第2332回 マルセイユ、ヨーロッパリーグ準優勝(2) 期待の若手フランス人、ジャン・ケビン・オーギュスタンとダヨ・ウパメカノ

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■10年連続出場となるゼニト・サンクトペテルブルクと対戦したRBライプチヒ

 昨季セリエAで2位になったナポリをヨーロッパリーグ1回戦で下したドイツのRBライプチヒは2回戦もロシアのゼニト・サンクトペテルブルクという欧州カップの常連との対戦となった。10年連続でチャンピオンズリーグまたはヨーロッパリーグに出場している。10年前のRBライプチヒを考えれば、まだクラブが発足したばかりで、下部のリーグに所属していた。昨季はロシアリーグで3位、ヨーロッパリーグの予備戦3回戦からの参戦であり、フランス勢のボルドー(リーグ5位)、マルセイユ(6位)と同じレベルからのスタートである。
 グループリーグでは5勝1分でレアル・ソシエダ(スペイン)などをおさえて首位突破、決勝トーナメント1回戦では欧州カップの常連のセルチック・グラスゴー(スコットランド)と対戦、グラスゴーでの第1戦は0-1と敗れたがサンクトペテルブルクでの試合は3-0と勝利し、絵に描いたようなホームアンドアウエーのノックアウトシステムの勝ち方で2回戦に進出した。

■フランスの年代別代表の常連、ジャン・ケビン・オーギュスタン

 2回戦は3月8日と15日に行われたが、ライプチヒでの第1戦はRBライプチヒが2-1と勝利する。サンクトペテルブルクでの第2戦、先制点を奪ったのはRBライプチヒのフランス人選手、ジャン・ケビン・オーギュスタンであった。ハイチ系でパリ生まれ、パリサンジェルマンの下部組織に入り、フランスのアンダーエイジの代表の常連メンバーである。パリサンジェルマンでもトップチームに入ったが、エディンソン・カバーニ、ズラタン・イブラヒモビッチの陰に隠れてなかなか出場機会に恵まれず、20歳になったばかりの昨年夏、RBライプチヒに移籍し、キャリアを重ねている。このオーギュスタンの先制ゴールに対し、ゼニト・サンクトペテルブルクは前半のアディショナルタイムに追いつくのが精一杯、RBライプチヒは準々決勝に進出したのである。

■欧州若手ナンバーワンDFという評価のダヨ・ウパメカノ

 オーギュスタンとともにRBライプチヒには注目の若手フランス人選手がいる。ストッパーのダヨ・ウパメカノである。ギニアビサウ系であり、各年代のフランス代表の常連の19歳の選手である。パリ近郊のクラブに所属していた17歳の時にイングランドのマンチェスター・ユナイテッドなどからの誘いがあったが、オーストリアのレッドブル・ザルツブルクに巨額の移籍金で移った。そして昨年1月に系列クラブであるRBライプチヒに移籍した。ウパメカノはこの世代のDFとしてはパス成功数、一対一の競り合いに勝った数など、欧州でナンバーワンの数字を残している。今季の躍進で将来の期待される選手であり、有望な若手フランス人を獲得しているRBライプチヒの財力、リクルート力には目を見張るものがある。

■ドイツ育ちのギリシャ代表コンスタンティノス・ミトログル

 このRBライプチヒ戦に特別な感情で臨むマルセイユの選手がいる。それがコンスタンティノス・ミトログルである。ギリシャ代表であるがミトルグルの家族はミトログルが1歳の時に故国を捨て、ドイツに移住した。ミトルグルは19歳になるまでドイツで育ち、同様にサッカー選手としてミトルグルはドイツで育ったのである。ミトログルは今季はリーグ戦中心の起用をされており、RBライプチヒ戦も出場は微妙であるが、並々ならぬ意欲を持っていると思われる。
 さて、決して伏兵とは言えないRBライプチヒとマルセイユの準々決勝は4月5日にライプチヒ、12日にマルセイユで行われる。マルセイユはまずアウエーゲームを迎えるが、残念なことがある。それは2回戦のアスレチック・ビルバオ(スペイン)戦でマルセイユのサポーターが問題を起こしたため、UEFAから制裁を受ける。その中にア上ゲームへのサポーターの胎動禁止という項目が入っており、マルセイユは自チームへの声援の期待できない中でキックオフを迎えることになったのである。(続く)

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