第2465回 レンヌ、アウエーの第2戦でベティスに勝利し、2回戦進出
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■強豪相手に手ごたえをつかんだレンヌ
前回の本連載ではレンヌが2月末に行われたフランスカップの準々決勝を勝ち抜いたことも紹介したが、今回は時間的には前後するものの、その前の週に行われたヨーロッパリーグの1回戦の第2戦で見事な勝利をあげたことを紹介しよう。
本連載第2459回で紹介したとおり、レンヌはクラブ史上初めてとなるヨーロッパカップでの年を越えての試合で、スペインのベティス相手にホームで3-3と引き分けた。レンヌは2点をリードする時間帯もあったものの、終盤に引き分けに持ち込まれてしまった。痛恨のドローであり、第2戦との間に行われた国内リーグ戦のスタッド・ド・ランス戦は0-2と敗れてしまったが、選手たちが欧州の強豪相手に手ごたえをつかんだことも事実である。
■レンヌの中心選手、ハテム・ベンアルファ
レンヌの中で軸となるのがハテム・ベンアルファである。15歳でリヨンとプロ契約を結んだ天才プレーヤーであり、リヨンの黄金期とも重なり、リーグの最優秀若手選手にも選出された。年代別代表の常連でもあり、20歳の2007年に初めてフル代表の試合にも出場し、」代表デビュー戦で得点をあげている。2008年の欧州選手権、2010年のワールドカップと事前登録のメンバーには入ったものの本大会行きの最終メンバーに入ることができなかった。結局、メジャー大会の本大会の本大会出場は2012年の欧州選手権だけであり、すでに32歳になってしまった。
所属クラブもリヨン、マルセイユ、パリサンジェルマンという国内のビッグクラブとイングランドのニューカッスル・ユナイテッドで欧州カップに出場したことはあったが、これといった結果を残すことはできなかった。そして今季から所属したレンヌ、これはベンアルファがこれまでに所属したクラブの中でも欧州レベルでの実績の少ないクラブであろう。しかしながら、ヨーロッパカップはここまで全試合に出場し、キャリア史上最高の国際舞台での活躍をしている。
ベティスとの第1戦も前半はPKを決めるなど大活躍をしたが、後半は消えてしまい、突き放すゴールを奪えず、ドローに終わった責任の一端はあり、アウエーでの第2戦にかける思いは人一倍である。
■アウエーのレンヌが2点を先行
2月21日、ベティスのベニト・ビジャマリン競技場には勝利あるいはロースコアでの勝利を期待する4万5000人近い観衆が集まり、スタンドは緑と白で染められた。これまでの欧州カップで第1戦をアウエーで3-3のドローとしたチームは9割近い確率で勝ち抜いている。
試合はホームのベティスがやや優勢に進めたものの、先制点はレンヌであった。22分にクレマン・グルニエが左サイドからCKを蹴り、これを左サイドDFのラミ・バンスバイニがヘディングで先制点を決める。さらに30分、第1戦で先制点をあげたアドリアン・ウヌーがイスマイラ・サールのパスを受けてシュート、レンヌは2点目をあげる。ベティスはこれで少なくとも2点が必要になり、攻勢を強める。ようやく1点を返したのが41分、今季パリサンジェルマンから移籍してきたジョバニ・ロセルソがゴールを決める。
■後半アディショナルタイムにレンヌは追加点、2回戦進出
このままのスコアでいけばレンヌ、追いつけばベティスという状況で後半の45分が行われた。守勢のレンヌであったが、最前線のベンアルファが良い動きを見せる。そして後半のアディショナルタイムの94分、レンヌはベンアルファからのパスをエムバイ・ニアンが得点、先制点のバンスバイにもニアンもヨーロッパカップで初得点である。アウエーの第2戦でレンヌが3-1と勝利し、2回戦に進出し、クラブ史上最高の成績を更新した。
そしてヨーロッパカップの2回戦の組み合わせ抽選が行われ、レンヌの2回戦の相手はイングランドのアーセナルとなった。第1戦はレンヌのホームゲームとなったが、クラブには収容人員の4倍近い9万枚のチケットの申し込みが殺到したのである。(この項、終わり)