第2895回 期待が集まるヨーロッパリーグ(2) マルセイユはドロー、リヨンとモナコは白星スタート
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■国内無敗同士の戦いとなったロコモティフ・モスクワ-マルセイユ戦
9月16日に開幕したヨーロッパリーグ、フランス勢の中で先陣を切って登場したのはマルセイユである。前回の本連載では、国内リーグで好調であることを紹介したが、18時45分、ロシアのロコモティフ・モスクワとアウエーで対戦した。来年創立100周年を迎えるロシアの名門クラブは、国内ではゼニト・サンクトペテルブルク、CSKAモスクワに次ぐ第3の勢力と目される。今季もリーグ3位としてヨーロッパリーグに参戦し、国内リーグでは4勝3分とマルセイユ同様に国内無敗のまま欧州の舞台に上がる。先発メンバーには今季カーンから移籍してきたアレクシス・ベカ・ベカも名を連ねる。東京オリンピックでフランス代表としての活躍は日本のファンの皆様も記憶に新しいであろう。
一方、日本人選手の長友佑都と酒井宏樹の去ったマルセイユは、2017-18シーズンはヨーロッパリーグで準優勝を果たしているが、それ以降はヨーロッパリーグでは負けが続き、1引き分けを挟んで7連敗中である。
■PKで先制、数的有利となったが終了間際に追いつかれたマルセイユ
モスクワのRZDアリーナは収容人員の3分の1の8,000人が集まった。試合開始からマルセイユが優勢に試合を展開する。押し気味に試合を進めながら、前半は無得点に終わる。
何とか得点が欲しいマルセイユであるが、57分にジェンギス・ウンデルがペナルティエリア内でナイル・チクニジアンに倒される。主審はマルセイユにPKを与え、2枚目のイエローカードとなったチクニジアンは退場する。このPKをウンデル自らが決めてマルセイユは1点リード、そして残り30分強、マルセイユは数的有利となった。マルセイユはチクニジアンが退場した右サイドからの攻撃を繰り返すが、なかなか追加点を奪うことができない。このまま試合終了かと思われた89分、ベラルーシ代表のビタリー・リサコビッチがドリブルでマルセイユの選手を抜き、左サイドのティノ・アンジョリンにパス、アンジョリンがシュートする。この日ゴールを守っていたのはスティーブン・マンダンダではなく、スペイン代表のパウ・ロペスであった。ロペスのセーブも届かず、マルセイユは土壇場で痛恨の失点、初戦をドローで終えたのである。
■第2シードのグラスゴー・レンジャーズをアウエーで下したリヨン
21時にキックオフを迎えたリヨンとモナコは第1シードらしい結果を残した。リヨンはスコットランドでグラスゴー・レンジャーズと対戦した。スコットランドリーグで55回の優勝を誇る名門である。リヨンは2000年代に7連覇を果たしたが、グラスゴー・レンジャーズは1980年代から90年代にかけては9連覇を成し遂げている。そのグラスゴー・レンジャーズの唯一の欧州カップのタイトルが1971-72シーズンのカップウィナーズカップである。50年ぶりの欧州カップの第一関門がリヨン戦である。
久しぶりのタイトルを期待をするファンがイブロック競技場に4万4000人集まった。リヨンの注目はバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)から移籍してきたジェローム・ボアテングが移籍後、初めて先発することである。攻撃的な試合となった。23分にカール・トコ・エカンビが右足で20メートルのシュートを決める。後半に入ってもリヨンは攻め続け、55分にウセム・アウアのシュートがクリアミスとなり、オウンゴールで2点目が入る。リヨンは最大のライバルの第2シードとのアウエーゲームを制したのである。
■国内では低迷するが、勝利をあげたモナコ
モナコは第4シードのシュトゥルム・グラーツ(オーストリア)をホームに迎える。直前のリーグ戦でマルセイユに敗れ、16位と低迷していることもあって、5年ぶりのヨーロッパリーグとは言え、観衆はわずか3,800人。モナコは優勢に試合を進めるがゴールを決めることができず、逆に前半の終盤にはバーによって失点から助けられた。
後半開始時にモナコのニコ・コバチ監督は3人を同時に入れ替る。そして66分、モナコはセネガル代表のクレパン・ディアタがゴール前でヘディングを決める。これが決勝点となり、モナコも初戦を白星で飾ったのである。(この項、終わり)