第2298回 パリサンジェルマン、第1戦を落とす(1) グループ2位通過となったレアル・マドリッド

 1998年2月20日、「サッカークリック」の「フランス・サッカー実存主義」でJ.P.モアンは連載を始めました。2018年2月20日に20周年を迎えました。「サッカークリック」で92回、「スポーツナビ」で40回、そしてこの「フランス・サッカー幻想交響曲」で2298回、全部で2430回の連載を続けてこられたのは読者の皆様のおかげです。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。

■2月中旬に始まったチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント

 前回までの本連載では2月から3月にかけて行われるラグビーの6か国対抗の前半戦について紹介してきたが、いよいよサッカーの世界でも2月中旬から国際試合が再開する。チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの決勝トーナメントが2月13日から始まった。フランスからはチャンピオンズリーグにパリサンジェルマン、ヨーロッパリーグにマルセイユ、ニース、リヨンの合計4チームがグループリーグを勝ち抜いて参戦する。

■2位通過にとどまった有力チーム

 その中でも最も注目を集める戦いはパリサンジェルマンの試合であろう。グループリーグでは最終戦で逆転首位を目指すバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れ、勝ち点で並んだが、得失点差で首位をキープする。グループリーグを首位で突破すれば、決勝トーナメントの1回戦では2位通過のチームと対戦するアドバンテージが与えられたが、決してアドバンテージとは言えないメンバーが2位で通過した。パリサンジェルマンの対戦する可能性のあるチームは同じグループリーグで戦ったバイエルン・ミュンヘン以外のグループ2位となった7チーム、UEFAインデックスごとに並べると、レアル・マドリッド(スペイン)、ユベントス(イタリア)、セビリア(スペイン)、チェルシー(イングランド)、ポルト(ポルトガル)、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)、バーゼル(スイス)の順になる。レアル・マドリッドは欧州のクラブの中で最もUEFAインデックスの高い数字を示し、ユベントスは5位、6位のパリサンジェルマンよりも高い位置にある。

■決勝トーナメント1回戦の相手はレアル・マドリッド

 そしてあろうことか、パリサンジェルマンの決勝トーナメント1回戦の相手はレアル・マドリッドとなったのである。ちなみにバイエルン・ミュンヘンはUEFAインデックスは2位であり、パリサンジェルマンはグループリーグと決勝トーナメントで欧州のトップクラブと対戦するというドローを引いてしまったのである。
 UEFAインデックスでトップの2チームがグループリーグで2位に終わっただけではなく、4位のアトレチコ・マドリッド(スペイン)は3位になりヨーロッパリーグに回り、5位のユベントスも2位に終わっている。UEFAインデックスの上位5チームのうちグループリーグを首位で通過することができたのは3位のバルセロナ(スペイン)だけなのである。(なお、バルセロナとユベントスは同じグループDであった)

■トットナム・ホットスパーに首位を譲ったレアル・マドリッド

 昨年の覇者であるレアル・マドリッドはグループHとなり、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)、トットナム・ホットスパー(イングランド)、APOELニコシア(キプロス)と戦った。レアル・マドリッドとボルシア・ドルトムントの争いかと思われたが、ボルシア・ドルトムントは第1節でトットナム・ホットスパー、第2節でレアル・マドリッドに連敗し、失速する。代わりにレアル・マドリッドとの首位争いをしたのがトットナム・ホットスパーであった。2勝同士で中盤戦の第3節と第4節で対戦した。
 まず、レアル・マドリッドの本拠地、サンチャゴ・ベルナベウでの試合、レアル・マドリッドはラファエル・バランのオウンゴールで先行を許す。前半終了間際にレアル・マドリッドはクリスチャーノ・ロナウドのPKで追いつくが、勝ち越すことはできず、ドローに終わる。2週間後のトットナム・ホットスパーのホームゲームはホワイトハートレーンではなく、ウェンブリーで開催される。8万3000人の満員の観衆の前でトットナム・ホットスパーはデレ・アリが2点、クリスティアン・エリクセンが1点をあげ、3点をリード、レアル・マドリッドは終盤にクリスチャーノ・ロナウドが1点を返すにとどまり、首位攻防戦を1分1敗と落としてしまう。
 両チームとも残りの2試合を連勝し、トットナム・ホットスパーが首位、レアル・マドリッドが2位でグループを通過した。昨季のチャンピオンチームとしてまさかの結果となったレアル・マドリッドは決勝トーナメントでの雪辱を期しているのである。(続く)

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