第2786回 好調リール、アヤックスに連敗(1) 21世紀に入って欧州の舞台に飛び出したリール

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■欧州三大カップに出場経験のないリール

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でパリサンジェルマンがバルセロナ(スペイン)にアウエーで大勝したことを紹介した。今回からはもう1つの欧州カップであるヨーロッパリーグの決勝トーナメントに進出したリールについて紹介しよう。
 近年リーグ戦で上位に入っているリールであるが、前身のオランピック・リロワはフランスリーグの最初のチャンピオンチームとなり、1944年にオランピック・リロワがSCフィーブと合併して現在のリールOSCとなる。サッカーの盛んな北部の古豪として活動してきたが、欧州三大カップの時代にこれらの大会への出場経験はなく、欧州レベルでの経験を積むようになったのは今世紀になってからのことである。

■初めての欧州カップは2001-02のチャンピオンズリーグ

 初めての欧州カップが2001-02シーズンのチャンピオンズリーグである。前年のリーグ戦でリールは3位に入りチャンピオンズリーグの予備戦3回戦からの出場権を得たのである。リーグ戦でナント、リヨンに次ぐ高成績を残したリールであるが、実はこのシーズンは2部から復帰したばかりであった。2部からの復帰、チャンピオンズリーグ出場という快挙を成し遂げたのは当時の監督のバヒッド・ハリルホジッチの手腕によるところが大きい。日本のファンの皆様であればよくご存じであろうが、これが名将にとってトップレベルでの最初の功績である。
 そして名将ハリルホジッチは予備戦3回戦の相手のパルマ(イタリア)に見事な勝利を収める。すでにUEFAカップ優勝経験のあるパルマにはファビオ・カンナバーロ、アラン・ボゴシアン、セバスチャン・フレイなどの豪華メンバーがそろう。しかし、アウエーでの第1戦でリールは2-0と勝利し、ホームの第2戦を0-1と落としたものの、2試合通算成績でグループリーグ出場権を獲得したのである。グループリーグではデポルティーボ・ラコルーニャ(スペイン)、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、オリンピアコス(ギリシャ)と対戦、ホーム3試合では無敗であり、オリンピアコスを押さえて3位に入る。

■UEFAカップの決勝トーナメントに三度進出

 チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出することはかなわなかったものの、UEFAカップの決勝トーナメントに転戦する。1回戦ではイタリアのフィオレンティーナ相手に2試合とも勝利し、ベスト8決定戦となる2回戦ではドイツのボルシア・ドルトムントと2試合との引き分け、アウエーゴールの差で敗れたが、ボルシア・ドルトムントはこの大会で準優勝することとなるのである。
 また、2004-05シーズンはUEFAカップに出場、グループリーグを首位で突破し、決勝トーナメントは1回戦はスイスのバーゼルを下し、2回戦でオセールに敗れている。 このシーズンは国内リーグで2位となり、2005-06シーズンのチャンピオンズリーグに出場、この時もグループ3位となり、UEFAカップの決勝トーナメントに転戦し、1回戦でウクライナのシャフタール・ドネツクを下し、2回戦のスペインのセビリアとは1勝1敗となり、得失点差で敗れている。

■ミラノでACミランに勝利、初のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントへ

 そしてリールが初めてチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出したのが2006-07シーズンのことである。前年のフランスリーグで3位に入ったリールは予備戦3回戦で北マケドニアのFKラボトニツキを退け、グループリーグに参戦する。ACミラン(イタリア)、AEKアテネ(ギリシャ)、アンデルレヒト(ベルギー)と同じグループHに入る。最終節を迎える段階で、首位ACミランは勝ち点10で決勝トーナメント進出を確定、2位は勝ち点7のAEKアテネ、リールは勝ち点6で3位であった。
 リールは最終節でミラノでの試合となった。ACミラン戦に引き分け以上で、AEKアテネの最下位アンデルレヒト戦の結果によってはリールにも2位のチャンスがある。リールは試合を支配されたものの、前後半に1点ずつゴールをあげて、ACミランに勝利する。そしてアンデルレヒトとAEKアテネはドローとなり、リールは勝ち点でAEKアテネを逆転し、2位に入る。
 決勝トーナメント1回戦ではマンチェスター・ユナイテッドと対戦、2試合とも0-1で敗れたが、初めてのチャンピオンズリーグの決勝トーナメントで手ごたえをつかんだのである。(続く)

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