第2784回 パリサンジェルマン、バルセロナで大勝(2) バルセロナを率いるロナルド・クーマン監督

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■最初の対戦以降はバルセロナが勝ち抜き

 パリサンジェルマンがチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦で対戦するスペインのバルセロナ、過去の戦績はパリサンジェルマンが3勝3分5敗と負け越しはわずかであるように感じるが、ノックアウト方式では最初の対戦の1994-95シーズンのチャンピオンズリーグの準々決勝でパリサンジェルマンが勝ち抜いただけで、それ以降3回連続でバルセロナが勝ち抜き、1回戦制の決勝も含むと5回のうち1回しかパリが勝ち抜いていない。さらに、前回の本連載で紹介した直近の対戦での大敗の記憶はファンの間に強く残っている。

■負傷でネイマールとアンヘル・ディマリアを欠くパリサンジェルマン

 それから4年、パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグで決勝トーナメントの常連となり、決勝に進出するまでになった。
 2月16日、バルセロナのカンプノウ競技場に並んだ先発メンバーは次のとおりである。GKはケイロス・ナバス、DFは右からアレッサンドロ・フロレンツィ、マルキーニョス、プレスネル・キンペンベ、レイバン・クルザワ、MFは中央にマルコ・ベラッティ、右にイドリッサ・ゲイエ・エレーラ、左にレアンドロ・パレデス、FWは中央にマウロ・イカルディ、右にモイス・キーン、右にキリアン・ムバッペである。
 4年前に大敗した試合にも先発したのが今回主将を務めるマルキーニョス、クルザワ、ベラッティの3人である。
 4年前はバルセロナのメンバーとして最後の決勝点を決めたネイマールはフランスカップのベスト32決定戦で負傷し、アンヘル・ディマリアも負傷でメンバーを外れている。昨年暮れに就任したマウリシオ・ポチェッティーノ監督はクラブのOBでもあるが、パリサンジェルマンの選手としてチャンピオンズリーグに出場した経験はない。記念すべき試合となったが、不本意なメンバーでの欧州での初陣となる。
 一方のバルセロナであるが、この日の先発メンバーで4年前の直近の試合にも先発したのはGKのマルク・アンドレ・テア・シュティーゲン、ジェラール・ピケ、リオネル・メッシの3人である。4年前にはフランス人のサミュエル・ウムティティが先発していたが、今回はクレマン・ラングレ、ウスマン・ダンベレ、アントワン・グリエズマンと3人が名を連ねている。

■今季バルセロナの監督に就任したロナルド・クーマン

 そしてバルセロナを率いるのはロナルド・クーマン、母国のオランダ代表の監督からこの夏にバルセロナの監督に就任した。オランダ代表としても活躍したクーマンは現役時代にアヤックス、PSVアイントフォーヘン、フェイエノールトというオランダの三強チームでプレーしたという数少ない存在である。まだボスマン判決前で選手の国外移籍が現在ほど頻繁ではなかった時代に、クーマンは唯一の国外でのクラブとしてバルセロナに6シーズン在籍している。このバルセロナでの最後のシーズンにクーマンはチャンピオンズリーグの準々決勝でパルサンジェルマンと対戦し、1分1敗で敗れ去っているのである。このシーズンを最後にクーマンはバルセロナを去り、フェイエノールトで2シーズンプレーし、現役を退く。

■ロッテルダムでパリサンジェルマンを下して優勝したバルセロナ

 しかし、もしクーマンがキャリアの最後までバルセロナに残っていたならば、この現役最後のシーズンとなる1996-97シーズンのカップウィナーズカップの決勝は、フェイエノールトの本拠地のロッテルダムのデ・カイプで行われ、バルセロナはロナウドが決めたPKで勝利し、優勝を果たしている。自分の所属するチームのホームスタジアムで、自らが最も長く在籍したチームが勝利してチャンピオンになったのである。この試合をクーマンがどこで見ていたかは定かではないが、パリサンジェルマンに対する思いはあるであろう。選手としてはバルセロナしか国外経験はなかったが、監督としては、国内だけではなく、スペイン、イングランド、ポルトガルと、国外での経験も豊富である。どのような采配をするのかも注目である。(続く)

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