第2177回 リヨンも準決勝敗退(3) 歴史を変えるか、3度目の正直のリヨン
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス勢として最後に残ったリヨン
前回の本連載ではヨーロッパリーグの準決勝の第1戦、5月3日にオランダのアムステルダムで行われた試合で、リヨンがアヤックス・アムステルダムに1-4と大敗したことを紹介した。実はこの日にはチャンピオンズリーグの準決勝第1戦も行われており、18時45分キックオフの試合でリヨンが敗れ、20時45分キックオフの試合でモナコがイタリアのユベントスに0-2というスコアで敗れている。欧州カップの準決勝に久しぶりに2チーム勝ち残ったフランス勢であるが、準決勝の第1戦でいきなり冷や水を浴びせられた形となった。そしてモナコは5月9日にホームで行われた第2戦でも1-2と連敗し、準決勝敗退が決まった。準決勝が5月11日に行われるリヨンは、フランス勢で最後まで欧州カップを戦うチームになった。
■確率1割の大逆転を信じるに値するリヨンの実績
過去の統計を紐解くならば、第1戦をアウエーで戦って1-4で敗れたチームが逆転して勝ちあがる確率は1割に過ぎない。
しかし、第2戦をホームで戦うリヨンのファンには大逆転を確信するに十分な理由があった。歴史をさかのぼること15シーズン前、当時のUEFAカップでベルギーのクラブ・ブルージュと対戦し、アウエーの第1戦を1-4と落としたリヨンは当時のジェルラン競技場での第2戦、ソニー・アンデルソンのハットトリックで3-0と勝利、2試合通算成績を4-4とし、アウエーゴールの差で勝ち抜いた。そして、昨年初めにオープンした新スタジアムのパルク・オランピック・リヨネでもリヨンは神がかった勝利を収めてきた。オープン間もない昨年2月28日、リーグ戦で32戦無敗であったパリサンジェルマンを迎えた試合で2-1と勝利し、パリサンジェルマンの記録をストップする。また昨季の終盤に行われたリーグ戦のモナコ戦では6-1と大勝し、今季のチャンピオンズリーグの出場権を手繰り寄せたのである。そして記憶に新しいところでは今季のヨーロッパリーグのベスト8決定戦、イタリアのASローマを迎えた試合でリヨンは4-2と勝利する。この試合での大量得点によって、アウエーの第2戦をリヨンは落としながら2試合通算で上回ったリヨンが勝ち抜いたのである。
■3度目の正直にかけるリヨン
リヨンがこれまでに欧州カップの準決勝に進出したのは2回だけ、1963-64シーズンのカップウィナーズカップ、2009-10シーズンのチャンピオンズリーグである。1964年はポルトガルのスポルティング・リスボンと対戦、リヨンでの試合は0-0、リスボンでの試合は1-1となる。現行ルールであれば、アウエーゴールの多いリヨンが決勝進出となるが、この時代は中立地でプレーオフを行い、マドリッドでの試合、リヨンは0-1で敗れてしまう。そして2010年のチャンピオンズリーグはドイツのバイエルン・ミュンヘンに連敗、リヨンはいまだ欧州のファイナルの場に立っていない。
■フランス勢として8チーム目の決勝進出成るかリヨン
これまでフランス勢で欧州カップの決勝に進出したのはチャンピオンズカップ並びにその後継のチャンピオンズリーグでは、その黎明期にスタッド・ド・ランスが第1回に当たる1956年と第4回に相当する1959年、1976年にはサンテチエンヌ、1991年と1993年にマルセイユが進出している。そして2004年にモナコが最後のファイナリストとなっている。
また、カップウィナーズカップでは1992年にモナコ、1996年と1997年にパリサンジェルマンが決勝に進出している。そしてUEFAカップでは1978年にバスティア、1996年にボルドー、1999年と2004年にマルセイユが決勝を争っている。
このようにこれまでフランスからは7チームが13回決勝に進出していながら、決勝で勝利したのは1993年のチャンピオンズリーグのマルセイユと1996年のカップウィナーズカップのパリサンジェルマンだけである。
この顔ぶれをみるとリーグ7連覇を果たしたリヨンが欧州での決勝進出の経験がないのはいささか不思議な気がする。
また、フランス勢は決勝では滅法弱く、13戦して勝利したのは1993年のマルセイユと1996年のパリサンジェルマンだけである。この歴史を変えるべく、リヨンは決勝進出を狙うのである。(続く)