第2907回 前半戦を終えたヨーロッパリーグ(3) 圧倒的なボール支配率も3試合連続ドローのマルセイユ
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■国内リーグでも3位をキープするマルセイユ
本連載は前々回でリヨン、前回はモナコのヨーロッパリーグでの戦いについて紹介したが、いずれも首位で前半戦を折り返した。今回はマルセイユを取り上げることとしよう。
本連載第2895回で紹介した通り、マルセイユは第1節でロコモティフ・モスクワとアウエーで1-1の引き分けであった。第2節ではマルセイユはホームのベロドロームでトルコのガラタサライと対戦する。
マルセイユは、国内リーグでは試合消化数が1試合少ないが、パリサンジェルマン、RCランスに次いで3位である。直前に行われたRCランス戦で2-3と競り負け、今季初黒星を喫するまでは2位であった。
■ファン同士のトラブルで試合が中断したガラタサライ戦
マルセイユとガラタサライ、いずれもファンが熱狂的なことで知られるチームである。またトルコ系の住民はフランス国内にも多数おり、5万観衆の集まったベロドロームにも3000人のガラタサライのサポーターが集結した。ガラタサライはヨーロッパリーグは第1節でラツィオ・ローマ(イタリア)にホームで勝利したが、現時点で国内リーグ戦では不振であり、7位にとどまっている。ガラタサライのファティ・テリム監督は自身も選手としてプレーした経験があるが、これだけリーグ戦の成績が悪いことは記憶にないと言っている。それだけにこのヨーロッパリーグでは連勝を狙いたい。
試合はマルセイユが有利に進める。ホームの大観衆の声援をバックにボールを支配する。しかしながらなかなか得点を生むことができず、逆にガラタサライは防戦一方となり、攻め込まれる展開となる。両チームのサポーターのフラストレーションがたまった38分にガラタサライのサポーターとマルセイユのサポーターの間に衝突が起こった。発煙筒などを相手のエリアに投げ込む。主審は試合を中断する。8分間の中断の後、試合が再開された。
後半に入っても状況は変わらず、両チーム無得点が続いたが、75分にマテオ・ゲンドウジがペナルティエリア内で倒され、主審はいったんはペナルティスポットを指さすが、VARの結果、PKは取り消しとなる。結局、試合は0-0のまま90分が終わり、マルセイユは2試合連続の引き分けとなった。
■ローマと縁のある選手の多いマルセイユ
マルセイユの所属するグループEはガラタサライが1勝1分でトップ、2位はラツィオ・ローマで1勝1分、マルセイユは3番手となる。中盤戦でマルセイユは第1シードのラツィオ・ローマと連戦することになる。10月21日の第3節ではローマのオリンピックスタジアムで対戦したが、この試合は観客数を8000人に絞って行われた。マルセイユのメンバーにはローマと縁のある選手が多く、パウ・ロペス、ジェンギス・ウンデル、ジェルソンの3人はラツィオ・ローマのライバルのASローマから移籍してきた選手である。ポーランド代表のアルカディウシュ・ミリクはナポリから移籍してきたが、ナポリ時代の監督は現在ラツィオ・ローマの監督であるマウリツィオ・サッリであった。
■試合を支配するも勝ち越し点を奪えず、3試合連続引き分けのマルセイユ
マルセイユの10月は過密スケジュールで、国内外で6試合を戦わなくてはならない。1月に6試合はそれほど多く感じられないかもしれないが、これ以外にインターナショナルマッチデーが設定されているため、選手によっては最大8試合を戦うことになり、厳しい1月となる。
第1シード相手のアウエーでの試合となったが、マルセイユはボールを圧倒的に保持し、試合を支配する。ところがラツィオ・ローマは数少ないチャンスをゴール前までつなげる。前半の33分にはルイス・フェリペが立て続けにシュート、これを止めたのはASローマから今季加わったロペスであった。さらにロペスは87分にも決定的なピンチからチームを救った。チーロ・インモービレのシュートにタイミング良く飛び出して、失点を防いだ。
マルセイユは決勝点を奪うことができなかったが、この試合も6割以上のボール支配率であり、前半戦3試合のボール支配率は65%という驚異的な数字であった。前半戦では3試合とも引き分けて3位に甘んじているが、後半戦に勝負をかけるのである。(この項、終わり)