第2175回 リヨンも準決勝敗退(1) ヨーロッパリーグの常連、アヤックス・アムステルダム

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■11年連続でヨーロッパリーグに出場しているアヤックス・アムステルダム

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグ準決勝でモナコがイタリアのユベントスに敗れて決勝進出を逃したことを紹介した。
 モナコと同時にもうひとつの欧州のタイトルであるヨーロッパリーグではリヨンが準決勝に進出した。
 リヨンは本連載第2165回から第2167回で紹介したとおり、準々決勝ではトルコのベシクタシュにPK戦で勝利して勝ちあがってきた。また、ベシクタシュ戦の前に決勝トーナメントでは1回戦でオランダのAZアルクマールに連勝、2回戦でイタリアのASローマに1勝1敗で得失点差で競り勝っている。
 そのリヨンと対戦するのがオランダのアヤックス・アムステルダムである。ヨハン・クライフを擁し、欧州を席巻したのは今から40年以上前のことである。国内リーグでは今でも常に優勝争いに絡み、2010-11シーズンから7シーズン連続でチャンピオンズリーグの本大会あるいは予備選に出場している。しかし、予備選で敗退するか、グループリーグで上位2チームに入ることができないという戦績が続き、7シーズン連続でヨーロッパリーグに転戦している。最後にチャンピオンズリーグに出場できなかった2009-10シーズンにもヨーロッパリーグにオランダリーグ3位として出場している。ヨーロッパリーグの前身となるUEFAカップの時代から通算すると実に11年連続でヨーロッパリーグに出場していることになり、まさにヨーロッパリーグの常連といえるであろう。

■近年は上位進出から遠ざかっているアヤックス・アムステルダム

 しかしながら、過去10年間のヨーロッパリーグで特筆すべき成績はなく、トーナメントの序盤での敗退が続いている。欧州カップで準決勝に進出したのは今から20年前の1996-97シーズンのチャンピオンズリーグ以来となる。

■チャンピオンズリーグ予備戦3回戦から参戦

 今季の足取りを振り返るとリーグ3位としてチャンピオンズリーグの予備戦3回戦から参戦する。すなわちモナコと同じ段階から欧州の戦いを始めたことになる。予備戦3回戦ではギリシャのPAOKを1勝1分で下したが、プレーオフでもロシアのロストフに1分1敗で敗れ、ヨーロッパリーグに転戦した。2年連続でチャンピオンズリーグの本戦に届かなかったアヤックス・アムステルダムであるが、グループリーグの組み分けでは第1シードに入り、グループCに入る。スペインのセルタ・ビゴ、ベルギーのスタンダール・リエージュ、ギリシャのパナシナイコスと同じグループCで、ホームゲームでは3戦3勝、アウエーゲームでも1勝2分と無敗で首位になり、決勝トーナメントに進出した。
 決勝トーナメントでは1回戦でポーランドのレギア・ワルシャワと対戦し、アウエーの第1戦はスコアレスドロー、ホームの第2戦で1-0と勝利する。2回戦はデンマークのFCコペンハーゲンと対戦し、アウエーの第1戦を1-2と落とすが、ホームの第2戦で2-0と勝利して逆転で準々決勝に進む。

■シャルケ04と第2戦延長戦での劇的な戦い

 準々決勝は熱い戦いとなった。相手はシャルケ04である。4月13日、アヤックス・アムステルダムのホーム、アヤックスアリーナで第1戦が行われた。23分にシャルケ04の選手のハンドでアヤックス・アムステルダムはPKを得る。これを主将のダビー・クラーセンが決めて制する。後半に入って52分にもクラーセンが17歳のユスティン・クライファートのクロスをボレーで決めて追加点、2-0とリードを広げる。その後もアヤックス・アムステルダムペースで試合は進むが、シャルケ04のGKラルフ・フェールマンの好守にはばまれ点差を広げることはできず、第2戦のドラマの伏線となる。
 第2戦は4月20日、シャルケ04の本拠地フェルティンス・アレナで行われた。第1戦とは一転してシャルケ04が優勢に試合を進める。後半に入り、シャルケ04は53分と56分に立て続けにゴールをあげる。これでタイスコアとなる。次の1点が重要となるがアヤックス・アムステルダムはヨエル・フェルトマンが72分と80分に警告を受け、80分からは1人少ない10人で戦わなくてはならなくなった。
 試合は延長戦に入り、数的優位に立つシャルケ04が優位に進め、101分には○まる・カリグリが追加点をあげ、決定的かと思われたが、ここからドラマが始まった。アヤックス・アムステルダムは延長後半の110分にニック・フィールヘーファーがゴールを決めて、アウエーゴールの差で優位に立つ。さらに試合終了間際の120分にもアミン・ユネスが得点をあげる。アヤックス・アムステルダムは2-3でシャルケ04に敗れたが、2試合合計得点でシャルケ04を上回り、ヨーロッパリーグになってから初めての決勝進出を決めたのである。(続く)

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