第2413回 10月のチャンピオンズリーグ (8) パリサンジェルマンも引き分ける
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ナポリの新指揮官、カルロ・アンチェロッティ
チャンピオンズリーグ第3節は10月23日にホッフェンハイム(ドイツ)-リヨン戦が行われ、24日は18時55分からクラブ・ブルージュ(ベルギー)-モナコ戦が行われ、これまでの本連載で紹介したとおり、いずれも引き分けであった。フランス勢の最後に登場するのがパリサンジェルマン、21時に本拠地パルク・デ・プランスにナポリ(イタリア)を迎える。
ナポリは昨季のイタリアリーグ2位、リーグ優勝はディエゴ・マラドーナのいた1990年から遠ざかっているが、過去8シーズンはリーグ5位以内という好成績を重ねている。そして今季は優勝請負人としてカルロ・アンチェロッティを招聘した。アンチェロッティは選手時代はパルマ、ASローマ、ACミランで活躍、特にACミランではマルセイユの大きな壁となった。そして引退後はビッグクラブの監督を歴任、なかなか優勝に届かなかったが、ACミランの監督として2002年にチャンピオンズリーグを制覇、その翌季にはリーグ優勝を果たす。イングランドのチェルシーに移ってからは2010年にリーグとカップの二冠を獲得し、名将の称号を確固たるものにした。
■パリサンジェルマンを黄金時代に導いたアンチェロッティ
2011年の暮れにパリサンジェルマンの監督になる。2000年代後半のパリサンジェルマンは2部降格のピンチもあるチームであった。アントワン・コンブアレの後を継ぎ、クラブ史上初めてのイタリア人監督となった。半期務めた就任初年は2位、2年目の2012-13シーズンは優勝を果たす。19年ぶりのリーグ優勝を浜日にアンチェロッティはスペインのレアル・マドリッドに移るが、アンチェロッティが実質的に指揮を執った2012-13シーズンから昨季までの6年間、パリサンジェルマンは国内三大タイトル18個のうち14個を獲得し、まさにアンチェロッティが黄金時代を築いたと言えるであろう。
■ナポリからパリサンジェルマンに移籍したエディンソン・カバーニ
一方、この黄金時代を支えた選手の代表はエディンソン・カバーニである。アンチェロッティとすれ違いでパリサンジェルマンに所属、在籍5年間で獲得した国内タイトルは実に13、すなわちリーグとカップで1回ずつタイトルを逃しただけという黄金時代の象徴であり、ウルグアイ代表として10月には訪日したことから日本の皆様は良くご存じの選手であろう。
このカバーニはパリサンジェルマンに移籍する前はナポリに所属していた。ナポリには3シーズンしか所属しておらず、タイトル獲得はイタリアカップ優勝1回だけであるが、この間にカバーニは104点をあげている。90年を超える歴史を誇るナポリでの通算得点は今季で12年目となるマレク・ハムシクの120点、天才マラドーナの115点、1930年代に活躍したアッティラ・サルストロの108点に次いでクラブ史上4位であり、背番号7は今でもナポリファンのアイコンである。
■アディショナルタイムにアンヘル・ディマリアが同点ゴール
パリサンジェルマンの恩人、ナポリのアイドルがユニフォームを変えて対戦する試合となったが、試合は拮抗した内容となった。ここまで1勝1分でグループCの首位のナポリは29分にロレンツォ・イニシーニェが先制点をあげる
ナポリ1点リードのままハーフタイムを迎え、ここで勝利すれば首位浮上も可能なパリサンジェルマンは後半に張ってギアをあげる。61分にパリサンジェルマンはトマ・ムニエが右サイドから中央のキリアン・ムバッペに合わせてパス、このクロスボールをナポリのマリオ・ルイが競り勝ったが、ボールは味方のネットを揺らす。パリサンジェルマンはオウンゴールで追いつく。
しかし77分にナポリはドリエス・メルテンスがゴール直前でボールを受けて、至近距離からシュート、アルフォンス・アレオラも止めることができず、終盤でリードを許す。
敗色濃厚となったパリサンジェルマン、2004年以来のチャンピオンズリーグでのホームでの敗戦かと思われたが、これを救ったのがアンヘル・ディマリア、アディショナルタイムの93分のゴールでパリサンジェルマンは2-2の引き分けに持ち込んだのである。
フランス勢は第3節ではいずれも引き分けて、グループリーグを折り返したのである。(この項、終わり)