第2593回 終盤戦のチャンピオンズリーグのグループリーグ(2) 首位突破に導いたケイラー・ナバスの活躍

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州のファンが注目する好カード

 終盤を迎えたチャンピオンズリーグの第5節、11月26日にパリサンジェルマンはアウエーでレアル・マドリッド(スペイン)と対戦する。1992-93シーズンのUEFAカップの準々決勝以来、数々の名勝負を繰り広げ、これまでに9回の対戦を重ねてきたカードであるが、今回はすでに両チームはグループリーグの突破を決めており、勝負としてはこれまでになく見どころの少ない状況となった。しかし、欧州の頂点を目指すチームの対決とあって両チームのファンだけではなく欧州のファン注目の対決である。

■カリム・ベンゼマの先制点

 アウエーのパリサンジェルマンは紺のユニフォーム、引き分け以上でグループリーグの首位を確定できる。一方、ホームのレアル・マドリッドは白のユニフォーム、9月のパリでの0-3という完敗の雪辱を果たす瞬間を見ようとマドリッドのサンチャゴ・ベルナベウ競技場には7万5000人以上の観客が集まった。レアル・マドリッドの頭脳がフランス人のジネディーヌ・ジダン監督であるならば、守備の要はフランス代表の主将を代行で務めるラファエル・バラン、攻撃の中心はフランス代表から外れて久しいカリム・ベンゼマである。試合はレアル・マドリッドが押し気味の展開となる。ベンゼマがたびたびボールを持ってゴール前に攻め込む。そして19分、レアル。マドリッドは波状攻撃を仕掛け、最後はゴール前にいたベンゼマが先制点を決める。

■ケイラー・ナバス、古巣相手にスーパーセーブを連発

 その後もベンゼマを中心とするレアル・マドリッドがパリサンジェルマンのゴールを襲撃し続ける。これを果敢にセーブしたのがパリサンジェルマンのGK、コスタリカ代表のケイラー・ナバスである。ナバスは長らくレアル・マドリッドのGKとして数々のタイトルを手にしたが、昨年ベルギー代表のチボー・クルトワが加入してから二番手に甘んじる。今季がスタートしてからパリサンジェルマンに移籍する。一方、パリサンジェルマンの若手GKのアルフォンス・アレオラがレアル・マドリッドにレンタルされ、GK同士の交換トレードとなった。対するレアル・マドリッドのアレオラはベンチに控えており、ナバスは好セーブを夏まで本拠地だったマドリッドで再三再四披露し、この移籍が間違いだったことを古巣のファンにアピールする。
 一方のレアル・マドリッドのGKのクルトワは43分にマウロ・イカルディに対するファウルでいったんはレッドカードを示され、PKがパリサンジェルマンに与えられたが、VARによって判定は覆り、レッドカードもPKも取り消される。

■わずか2分間で2点差を追いついたパリサンジェルマン

 ナバスの好守を破り、79分にレアル・マドリッドは追加点をあげる。レアル・マドリッドは9月のパリでの戦いとは異なるメンバーとして起用された左サイドDFもマルセロがクロスをあげる。これまでベンゼマにしっかりとマークしていたプレスネル・キンペンベとフアン・ベルナトがベンゼマをフリーにしてしまう。ベンゼマがヘディングでシュートを決め、残り10分強で2点にリードを広げたのである。
 これで多くのファンはレアル・マドリッドがパリサンジェルマンに対し一矢を報いたと思ったであろう。しかし、この夏までのチームメイトのシュートに対し、最後尾で右へ左へとスーパーセーブを見せるナバスの奮闘に10人のフィールドプレーヤーが奮起しないわけがない。
 2点差とされたその直後の81分には右サイドからトマ・ムニエがクロスをあげて、これを誰も競り合わなかったところにいたキリアン・ムバッペが難なく押し込んで1点を返す。さらに83分にユルゲン・ドラクスラーのシュートのこぼれ球をパブロ・サラビアが決めて同点に追いつく。
 わずか2分間の同点劇でサンチャゴ・ベルナベウは沈黙するが、86分にレアル・マドリッドはダニエル・カルバハルが決定的なシーンを迎えるが、これをナバスが防ぐ。パリサンジェルマンはナバスの活躍で2-2のドローに持ち込み、グループリーグの首位突破を決めたのである。(続く)

このページのTOPへ