第2597回 フランス勢不振のヨーロッパリーグ(1) プレーオフで敗れたストラスブール
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■サンテチエンヌ、レンヌがグループリーグから参戦、ストラスブールは予備戦2回戦から参戦
前回までの本連載ではチャンピオンズリーグのフランス勢の戦いを紹介し、早々に首位突破を決めたパリサンジェルマン、逆に最下位街道を低迷したリール、そして最終節の残り9分で劇的な決勝トーナメント進出を決めたリヨンという3つのチームのそれぞれの戦いは対照的であった。
一方、もう1つの欧州カップであるヨーロッパリーグについては本連載ではストラスブールが予備戦2回戦を勝ち抜いたことしか紹介してこなかったので、今回からフランス勢の戦いを紹介しよう。
今季のヨーロッパリーグに参戦したフランス勢は昨季リーグ4位のサンテチエンヌ、フランスカップのチャンピオンのレンヌ、そしてリーグカップのチャンピオンのストラスブールである。サンテチエンヌとレンヌはグループリーグから登場するが、ストラスブールは予備戦2回戦からの参戦となり、3つの相手を倒さないとグループリーグにたどり着かない。
■ロコモティフ・プロブジフに連勝したストラスブール
ストラスブールは7月の末から公式戦を戦い、予備戦2回戦ではイスラエルのマッカビ・ハイファに1勝1敗ながら得失点差で上回り、予備戦3回戦に進む。予備戦3回戦ではブルガリアのロコモティフ・プロブジフと対戦し、フランスリーグ戦の開幕戦をはさむ日程で行われた。第1戦は8月8日にアウエーで行われ、ストラスブールは序盤の11分にステファン・ミトロビッチのあげたゴールを守りきり、先勝した。シーズン開幕直前の外国チームとの公式戦で勝利したストラスブールはリーグの開幕戦ではメッスを迎える。開幕戦で東部のチーム同士の戦いであることに加え、日本のファンの皆様であれば川島英嗣がかつて所属したチームとの対戦ということで注目を集めたが、川島の出番はなく、試合も1-1のドローに終わる。
そしてリーグ開幕戦の4日後に行われたホームでのロコモティフ・プロブジフ戦、この試合もストラスブールは試合開始間もない7分にケビン・ゾヒが先制点をあげ、その後も終始試合を支配し、2試合とも1-0というスコアでプレーオフに進む。
■昨季ベスト4のフランクフルトに先勝
8月下旬のプレーオフはフランスリーグの第2節の後に第1戦、第3節の後に第2戦が行われる。ストラスブールの相手はドイツのフランクフルトとなった。昨季、フランフルトはこの大会で準決勝に進出しているが、ブンデスリーガでは7位にとどまり、今季は予備戦2回戦からの参戦である。さらにドイツはカップ戦も始まっており、リーグ戦の開幕はフランスよりも1週遅いが、フランクフルトはリーグ開幕戦以外に5試合をここまで戦っており全勝している。長谷部誠に加え、鎌田大地も復帰し、ドイツカップの1回戦で得点をあげたことから日本でも注目度の高いチームの1つであろう。
第1戦はストラスブールで行われた。ストラスブールがヨーロッパリーグに最後に出場したのは14シーズン前の2005-06シーズンのことである。わずか4季前には3部に相当するナショナルリーグに所属し、8年前には5部相当まで落ちた古豪の快挙を見ようとストラスブールの本拠地ラメイノー競技場は満員の観客で埋まる。ストラスブールは前半33分にCKのチャンスを得る。このCKをフランクフルトの守備陣がクリアできず、ゴール前で混戦になっているところをゾヒが蹴りこんでストラスブールが先制、この1点を守り切ってストラスブールは先勝する。
■フランクフルトで敗れ、14期ぶりの欧州はならず
しかし、その翌週の8月29日、ストラスブールにとってこの月9試合目の試合がフランクフルトでのアウエーの第2戦である。フランクフルトも8月に入って8試合であったが、この試合はフランクフルトの勢いが勝った。フランクフルトはこの日も日本人の2人がフル出場する。27分にストラスブールはミトロビッチのオウンゴールで失点する。これで両チームが並ぶが、4万以上のファンの歓声が後押しするフランクフルトの優位は動かない。
60分にはフィリップ・コスティックが追加点をあげ、66分には鎌田のアシストによりダニー・ダ・コスタがゴールをあげる。1勝1敗となったが、2試合通算得点はフランクフルトが3-1と優位であり、ストラスブールは14年ぶりの舞台にあと一歩届かなかったのである。(続く)