第2910回 中盤戦を迎えたチャンピオンズリーグ (3) 3年連続の対戦となるパリサンジェルマンとRBライプチヒ
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■過去の戦績はパリサンジェルマンの2勝1敗
悲願のチャンピオンズリーグ優勝を狙うパリサンジェルマンの第3節と第4節の相手はドイツのRBライプチヒである。RBライプチヒとは今年で3年連続の対戦となる。2019-20シーズンは準決勝で対戦、昨季と今季はグループリーグでの対戦となる。本連載でこれらの対戦については紹介しているが、改めて両チームの対戦を確認すると、2019-20シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で準々決勝以降はポルトガルのリスボンで集中開催、1回戦制で行われ、パリサンジェルマンが3-0と勝利している。昨季は今季同様第3節と第4節の中盤戦で1勝1敗同士で対戦、まずライプチヒでの試合はRBライプチヒが2-1と勝利、ここでパリサンジェルマンは1勝2敗と負け越したが、第4節のパリでの試合はネイマールのPKでパリサンジェルマンが1-0と勝利する。結局、両チームとも残り2試合に連勝し、パリサンジェルマンが首位突破、RBライプチヒは2位で通過している。過去の戦績はパリサンジェルマンが2勝1敗と勝ち越している。
■レッドブルの資本参加で急成長したRBライプチヒ
これまでも本連載で紹介してきた通り、このRBライプチヒというチームが類を見ない新興成長チームということである。飲料メーカーのレッドブルが当時5部に所属していたクラブに資本参加し、レッドブルの運営する4番目のサッカーチームとなった。
レッドブルが資本参加し、ライプチヒに本拠地を移してから7シーズン中4シーズン、上位リーグへの昇格を果たし、2016年に1部に昇格する。ここまででも奇跡のストーリーであるが、さらに驚くべきは1部に昇格してからのパフォーマンスである。1部に昇格してからは2位3回、3位2回、6位1回という成績を残している。ブンデスリーガはバイエルン・ミュンヘンという突出した強さを誇るチームがあり、2012-13シーズンから9連覇を果たしている。バイエルン・ミュンヘンの9連覇の初年度、RBライプチヒはまだ4部リーグに所属していた。そして1部昇格の初年度は2位に入り、バイエルン・ミュンヘンに次ぐチームとなったのである。
一方、1部昇格の翌年から5年連続で欧州カップに出場、初年度はチャンピオンズリーグのグループリーグで3位になり、ヨーロッパリーグに転戦し、準決勝でマルセイユに敗れている。リーグ6位となった翌年の2018-19シーズンはヨーロッパリーグのグループリーグで敗退したが、2019-20シーズンは上記の通り、チャンピオンズリーグの準決勝、2020-21シーズンもチャンピオンズリーグで決勝トーナメント進出、1回戦でリバプール(イングランド)に敗れている。
■プラスチッククラブと揶揄されるRBライプチヒとホッフェンハイム
RBライプチヒの強さはレッドブルという企業の存在抜きには語れないが、大資本をバックにしているクラブは欧州で少なくないが、大企業をバックにしているクラブは実はそれほど多くはない。イタリアのユベントスとフィアット、フランスではソショーとプジョー、ドイツではレバークーゼンとバイエルなどの例があるが、それらは伝統的なクラブである。
RBライプチヒは人工的なクラブという意味合いでプラスチッククラブと呼ばれている。このプラスチッククラブはドイツに先例がある。それはSAPの支援によって2008年に1部まで昇格したホッフェンハイムである。
■人工的に作られたパリサンジェルマンも昨年創立50年
RBライプチヒもホッフェンハイムもプラスチッククラブとドイツ国内では揶揄されているが、人工的に作られたクラブという点ではパリサンジェルマンも同様である。パリから1部リーグのクラブがなくなってしまったという理由で人工的に作られたパリサンジェルマンも昨年で創立50周年を迎えた。RBライプチヒもいずれは伝統を築き上げていくであろう。チャンピオンズリーグに出場しているクラブとしては歴史の浅いチーム同士の対戦となるが、今年で3年連続の顔合わせ、決してこれは偶然ではなく、新たな歴史の序章なのかもしれない。(続く)