第2559回 チャンピオンズリーグ開幕(3) パリサンジェルマン、レアル・マドリッドに25年ぶりの勝利
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、このたびの台風15号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■強力攻撃陣のMCNを欠くパリサンジェルマン
チャンピオンズリーグの初日、フランス勢はリヨンがホームでドロー、リールはアウエーで完敗となり、2日目に登場するパリサンジェルマンに期待が集まった。パリサンジェルマンの初戦の相手はスペインのレアル・マドリッド、前々回の本連載で紹介したとおり、レアル・マドリッドは昨季のスペインリーグで優勝を逃し、第1シードに入っていないが、UEFAインデックスでは欧州で最も高い数字を示している。さらにパリサンジェルマンはMCNといわれる強力攻撃陣のキリアン・ムバッペ、エディンソン・カバーニ、ネイマールの3人を欠く中で戦わなくてはならない。
■レアル・マドリッドと5回目の対戦となるパリサンジェルマン
これまでもパリサンジェルマンとレアル・マドリッドは欧州の舞台で名勝負を繰り返してきた。チャンピオンズリーグの前身のチャンピオンズカップの第1回の決勝はパルク・デ・プランスで行われ、レアル・マドリッドはスタッド・ド・ランスを下して優勝したが、その時まだパリサンジェルマンというクラブは誕生していなかった。パリサンジェルマンの歴史が浅いこともあり、両チームの対戦は1992-93シーズンのUEFAカップ準々決勝、1993-94シーズンのカップウィナーズカップ準々決勝、そして世紀をまたぎ、2015-16シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグ、2017-18シーズンのチャンピオンズリーグベスト8決定戦と4回あり、戦績はパリサンジェルマンの2勝2分4敗である。ホームアンドアウエーのトーナメント方式での対戦ではパリサンジェルマンが最初の2回勝ち抜いたが、直近の対戦ではレアル・マドリッドが勝ち抜いている。
■5年目のアンヘル・ディマリア、4年在籍した古巣相手に2ゴール
パリサンジェルマンとレアル・マドリッドの最初の対戦では第2戦で控え選手のアントワン・コンブアレが決勝点を奪い、劇的な勝利を収めた。今回もパリサンジェルマンは主力以外の選手が活躍した。
パリサンジェルマンの前線は右にパブロ・サラビア、中央にマウロ・イカルディ、左にアンヘル・ディマリアの3人である。一方のレアル・マドリッドを率いるのはマルセイユの生んだ偉大なフットボーラーであるジネディーヌ・ジダン、そしてチームを率いる主将もフランス人のカリム・ベンゼマである。
試合はパリサンジェルマンが先制した。左サイドバックのフアン・ベルナトはこの日出色の出来で、左サイドをそのまま駆け上がり、クロスをあげる。ニアポストにいたディマリアが左足でシュートを決める。ディマリアはレアル・マドリッドにかつて4シーズン在籍しており、古巣相手のゴールとなった。そしてディマリアは33分にも追加点を奪う。この試合で縦横無尽に走り回ったイドリッサ・ゲイエからのパスをまた左足でシュート、2得点目となる。ディマリアはパリサンジェルマンには今年で5年目のシーズンとなる。キャリア史上最も長く在籍するチームとなった。
■レアル・マドリッド、統計史上初めて枠内ゴール数ゼロに終わる
全般的に低調な動きのレアル・マドリッドの中で意地を見せたのがギャレス・ベイルであった。2点目を奪われた直後にゴール前のリフティングからゴールネットを突き刺すというスペクタクルなゴール決めたが、VARにより、ハンドがリフティング中に認められノーゴール。
2点をリードして後半を迎えたが相変わらずパリサンジェルマンが試合を支配し続けた。60分にはディマリアがループシュートでハットトリックかと思われたが、惜しくも枠の上。
レアル・マドリッドは主将のベンゼマもCFながら献身的に動いたが、肝心のシュートという点ではファンの期待に応えることができず、76分の唯一のシュートがゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定でノーゴール。このシュートが認められなかったため、レアル・マドリッドはこの試合で枠内にシュートを放つことができなかった。統計を取り始めた2003-04シーズン以来初めてのことである。
アディショナルタイムの91分、また両サイドのDFが活躍する。右サイドのトマ・ムニエと左サイドのベルナトがワンツーを決めて最後はムニエが無人のゴールに流し込み、パリサンジェルマンは3-0とレアル・マドリッドを下す。四半世紀ぶりの快挙であった。(この項、終わり)