第2222回 チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ開幕(2) パリサンジェルマンの初戦はセルチック・グラスゴー戦

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■第1節の相手はアウエーの第4シードとなったフランス勢

 前回の本連載ではチャンピオンズリーグに出場するモナコ、パリサンジェルマンが比較的良い組み合わせに恵まれたことを紹介した。そしてこの両チームは組み合わせだけではなく、初戦の相手にも恵まれ、第4シードのチームと対戦することになった。モナコはライプチヒ(ドイツ)、パリサンジェルマンはセルチック・グラスゴー(スコットランド)とともにアウエーで対戦する。シーズンの序盤で確実に勝利できる相手と対戦できることは幸運である。
 しかし、ファンの中には初戦から強敵相手に勝利できるのではないかという楽観論すら現れた。なぜならば、本連載の第2212回から第2214回で紹介している通り、この両チームは国内リーグは好スタート、8月は双方とも4戦全勝で終えたからである。勝ち点で並ぶものの、得失点差でパリサンジェルマンが1位、モナコが2位でインターナショナルマッチデーを迎え、カレンダーは9月となる。

■インターナショナルマッチデー明けの第5節で大勝したパリサンジェルマン

 インターナショナルマッチデー明けの第5節は9月8日から10日にかけて行われた。チャンピオンズリーグの第1節をパリサンジェルマンは火曜日、モナコは水曜日に戦うため、リーグ戦のパリサンジェルマンの試合は金曜日、モナコの試合は土曜日に行われ、明暗が分かれた。
 金曜日にパリサンジェルマンはアウエーのメッスと対戦した。メッスはGKに日本の川島永嗣を起用する。8月末から9月初めに行われたワールドカップ予選では2試合に出場し1失点に抑え、ワールドカップ出場を決めた日本の不動の守護神である。サウジアラビアからフランスに戻り、良いイメージでパリサンジェルマンを迎える。
 しかし川島にとって欧州のトップクラスのチームのレベルは高すぎたようである。次々と失点を重ね、終わってみればパリサンジェルマンが5-1と大勝した。

■無敗記録が24でストップしたモナコ

 その翌日にはモナコがニースに遠征した。オランダ代表のウェスレイ・スナイデルという大型補強を行いながらその成果の表れないニースは、この日もスナイデルが欠場する。試合はモナコがボール支配率で上回ったものの、モナコは11本のシュートのうち1本しか枠内に飛ばなかった。一方のニースは集中力があり、10本のシュートのうち5本が枠内に飛ぶ。この差がスコアに如実に出て、ニースがモナコに対して4-0と大勝する。モナコは国内リーグでの無敗記録は24(16勝8分)でストップしたのである。

■優勝した22年前のカップウィナーズカップでも対戦したセルチック・グラスゴー

 この勢いの差が、チャンピオンズリーグの第1戦でも如実に表れたのである。フランス勢として最初にグループリーグに登場するパリサンジェルマンはグラスゴーのセルチック・パークでの戦いとなる。パリサンジェルマンとセルチック・グラスゴーとは1995-96シーズンのカップウィナーズカップの2回戦で対戦している。パルク・デ・プランスでの第1戦で1-0と勝利したパリサンジェルマンは、グラスゴーでの戦いも3-0と連勝し、ベスト8進出を決めた。そして本連載の読者の皆様ならよくご存じの通り、この大会でパリサンジェルマンは準々決勝でイタリアのパルマに逆転勝利、準決勝ではスペインのデポルティーボ・ラコルーニャに連勝し、ベルギーのブリュッセルでの決勝に進出する。オーストリアのラピッド・ウィーンに1-0と勝利し、カップウィナーズカップを獲得する。実はこれがこれまでにフランス勢で唯一の欧州カップの優勝なのである。
 それから22年の月日がたった。大型補強を繰り返し、特に今季はスペインのバルセロナからネイマール、モナコからキリアン・ムバッペと欧州最大規模の補強を行ったパリサンジェルマンは22年ぶりの欧州制覇を、22年前よりも価値のあるタイトルで獲得しようとしている。その初戦は22年前にも勝利した緑と白の横じまのユニフォーム、キックオフ前から欧州制覇の予感がするのである。(続く)

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