第2225回 チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ開幕(5) アディショナルタイムに追いつかれたリヨン
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■6季前のチャンピオンズリーグでAPOELニコシアにPK戦で敗れたリヨン
これまでの本連載ではチャンピオンズリーグに出場したパリサンジェルマンとモナコについて紹介してきたが、木曜日の9月14日にヨーロッパリーグのグループリーグ24試合が欧州各地で行われた。フランスからはリヨン、マルセイユ、ニースの3チームが出場している。
今季の決勝はリヨンで行われるとあって、並々ならぬ意欲をもってこの大会に臨むのがリヨンである。リヨンは実に今季で21季連続で欧州カップ戦に出場している。グループEの第1シードのリヨンは第4シードのアポロン・リマソル(キプロス)とアウエーで戦う。
第4シードとアウエーで戦うというのはパリサンジェルマン、モナコと同じであるが、リヨンには大きな違いがある。アポロン・リマソルは本来の本拠地の収容人員が1万3000人と手狭であるため、キプロス代表やAPOELニコシアが使用する首都ニコシアのGPSスタジアムに舞台を変えてリヨンを迎え撃つ。本連載の読者の方であれば記憶にあると思われるが、今から6季前の2011-12シーズンのチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦、リヨンはキプロスのAPOELニコシアと対戦する。グループリーグでゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)、ポルト(ポルトガル)を抑えて首位突破したAPOELニコシアに対し、リヨンはまずホームで1-0と勝利し、アウエーでの第2戦に乗り込む。この試合でリヨンは0-1となり、延長戦を戦っても決着がつかなかったため、PK戦に委ねられ、リヨンは競り負ける。この第2戦の会場がこのGPSスタジアムだったのである。この20年に及ぶリヨンの欧州挑戦の歴史の中で最も思い出したくない敗戦であり、第4シードとはいえ、楽観視できない。
■アディショナルタイムの93分に追いつかれたリヨン
そのような悪夢のスタジアムからリヨンの欧州チャンピオンへの道は始まった。アポロン・リマソルは昨季のキプロスカップの優勝チームとしてヨーロッパリーグに出場したが、この夏には28人を放出し、29人を獲得するという謎の選手移籍を行っている。収容人員の多いスタジアムに舞台を移したにもかかわらず、観客は4000人、謎の多いクラブである。
試合はリヨンが立ち上がりから攻め込む。地力の違いに合わせ、チームとしての機能の弱いアポロン・リマソルに対して、リヨンが試合を支配する。たびたびシュートを試みるが相手GKに阻まれ先制をすることはできない。逆に30分過ぎには決定的なシーンを作られ、GKのアントニー・ロペスの好守でピンチから逃れる。
前半は両チーム無得点で折り返し、後半の立ち上がりの52分にアポロン・リマソルはペナルティアリア内でハンド、リヨンにPKが与えられる。このPKをメンフィス・デパイが決めてリヨンは待望の先制点をあげた。この先制点でリヨンの攻撃陣は勢いづいたが、追加点を奪えず、64分にはアポロン・リマソルのポルトガル代表のGKブルーノ・バーレがリヨンのラファエルにパンチング、PKかと思われたが、主審はファウルを取らず試合続行、不運な展開となる。
後半は負傷者が相次ぎ、アディショナルタイムの表示は5分、93分に悪夢はまたやってきた。アドリアン・サルディネーロの同点ゴールがリヨンの勝ち点2を奪ったのである。
■ファンの応援ボイコットの中で勝利したマルセイユ
フランス勢の残りの2チームは勝利した。グループIの第2シードのマルセイユは第4シードのトルコのコンヤスポルとベロドロームで対戦する。リーグ戦で3戦勝っていないマルセイユに対しファンが応援をボイコット、観衆はわずか8000人という極めて異様な雰囲気の中で試合はキックオフ、試合内容も低調なものとなり、前半は両チーム無得点。後半の立ち上がりにマルセイユはアディル・ラミがディミトリ・パイエのCKをヘッドで合わせて決勝点をあげた。
■モナコ戦に続き大勝したニース
直前のリーグ戦でモナコを4-0と一蹴したニースはアウエーでベルギーのズルテ・ワレヘムと対戦した。覚醒したニースはこの日も攻撃陣が好調で5-1とゴールラッシュで快勝したのである。(この項、終わり)