第2821回 パリサンジェルマン、マンチェスター・シティと対戦(5) 先行逃げ切り型のパリサンジェルマン
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■リーグ戦で暫定首位にもなったパリサンジェルマン
本拠地パルク・デ・プランスでの第1戦を落としたパリサンジェルマン、精神的なショックも大きいが、2年連続の決勝進出に望みを託す第2戦は1週間後、5月4日にマンチェスターのシティ・オブ・マンチェスター競技場で行われる。
第1戦と第2戦の間の週末、リーグ戦の第35節が行われた。リーグ戦は全38試合、最後から4試合目というところで首位はリール、2位はパリサンジェルマンであり、その勝ち点差はわずかに1である。第35節は5月最初の週末に行われたが、パリサンジェルマンは5月1日の17時にRCランスと対戦、首位のリールはその4時間後の21時にキックオフを迎える。マンチェスター・シティとの第1戦でパリサンジェルマンの攻撃の中心となったネイマールは出場、マルコ・ベラッティはベンチスタート、そしてキリアン・ムバッペは負傷の状態が思わしくなく、メンバーから外れている。そのネイマールが先制点をあげ、この日も主将を務めたマルキーニョスが追加点をあげる。RCランスの反撃を1点におさえ、2-1と勝利する。暫定とはいえ首位を奪還する。結局はその4時間後にリールがニースに勝利したため、首位の座にいた時間は短かったが、気持ちの切り替えをすることができたのである。
■リーグ優勝に大きく前進したマンチェスター・シティ
一方のマンチェスター・シティも同じ日にリーグ戦がある。アウエーでクリスタル・パレスと対戦し、大きくメンバーを変えて臨む。前半はゴールがVARによって取り消されるなど、ノースコアであったが、後半に入ってセルヒオ・アグエロとフェラン・トーレスがゴールを決める。パリでの試合には先発していなかったメンバーのゴールで、また優勝に一歩近づいたのである。
■第1戦で勝利し、逃げ切ってきたパリサンジェルマン
両チームとも第1戦と第2戦の間の国内リーグ戦では順当に勝利し、いよいよ5月4日、マンチェスターでの試合となる。第1戦をホームで1-2で落としているパリサンジェルマンは2-0での勝利、あるいは3-2といったハイスコアでの勝利が決勝進出のために必要である。今季のパリサンジェルマンは決勝トーナメントに入ってからは1回戦、準々決勝とも第1戦でスコアに差をつけて勝利し、第2戦は1回戦のバルセロナ(スペイン)戦は引き分け、準々決勝のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)戦はロースコアでの敗戦といずれも逃げきった形で勝ち上がってきた。
■ホームの第1戦で敗れて勝ち上がったことのないパリサンジェルマン
パリサンジェルマンがホームアンドアウエーの決勝トーナメントで第1戦に敗れて、第2戦で第1戦より良いスコアで勝利した逆転劇、読者の皆様は昨季の1回戦のボルシア・ドルトムント(ドイツ)戦を思い出されるであろう。しかし、ボルシア・ドルトムント戦は第1戦がアウエーであり、第2戦がホームであり、第2戦での逆転がしやすい。逆に第1戦でホームで敗れ、第2戦でアウエーで勝利して2試合通算得点で逆転して勝ち抜いたというケースは、パリサンジェルマンの50年の歴史をさかのぼっても、チャンピオンズリーグだけではなく、その前身のチャンピオンズカップ、さらにはUEFAカップやカップウィナーズカップなどの他の欧州のタイトルでも全く経験がないのである。これらの欧州カップでパリサンジェルマンが第1戦をホームで負けた場合は、アウエーの第2戦でも必ず負けているのである。
パリサンジェルマンがこれまでにホームでの第1戦で勝利できなかった場合で勝ち抜いたのは、パルク・デ・プランスでの第1戦を引き分け、アウエーの第2戦で勝利した1996-97シーズンのカップウィナーズカップ準決勝のAEKアテネ(ギリシャ)戦、2008-09シーズンのUEFAカップ2回戦のスポルティング・ブラガ(ポルトガル)戦、第1戦のホームも第2戦のアウエーも引き分けたが、アウエーゴールの差で勝ちぬいた1992-93シーズンのUEFAカップ2回戦のアンデルレヒト(ベルギー)戦、2014-15シーズンのチャンピオンズリーグ1回戦のチェルシー(イングランド)戦という4回しかないのである。
このように先行逃げ切り型のパリサンジェルマンがクラブの50年の歴史を変え、第2戦で逆転勝利ができるであろうか。(続く)