第2748回 2020-21チャンピオンズリーグ(3) レンヌは引き分け、マルセイユは終了間際に決勝点を奪われる
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■ペナルティエリア内の反則の多いパリサンジェルマン
つい2か月前には欧州の頂点を争ったパリサンジェルマンが、ホームのパルク・デ・プランスでイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに敗れ、今季のチャンピオンズリーグのグループリーグは衝撃的なスタートとなった。パリサンジェルマンがチャンピオンズリーグのホームゲームで敗れたのは2019年3月6日以来のこと、相手はこの夜と同じマンチェスター・ユナイテッドであった。パリサンジェルマンはボール支配率も6割を超え、優位に試合を進めながらも敗れてしまったのは、先制点のPKにある。パリサンジェルマンは相手にPKを与えることが多く、過去8シーズンのチャンピオンズリーグで18回もPKを与えており、これは同時期で比較するならば欧州で最多である。同じ期間でパリサンジェルマンがPKを得たのはわずかに5回であり、ペナルティエリア内の反則の多さがこのチームを欧州の頂上から遠ざけているともいえるであろう。
■9年ぶりとなったチャンピオンズリーグ初出場同士の対戦
さて、パリサンジェルマンと同時刻にキックオフを迎えたのがグループEのレンヌである。レンヌの相手はロシアのクラスノダールである。レンヌは初めてチャンピオンズリーグを戦うことになるが、実はクラスノダールも初めてのチャンピオンズリーグの試合となる。チャンピオンズリーグに初出場同士のチームが対戦するのは21世紀になってからはこれまでに1度だけであり、2011年9月のマンチェスター・シティ(イングランド)-ナポリ(イタリア)戦だけである。今から9年前のことであるが、マンチェスター・シティは今やチャンピオンズリーグの上位進出の常連チームとなった。ナポリはチャンピオンズカップ時代のディエゴ・マラドーナの時代以来の出場となり、その後は毎年のように出場している。レンヌやクラスノダールが10年後にどのような姿になっているか楽しみである。
■先制するも直後に追いつかれ、記念すべき試合はドロー
この初出場同士の一戦はレンヌのロアゾンパークで行われた。同時刻にパリで行われた試合は無観客で行われたが、このレンヌの試合は5000人まで入場が認められ、歴史の証人となった。もちろん、歴史の証人となったことだけで満足してはならない。相手のクラスノダールは第3シード、残りの第1シードのセビリア(スペイン)、第2シードのチェルシー(イングランド)との力関係を考慮するならば、最低限クラスノダールには勝ち越して、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を目指したいところである。現役のフランス代表選手のエドゥアルド・カマビンガ、スティーブン・エンゾンジの2人が先発する。
5000人とはいえ、声援はレンヌをホームチームにした。レンヌは立ち上がりから優勢に試合を進める。前半は無得点で折り返したが、56分にマルタン・テリエがペナルティエリア内で倒され、PKが与えられる。これをセル・ギラッシが決めて先制点をあげる。
しかし、その3分後にクラスノダールはクリスティアン・ラミレスが同点ゴールを放ち、1-1のタイスコアに持ち込む。レンヌはその後も攻め続けるが、ホームで勝ち点1に終わったのである。
■7年ぶり出場のマルセイユも黒星でスタート
そしてファンの期待が一番大きいという点では7年ぶりにチャンピオンズリーグに登場するマルセイユを忘れてはならない。1日遅れの21日に登場、ギリシャの名門オリンピアコスとのアウエーゲームである。無観客で行われたこの試合、オリンピアコスは2人の元フランス代表が先発する。ヤン・エムビラとマチュー・バルブエナ、いずれも30歳を超えたベテラン選手であり、かつてマルセイユに所属していた36歳のバルブエナは主将を務める。
無観客で行われた試合、ほぼ互角の展開である。マルセイユの相手は第3シード、アウエーでスコアレスドロー以上の結果を残したいところであったが、後半のアディショナルタイムに悲劇が訪れた。マルセイユのDFからボールを奪ったクラスノダールはバルブエナがゴール前にクロスを上げ、エジプト代表のアフメド・アサンがヘディングシュートで決勝点を決め、マルセイユは0-1で敗れたのである。(続く)