第2269回 フランス勢のヨーロッパリーグ (2) 長いトンネルを抜けたニースも決勝トーナメント進出

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■第2戦も快勝し、連勝したニース

 前回の本連載では第1節と第2節を不本意なドローで終えたリヨンがその後3連勝し、グループリーグを突破したことを紹介したが、第1節で勝利をあげたニースとマルセイユはその後苦労した。
 第1節でベルギーのズルテ・ワレヘムに5-1と大勝したニースは、第2節ではホームに戻り、オランダのフィテッセと対戦する。国内リーグ戦の出だしは不調だったニースも盛り返し、9位まで順位を上げてきた。アリアンツ・アリーナには1万5000人のファンが集まった。マリオ・バロテッリとアラッサン・プレアが2トップを組むが、この日活躍したのはプレアであった。プレアは16分に左足で先制点を決め、試合終了間際にも得点をあげている。ニースは前半の最後にもアラン・サンマキシマンが得点しており、3-0と完勝した。

■ライバルのマルセイユに敗れて長いトンネルに突入、ホームでラツィオに完敗

 一方、第1戦にトルコのコンヤスポルに勝利したマルセイユはアウエーでオーストリアのザルツブルクと対戦する。互角の展開であったが、マルセイユはシュートの精度を欠き、14本のシュートのうち枠内をとらえたのはわずか1本だけ、0-1と敗れてしまう。
 実は両チームはこの3日後の10月1日、リーグ戦で対戦する。地中海沿いの古豪同士の対戦ということで注目を集めたが、ホームのニースは2-4と予想外の結果となった。このマルセイユ戦の敗戦がニースのリズムを乱し、その後、ニースは長いトンネルに入ってしまう。10月は国内リーグでは4戦全敗、そしてヨーロッパリーグの中盤戦ではイタリアのラツィオと連戦した。
 ラツィオも第1節と第2節は連勝し、ニースと並んで勝ち点6、得失点差でニースが首位である。首位攻防の中盤戦、10月19日にニースでまず対戦した。立て直しを図るニースはトップのバロテッリの下にウェスレイ・スナイデルを起用する布陣で必勝を期す。長らくイタリア代表から外れているバロテッリにとってイタリア勢相手にいいところを見せたいところである。またイタリアのインテル・ミラノに所属していたスナイデルにとっても思いは同じである。試合はニースのリズムで始まり、4分には期待に応えてバロテッリが先制ゴールを決める。ところがその直後の5分にはラツィオの1トップのフェリペ・カイセドに同点ゴールを許してしまう。その後はボール支配率はパスをつないだニースが65パーセントと、試合を優位に進めたが、65分にはセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチに逆転ゴールを許す。ニースは終了間際にはストッパーのダンテのミスによってミリンコビッチ・サビッチに追加点を許し、1-3と敗れてしまう。

■11月最初の試合のラツィオ戦も後半アディショナルタイムにオウンゴールで敗戦

 そしてその2週間後の11月2日にニースはローマでラツィオと対戦する。結局、ニースの10月は国内外5試合で全敗であった。この試合で勝利すれば、もう1試合が引き分けに終われば、決勝トーナメント進出が決まるニースは黒いセカンドユニフォームでラツィオとほぼ互角の戦いをつづけた。11月最初の試合で長い黒星街道から脱出できるかという内容であったが、後半のアディショナルタイムの93分、ラツィオはCKのチャンス、このピンチをしのげばアウエーで勝ち点1というニースであったが、なんとストッパーのマキシム・ルマルシャンが自分のゴールに蹴りこんでしまい、オウンゴールで0-1で敗れてしまったのである。

■第5節の勝利で決勝トーナメント進出、リーグ戦の順位も上昇

 しかし、この試合はニースがトンネルを脱する機会となった。3日後の11月5日に行われたリーグ戦でニースはディジョンに勝利、9月28日のフィテッセン以来の勝利となった。そして11月23日、第5節でニースはズルテ・ワレヘムをホームに迎える。5分にバロテッリのPKで先制し、31分にもバロテッリが追加点、終盤に1点を返されたものの、最後にもう1点奪ったニースが3-1と勝利し、2位を確定し、決勝トーナメント進出を決めたのである。
 最終節でニースはフィテッセに敗れたが、国内リーグに注力し、一時は17位まで落ちた順位を6位まで上げたのである。(続く)

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