。
 決勝トーナメントに入ってからベシクタシュは1回戦でイスラエルのハポエル・ベアシェバに連勝し、2回戦ではギリシャのオリンピアコスを1勝1分で下した。

■昨季リーグ優勝のベシクタシュは今季も首位をキープ

 イスタンブールに本拠地を置くベシクタシュはトルコではガラタサライ、フェネルバフチェに次ぐ第3のチームであるが、昨季は7季ぶりのリーグ優勝を果たしている。この優勝の立役者はドイツ代表のマリオ・ゴメスである。ゴメスは26得点をあげて得点王になったが、クーデターなど治安の悪化を理由にトルコを離れ、今季はドイツのヴォルフスブルクに移籍している。しかしゴメスは移籍したものの、今季もベシクタシュは好調であり、2月10日以来リーグ戦では負けなし、首位をキープしている。

■2万人のベシクタシュのサポーターが集まったパルク・オランピック・リヨネ

 第1戦はリヨンのパルク・オランピック・リヨネで行われた。この試合の2日前には本連載第2161回で紹介したドイツのドルトムントでのバス襲撃事件が起こったが、このリヨンでの試合も事件が起こった。
 近年のトルコの政情不安による難民がフランス国内にも多数存在するが、トルコからの移民は欧州のどの大都市にも共通する現象である。このリヨンも例外ではなく、多数のトルコ移民が住んでいる。イスタンブールからの遠征組に加え、リヨンをはじめとするフランス国内のファンもパルク・オランピック・リヨネに集結した。その数は実に2万人である。
 また、トルコのサポーターはその熱狂ぶりで知られ、時にスタジアム内外でトラブルを起こす。この日もトラブルが起こってしまった。

■ベシクタシュのサポーターの挑発にリヨンも応酬、45分遅れでキックオフ

 キックオフ予定時刻は21時5分、しかしこの日の午後からすでにリヨン市内の各所でベシクタシュのサポーターが暴動を起こしていた。
 平日ではあったが、19時には多くのファンがスタジアム入りしていた。パルク・オランピック・リヨネは3階建ての構造になっており、南側のゴール裏の3階部分はベシクタシュのサポーターに割り当てられた席であった。2階席には緩衝エリアも設けられていたが、1階席と2階席がリヨンのサポーター席であった。試合前に3階席のベシクタシュのサポーターが階下のリヨンのサポーターに向かって花火などを投げ落とす。これに対してリヨンのサポーターは、応酬し、ベシクタシュのサポーターと争いを始める。機動隊の配置されていないエリアでも衝突がおこり、警備員だけではこのようなトラブルを抑止する力がなく、騒ぎは暴動となる。そしてゴール裏1階席のリヨンのサポーターは逃げるためにピッチになだれ込み、機動隊しかこの暴動を収集することができなくなった。最後はリヨンのジャン・ミッシェル・オーラス会長がピッチに降りて確認し、オーラス会長はリヨンのサポーター席の最前列で45分遅れのキックオフを迎えたのである。(続く)

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