第2172回 モナコ、準決勝で敗れる (1) 準決勝の相手はフランス勢を得意とするユベントス
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■リーグカップ、フランスカップでパリサンジェルマンに連敗したモナコ
前回までの本連載ではフランスカップの準決勝の模様を紹介したが、事実上の決勝と目されたパリサンジェルマン-モナコ戦で、大幅に若手中心のメンバーで挑んだモナコが大敗し、パリサンジェルマンとアンジェで優勝を争うことになった。
欧州の主要リーグに所属するチームの中で最多の試合を戦っているモナコであるが、リーグカップ決勝でパリサンジェルマンに敗れ、フランスカップ準決勝でもパリサンジェルマンに敗れてしまい、可能性のあった四冠のうち2つのタイトルは手にすることができなかった。
■ユベントスと2回対戦したモナコ
そのモナコはチャンピオンズリーグの準決勝を5月3日と10日に戦う。平日の試合の5週目と6週目というタフな日程である。そして相手はイタリアのユベントスである。近年、イタリア勢は欧州のタイトルでは精彩を欠いている感がする。ユベントス自身も2年ぶり12回目の準決勝であるが、今世紀に入ってからは2回しか準決勝に進出していない。しかし、注意しなくてはならないのはユベントスがフランス勢に滅法強いことである。モナコもユベントスとこれまで2回(4試合)対戦している。
最初は1997-98シーズンの準決勝である。クラブ史上2回目の準決勝進出となったモナコ、2トップはダビッド・トレゼゲとティエリー・アンリ、3か月後には世界チャンピオンとなるメンバーはこの2人に加え、GKのファビアン・バルテスもいた。対するユベントスはジネディーヌ・ジダン、アレサンドロ・デルピエーロなどを擁する豪華メンバーをそろえていた。第1戦はユベントスのホームゲーム、デルピエーロがハットトリック、ジダンもゴールを決めて、ユベントスが4-1と大勝、モナコでの第2戦でモナコは3-2と競り勝ったものの、準決勝で敗退する。
2度目の対戦は2014-15シーズンの準々決勝である。この時も第1戦はトリノで行われ、ユベントスはPKであげた1点を守りきる。そしてモナコでの第2戦はスコアレスドローとなり、ユベントスが勝ち進む。
■フランス勢に対し圧倒的な戦績を誇るユベントス
このようにモナコとユベントスの対戦成績はモナコの1勝1分2敗であるが、ユベントスのフランス勢との欧州カップでの対戦成績は26戦して15勝6分5敗と大きく勝ち越しているだけではなく、決勝トーナメントでは11回フランス勢と戦い、すべてフランス勢を退けているのである。フランス勢の中で最もユベントスに貢献しているのがパリサンジェルマン、4戦して2分6敗、そのチームがモナコの国内タイトル獲得を2つストップしたというのも皮肉な話である。そして今季もチャンピオンズのグループリーグでリヨンと対戦し、リヨンで1-0と勝利、トリノで1-1のドローという戦績を残しており、今季2度目のフランス勢との対戦となる。
■攻撃力のモナコ、守備力のユベントス
モナコはチャンピオンズリーグで4回目の準決勝進出であるが、準決勝の壁を乗り越えたのは2003-04シーズンの1回だけ、イングランドのチェルシーに勝利しただけであり、後の2回はいずれもイタリア勢(1993-94シーズンのACミラン、1997-98シーズンのユベントス)に決勝進出を阻まれており、イタリアに対するコンプレックスのない若い才能のそろった今季は国内、国外それぞれで最も価値の高いタイトルを取りたいところである。
本連載で紹介した通り、モナコは決勝トーナメント1回戦でマンチェスター・シティ(イングランド)に1勝1敗、2試合通算で5-4と逆転で競り勝ち、準々決勝ではボルシア・ドルトムント(ドイツ)に連勝し、攻撃陣がけん引してきた。
一方のユベントスは1回戦でポルト(ポルトガル)に連勝、準々決勝でバルセロナ(スペイン)に1勝1分という戦績で勝ち上がってきたが、4試合で無失点と守備の強さが光る。モナコの攻撃陣がユベントスの守備陣を下すことができるか、ここが試合の見所であろう。(続く)