第2334回 マルセイユ、ヨーロッパリーグ準優勝(4) 準決勝の相手はレッドブル・ザルツブルク

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今世紀初の快挙となったフランス勢2年連続四強入り

 4月12日のベロドロームでのゴールラッシュで準決勝に進出したマルセイユ、ヨーロッパリーグでは14年ぶりの準決勝進出である。またフランス勢は昨年のリヨンに続く2年連続のベスト4入りとなった。フランス勢の2年連続4強入りは1999年のマルセイユ、2000年のRCランス以来のことであり、今世紀初の快挙である。

■優勝候補のアーセナルとアトレチコ・マドリッド

 さて気になる残りの準々決勝の試合であるが、決勝トーナメントが始まった段階から優勝候補と目されてきたイングランドのアーセナルはCSKAモスクワ(ロシア)と対戦、第1戦はホームで4-1と大勝し、モスクワでの第2戦は2-2の引き分けで準決勝に進出する。そしてもう1つの優勝候補のスペインのアトレチコ・マドリッドもスポルティング・リスボン相手に第1戦のホームの戦いで2-0とリードを奪うと、アウエーの第2戦は0-1で敗れながらも準決勝に進出、優勝候補の両チームはホームの第1戦でリードを奪い、アウエーの第2戦で余裕を持って勝ち抜くスコアで試合をまとめてきた。2試合を通じた展開などはさすが優勝候補というべきであろう。この時点でアーセナルはリーグ6位、4位以内に与えられるチャンピオンズリーグの出場権を得たい、そしてスペインリーグはすでにバルセロナの優勝が決まってしまったが、2位のアトレチコ・マドリッドを3位バレンシアと4位レアル・マドリッドが追う展開であり、アトレチコ・マドリッドは2位を確保したい。そのように国内リーグでも厳しい終盤戦を迎えている両チームにとってなるべくヨーロッパリーグではエネルギーを使わずに勝ち進みたいところである。

■ホームの第2戦でラツィオに逆転勝ちしたレッドブル・ザルツブルク

 そして先行逃げ切りタイプの優勝候補と逆のパターンがオーストリアのレッドブル・ザルツブルクである。イタリアのラツィオとの第1戦はアウエーでの試合、ラツィオが終盤に突き放し、4-2と先勝した。しかし、ザルツブルクに戻った第2戦で、レッドブル・ザルツブルクは大逆転劇を演じる。前半は両チームともノーゴール、そして先制点は56分のラツィオが決める。残り35分で4点が必要となるが、3万人の地元ファンはあきらめなかった。先制を許した直後の56分に同点に追いつき、72分、74分、76分と立て続けにゴールを上げ、4-1で勝利し、通算得点でも6-5と上回り、準決勝進出を決めたのである。

■侮れない相手、レッドブル・ザルツブルク

 このように四強は優勝候補のアーセナルとアトレチコ・マドリッドに加え、マルセイユ、レッドブル・ザルツブルクという顔ぶれとなったが、準決勝はアーセナル-アトレチコ・マドリッド、マルセイユ-レッドブル・ザルツブルクという組み合わせになった。
 マルセイユとしては優勝候補との対戦を避けることができ、願ってもない抽選結果となった。ただし、準々決勝の逆転劇を見るならば、侮ってはならない相手である。三都主アレサンドロ、宮本恒靖といった選手がかつては在籍したが、このようなワールドクラスの選手を獲得できたのも2005年に飲料メーカーのレッドブルがクラブを買収したからである。レッドブル社は、1994年にはUEFAカップの決勝に進出するという輝かしい実績もありながら、2000年代に入ってから成績が低迷し、破産寸前だったSVオーストリア・ザルツブルクを買収した。レッドブル・ザルツブルクと改称した名門はよみがえったのである。その後は国内リーグでも常に優勝争いに絡み、欧州の舞台でもチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに毎年のように出場した。しかしながら、2005年にレッドブル・ザルツブルクとなってからの最高成績は2013-14シーズンのヨーロッパリーグでのベスト16が最高であり、予備戦やプレーオフでの敗退が多く、年を越したのは4回しかない。しかし、今季は大きく飛躍したのである。(続く)

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