第2406回 10月のチャンピオンズリーグ (1) 無観客試合のリヨン、2点差を追いつく
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■マンチェスター・シティにアウエーで勝利したリヨン
フランスから3チームがグループリーグに出場している今季のチャンピオンズリーグ、パリサンジェルマン、モナコ、リヨンと実力派が出場しているが、9月中旬の第1節ではいずれも強敵と初戦を戦い、パリサンジェルマン、モナコは黒星発進、3番手のリヨンだけが勝利するという予想外の幕開けとなった。
そして第2節は10月の初めに行われる。10月2日にはリヨンが登場する。リヨンはアウエーの第1節でマンチェスター・シティ(イングランド)を破り、マンチェスター・シティをアウエーで破った初めてのフランスのチームとなった。
■昨季のCSKAモスクワ戦でトラブルを起こし無観客試合
リヨンは第2節ではウクライナのシャフタール・ドネツクをホームのグルーパマ競技場に迎える。第1戦でドイツのホッフェンハイムと引き分けているシャフタール・ドネツク相手に勝利して、早々と勝ち点6を獲得したいリヨンであるが、重いペナルティの中で地元での初戦を迎える。実はリヨンは昨季のヨーロッパリーグのベスト8決定戦、今年の3月15日のホームでのCSKAモスクワ(ロシア)戦でファンが暴動を起こし、発煙筒や物をピッチに投げこみ、人種差別的行為もあったことから、UEFAはリヨンに対して10万ユーロの罰金と無観客試合という処分を下していた。リヨンはCSKAモスクワにアウエーゴールの差で敗れていたために、無観客試合は次の欧州カップの試合ということでこのシャフタール・ドネツク戦に適用されたのである。リヨンが欧州カップで制裁を受けるのはこれが最初ではない。2017年4月13日にグルーパマ競技場で行われたヨーロッパリーグの準々決勝のベクシタシュ(トルコ)戦では両チームのファンが暴動を起こし、キックオフ時間が大幅に遅れることになり、両チームは翌シーズンの欧州カップの出場権を剥奪されたのである。この10年間に欧州で無観客試合になったのは代表、クラブをあわせて120試合を越える。単純に毎月1試合は無観客試合が行われていることになる。
■リヨンで最も過激なサポーターグループ、バッド・ゴーンズ
リヨンのグルーパマ競技場の北側のゴール裏には6000人以上の過激なサポーターが陣取るが、その最前列を占めるのがその中でも最も過激なサポーターグループのバッド・ゴーンズである。ゴーンズというのはリヨンのニックネームであり、バッド・ゴーンズはまだリヨンが2部に低迷していた1987年に設立、設立当初はジェルラン競技場の北側のゴール裏を拠点とし、以来30年間にわたって活動し、2年前にグルーパマ競技場が新設された際も北側のゴール裏に陣取っている。
リヨンは罰金10万ユーロを科されたが、無観客試合となったことでその損害は500万ユーロにのぼると言われる。
■2点を先行されたリヨン、新加入の2人のゴールで勝ち点1を獲得
リヨンはこの時点でリーグ戦では5位、まだ8試合しか消化していないが首位のパリサンジェルマンに勝ち点で10の差をつけられている。主将を務めるのはワールドカップで一皮むけたナビル・フェキル、トップ下で今季スコットランドのセルチックからフランスに戻ってきたムーサ・ダンベレを支える。しかし、無観客試合でモチベーションが上がらないのか、シャフタール・ドネツクに試合を支配される。このままスコアレスでハーフタイムを迎えるかと思われたが、44分にシャフタール・ドネツクは左サイドからタイソンがクロス、これをニアでジュニオール・モラエスが決めて先制、リヨンは痛い失点となる。後半に入ってもシャフタール・ドネツクの攻勢が続きアラン・パトリックのパスを受けたモラエスがまた得点をあげる。ブラジル勢の活躍で2点のリードを奪う。これに対してリヨンは70分にフェキルのクロスをダンベレがヘディングで決めて1点差に追い上げ、その2分後にはウセム・アウアが相手からボールを奪い、今季ナントから加入したレオ・デュボワが右足でゴールネットを揺らす。
無観客試合の原因を作った試合を知らない新加入の2人の活躍により、リヨンは劣勢の試合を追いつき、勝ち点1をあげたのである。(続く)