第2704回 パリサンジェルマンとリヨン、準決勝進出 (5) 23年ぶりの準決勝進出を狙うパリサンジェルマン

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■初対戦となるアタランタ

 ポルトガルのリスボンに8チームが一堂に会したチャンピオンズリーグの準々決勝からの戦い、その開幕戦がパリサンジェルマンとイタリアのアタランタとの対戦である。両チームはこれが初対決になる。決勝トーナメントに進出したチームの中でパリサンジェルマンが公式戦で対戦履歴がないのはアタランタ、RBライプチヒ(ドイツ)、アトレチコ・マドリッド(スペイン)だけである。なお、リヨンとは欧州カップでの対戦経験はない。

■フランスにとってもパリサンジェルマンにとっても鬼門のルッス競技場

 また、ルッス競技場というと、フランスのサッカーファンにとっては悪夢のスタジアムで、1989-90シーズンのチャンピオンズリーグの準決勝第2戦、マルセイユが、ベンフィカンの選手の手による決勝ゴールで敗れた競技場である。当時は北半球で最も多くの収容人員を誇る競技場であったが、2004年の欧州選手権を機に改装されている。
 パリサンジェルマンにとってもこのルッス競技場は鬼門である。これまでこのルッス競技場で試合をしたことが3回あるが、いずれも改装後のことであり、ベンフィカと対戦している。最初は2006-07シーズンのUEFAカップのベスト8決定戦、パルク・デ・プランスで2-1と勝利したパリサンジェルマンはルッス競技場で1-3と敗れ、敗退している。2回目もUEFAカップのベスト8決定戦、2010-11シーズンのことであり、今度は第1戦をアウエーで戦い、1-2と敗れ、ホームでは引き分けに終わっている。最新の対戦が2013-14シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグ、パリサンジェルマンはこの大会で準々決勝まで進出したが、グループリーグのリスボンでの戦いは1-2と敗れている。すなわちこれまですでに3戦3敗という鬼門である。

■過去2回の中立地での試合は1勝1敗のパリサンジェルマン

 ただし、今回はベンフィカ相手のアウエーゲームではなく、アタランタとの中立地での試合となる。欧州カップでのパリサンジェルマンが中立地で試合をしたことが2回だけある。それは決勝戦である。最初は1995-96シーズンのカップウィナーズカップ、ブリュッセルでオーストリアのラピッド・ウィーンと対戦、1-0で勝利し、見事に優勝を飾った。なお、これがフランスのクラブとして唯一の欧州カップでの優勝経験である。2回目の決勝戦はその翌年のカップウィナーズカップである。オランダのロッテルダムで行われたバルセロナ(スペイン)との試合、今度は0-1と敗れ、2年連続の優勝を果たすことができなかった。

■欧州カップで5季連続して準決勝に進出した1990年代

 実はこれがパリサンジェルマンにとって最後のファイナルであった。パリサンジェルマンは2010年代になってからカタール資本による大型補強が黄金時代を迎えたイメージが強い。ところが欧州カップでの黄金時代は1990年代半ばであった。1990年代にはこれ以外に3回準決勝(1992-93シーズンのUEFAカップ、1993-94シーズンのカップウィナーズカップ、1994-95シーズンのチャンピオンズリーグ)に進出しており、5シーズン連続して欧州カップの準決勝を戦ったのである。
 今世紀に入ってからのパリサンジェルマンの欧州での戦績であるが、2000年代は早期敗退が続き、2008-09シーズンのUEFAカップで準々決勝に進出したくらいであった。2010年代に入るとチャンピオンズリーグの常連となり、昨季まで7年連続で決勝トーナメントに進出している。ところが、決勝トーナメントには進出するものの、準々決勝の壁を破ることができず、2012-13シーズンから2015-16シーズンまで4季連続で準々決勝敗退、それからは3季連続して決勝トーナメント1回戦(ベスト8決定戦)で敗れている。
 もちろん、現在と1990年代では欧州カップの形式が違い、現在のチャンピオンズリーグは1990年代のいかなるタイトルよりも高いステータスがあることは事実である。しかし、パリサンジェルマンが23年間、準決勝に届いていないということもまた事実であり、過去3回、勝利したことのないルッス競技場でその壁を打ち破ろうとしているのである。(続く)

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