第2765回 2020-21ヨーロッパリーグ(5) リールは決勝トーナメントへ、ニースは敗退

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■運命の第5節はホームで試合を行うフランス勢

 前回までの本連載でヨーロッパリーグに出場したフランス勢のニースとリールの第4節までの戦いについて紹介してきた。両チームとも第4シードであったが、対照的な状況であり、ニース最下位では首の皮一枚つながった状態でかすかな希望を持って第5節を迎えるのに対し、リールは首位で第5節で勝利すれば、決勝トーナメント進出が決まる。  ヨーロッパリーグは木曜日にすべての試合が行われ、第5節は12月3日、先にキックオフを迎えるのがリールで18時55分、ニースは21時キックオフとなる。両チームともホームでの試合であり、リールはスパルタ・プラハ(チェコ)、ニースはバイエル・レバークーゼン(ドイツ)を迎える。

■ホームで試合を支配するも先制点を奪われたリール

 勝ち点8で王手をかけたリール、ここまでの2勝はいずれもアウエーでの凱歌、ホームでは2引き分けである。勝ち点6のスパルタ・プラハに勝利すれば2位以内が確定するが、逆に敗れるようだと勝ち点で逆転されてしまう。2勝したアウエーの試合でいずれもハットトリックを決めているユスフ・ヤズジュがこの日も先発する。前半からリールが試合を支配し、好機をつかむが得点には至らない。
 一方、このグループのもう1試合はACミラン(イタリア)-セルチック・グラスゴー(スコットランド)であるが、ここまで4連敗の第1シードのセルチック・グラスゴーが2点を先行した。ACミランは勝ち点7でリールを追う2位であり、リールにとっては望ましい展開である。
 前半のアディショナルタイムにはバンジャマン・アンドレのシュートがポスト直撃ながらゴールに入らず、前半は両チーム無得点で折り返す。
 後半も立ち上がりにリールはジョナサン・デイビッドが決定的なチャンスを逃す。後半に入ると試合が荒れ、イエローカードが飛び交う。64分にはスパルタ・プラハの選手のタックルに対し、2枚目のイエローカードとなり、退場処分。リールは数的有利に立つ。リールは攻勢を強めたが、逆に得点をあげたのは劣勢のスパルタ・プラハであった。71分にラディスラフ・クレイチが先制点をあげる。またもやリールはホームゲームで点に見放されるのか、77分にはヤズジュをベンチに下げる。そしてミラノでの試合はACミランが逆転し、リードしている。

■ユスフ・ヤズジュに代わって出場したブラク・イルマズの2ゴールで逆転勝利

 10人全員がゴール前で守るスパルタ・プラハの守備を破ったのはトルコ人のヤズジュに代わって入ってきたトルコ人のブラク・イルマズであった。イルマズは80分にペナルティスポット付近から右足で同点弾、84分にはミドルシュートで逆転ゴールとなる。リールは15試合ぶりにホームで勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。

■バイエル・レバークーゼンに敗れて敗退が決定したニース

 この勢いにニースも続きたかったが、11月1日以降は国内のリーグ戦でも全敗、ホームゲームとはいえ、バイエル・レバークーゼン相手に4点を取るのは難しい。首位のバイエル・レバークーゼンが22分に先制、ニースも26分にハッサン・カマラのゴールで逆襲、32分にバイエル・レバークーゼンが勝ち越すが、後半に入ったばかりの47分に前半途中から出場したダン・エンドイエの右足のシュートで追いつく。しかし、ニースの抵抗もここまで、その直後に決勝点を奪われ、2-3と敗れる。この瞬間にニースはグループリーグ敗退が決定した。
 ニースは最終節ではイスラエルのベエルシェバと対戦する。決勝トーナメントへの道は両チームとも絶たれているが、ニースは引き分け以上で3位となるが、0-1と敗れてしまい、最下位で全日程を終える。
 リールのグループHは最終節を待たずして決勝トーナメント進出チームが決まったが、最終節でリールはセルチック・グラスゴーに2-3と競り負け、ACミランがスパルタ・プラハに勝利したため、ACミランが首位、リールは2位で決勝トーナメントに進むこととなったのである。(この項、終わり)

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