第2962回 パリサンジェルマン、レアル・マドリッドに先勝 (1) シェリフ・ティラスポリに敗れたレアル・マドリッド
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■6チームすべてが決勝トーナメントを戦うフランス勢
前回まではアフリカでの戦いを紹介してきたが、100人以上の選手がフランスに戻ってきた。彼らの不在中もリーグ戦は行われていたが、彼らの帰還を待って始まったのが欧州カップの決勝トーナメントである。
本連載の第2937回と第2938回で紹介した通り、フランスから出場した6チームはすべて決勝トーナメント(プレーオフを含む)に進出した。チャンピオンズリーグにリールとパリサンジェルマン、ヨーロッパリーグにリヨンとモナコ、ヨーロッパカンファレンスリーグにレンヌ、ヨーロッパカンファレンスリーグのプレーオフにマルセイユという顔ぶれである。フランスのクラブは1990年代半ばを想起させる隆盛を見せている。
■グループリーグで2位突破のパリサンジェルマンの相手はレアル・マドリッド
その6チームの先陣を切って登場したのがパリサンジェルマンである。パリサンジェルマンはグループリーグではマンチェスター・シティに次いで2位となり、決勝トーナメント1回戦ではグループリーグを首位で突破したチームと対戦する。グループリーグの終了後に組み合わせ抽選が行われた。パリサンジェルマンの対戦する可能性のあったチームはリバプール、マンチェスター・ユナイテッド(以上イングランド)、レアル・マドリッド(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、ユベントス(イタリア)、アヤックス・アムステルダム(オランダ)の6チーム、この中で最もUEFAランキングが上位なのはバイエルン・ミュンヘン、次いでレアル・マドリッド、ユベントスとなり、パリサンジェルマンよりも上位である。
抽選の結果、パリサンジェルマンはレアル・マドリッドと2月15日にパリ、3月9日にマドリッドで対戦することとなった。なお、もう1つのフランス勢のリールはグループ2位突破のチームの中で2番目にUEFAインデックスの高いチェルシー(イングランド)と2月22日から対戦、フランス勢は厳しい組み合わせとなった。
■2015年以降4回目の対戦、定番となったパリサンジェルマンとレアル・マドリッド戦
パリサンジェルマンとレアル・マドリッドはこれまでのチャンピオンズリーグで3回、UEFAカップで1回、カップウィナーズカップで1回対戦している。チャンピオンズリーグでの対戦はパリサンジェルマンがカタール資本になってからのことであり、2015-16シーズンが最初の対戦、すなわち、それ以来7シーズンで4回も対戦しており、チャンピオンズリーグの定番となった。直近の対戦は2019-20シーズンのグループリーグ、パリサンジェルマンはパリで3-0と勝利、マドリッドでは2-2のドロー、パリサンジェルマンはグループ首位で突破、決勝に進出した。
チャンピオンズリーグでの対戦成績はパリサンジェルマンが3勝3分4敗とほぼ互角、唯一の決勝トーナメントの対戦となった2017-18シーズンは2試合ともレアル・マドリッドが勝利している。
■モルドバから初出場のシェリフ・ティラスポリに金星を献上
レアル・マドリッドはグループリーグを首位で通過したが、順調だったわけではない。初戦は第1シードのインテル・ミラノ(イタリア)とのアウエーゲーム、終了間際にロドリゴが決勝点をあげて、最も難しいと思われた試合で勝利した。
順風満帆のスタートかと思われたが、第2戦のホームのサンチャゴ・ベルナベウで落とし穴があった。次の試合ではモルドバのシェリフ・ティラスポリと対戦する。モルドバでは無敵のチームであるが、これまではチャンピオンズリーグの予備戦で敗れていた。今季は初めて予備戦、プレーオフを勝ち抜いてグループリーグに出場、モルドバのチームとして初めてチャンピオンズリーグの本戦を戦うことになった。ところが第4シードのシェリフ・ティラスポリが奇跡を起こす。先制点を奪い、カリム・ベンゼマのPKで追いつかれたが、終了間際にルクセンブルク代表のセバスチャン・ティルが決勝点をあげて白い巨人を下したのである。
衝撃的な敗戦となったが、レアル・マドリッドはその後、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)、シェリフ・ティラスポリ、インテル・ミラノ相手に4連勝、終わってみれば5勝1敗で日程を終え、インテル・ミラノを押さえて首位突破を決めたのである。(続く)