第2592回 終盤戦のチャンピオンズリーグのグループリーグ(1) 三者三様の第5節
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■12月末が折り返しとなるフランスのサッカー界
12月はフランスのサッカー界にとって折り返しの時期となる。国内リーグ戦は12月で前半戦が終了、フランスカップは2部勢も参戦し、ベスト64が決定し、年明けの1部勢の参戦を待つこととなる。そしてチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグではグループリーグが終了し、2月から始まる決勝トーナメントに進出するチームが決まる。また、国内タイトルであるリーグカップはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのグループリーグが終わるとこれらに出場したチームも加わって、ベスト8決定戦が行われる。
■ほぼ確実なパリサンジェルマンの首位突破
今回からはチャンピオンズリーグのグループリーグを振り返ってみよう。
本連載では11月初めに行われた第4節まで紹介してきた。グループAのパリサンジェルマンは決勝トーナメント進出を決め、リヨンはあと一歩、リールはかなり苦しい状態で残り2試合を迎えた。
第5節はグループAのパリサンジェルマンが11月26日、11月27日にはグループGのリヨンが18時55分から、グループHのリールが21時から試合を行う。すなわち、フランス勢は成績の良い順に試合に登場することになる。この11月下旬の試合に臨むフランス勢のモチベーションは三者三様である。
すでに決勝トーナメント進出を決めたパリサンジェルマンはスペインのレアル・マドリッドとアウエーで対戦する。グループAは第4節を終えた時点でパリサンジェルマンは勝ち点12で独走、レアル・マドリッドも決勝トーナメント進出を決めたとはいえ、勝ち点は7と大きく差が開いている。残り2試合をパリサンジェルマンが連敗、レアル・マドリッドが連勝しない限り両チームの順位は逆転しないが、近年のチャンピオンズリーグで大逆転負けを喫した経験のあるありサンジェルマンとしては、このまま首位をキープし、決勝トーナメント1回戦での組み合わせ、試合順で優位に立ちたいところである。
■第5節で決勝トーナメント進出を決めたいリヨン
国内リーグでは精彩を欠くリヨンであるが、チャンピオンズリーグでは第4節でベンフィカ(ポルトガル)に勝利し、首位RBライプチヒ(ドイツ)の勝ち点9に次いで、勝ち点7で2位。ゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)がRBライプチヒに敗れて勝ち点4のままであり、2位争いで一歩抜け出した。第5節のアウエーのゼニト・サンクトペテルブルク戦で勝利すれば2位以内を確定する。また2点以上得点を取って引き分けた場合、ベンフィカがアウエーでRBライプチヒに引き分け以下の場合も決勝トーナメント進出となる。決して楽な相手ではなく、11月下旬ともなれば厳しい気候条件の下での試合となるが、守備を固めてカウンターから得点を奪い、勝利をあげ、12月は不本意な成績の続く国内リーグに注力し、順位を上げて新年を迎えたいところである。
■ほぼ最下位が決まったリール
そして、悲観的にならざるを得ないのがグループHで最下位のリールである。第4節のアウエーのバレンシア(スペイン)戦では押され気味の中で前半に先制し、1点リードして後半を迎えたが、後半はPKで追いつかれ、残り8分となったところでオウンゴールで逆転され、その後も追加点を奪われて1-4とスコア的には大敗する。このグループはリール以外の3チーム、イングランドのチェルシー、オランダのアヤックス・アムステルダム、バレンシアがいずれも2勝1分1敗の勝ち点7で並び、勝ち点1のリールは大きく取り残されており、すでにチャンピオンズリーグの決勝トーナメントの道は絶たれている。リールは残り2試合に連勝し、上位3チームのうちいずれかが連敗すれば、ようやく勝ち点で3位に並び、ヨーロッパリーグに転戦する可能性が残されているのみである。国内リーグでは上位に食い込んでおり、来季のチャンピオンズリーグ出場も夢ではない。残る2試合で国際試合の経験値を積んで来年のチャンピオンズリーグでの捲土重来を期すというのが現実的な目標かもしれない。(続く)